デリバティブの基礎知識 オプションの価格を左右するものとは
オプションは権利のことで、その権利に価値がつきます。その価値のことを「プレミアム」と呼びます。さて、今回のテーマはそのプレミアムを左右する要素です。
その話をする前に、オプション独特の用語を一度整理してみます。まだ登場していない用語もありますが、言葉を知らないと以降の話がわかりにくいこともあると思いますので、まずはここで載せてみますね。
デリバティブ、オプションの基礎用語とは
ストライク・プライス 行使価格 strike price |
権利を行使した場合に、その価格で売買することになる価格、または差金決済の基準となる価格 |
プレミアム premium |
オプションの(取引)価格 |
原資産 underlying asset |
権利を行使する際の売買の対象となるもの、または価格が差金決済の基準となるもの |
行使日/満期日 expiry |
権利行使ができる日、もしくは権利行使できる最終日 |
限月 expiration month |
取引できる期限の月 たとえば3月を限月とする商品は「3月限(さんがつぎり)」という |
SQ special quotation |
最終売買日の翌営業日の決済に用いられる特別清算指数(最終清算数値)のこと。
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ボラティリティ volatility |
原資産の価格の変動率 |
時間価値 time value |
本源的価値と、実際のプレミアムとの差 |
本源的価値 intrinsic value |
今権利行使したら実現できる価値のこと |
出典:各種資料よりたぱぞう作
「限月」は先物取引でも使われる言葉です。先物取引は3の倍数月に限月がありますが、オプションの場合、毎月限月があります。
記事で例に挙げている日経平均株価指数オプションの場合、毎月第2金曜日がSQ算出日にあたり、その1営業日前が最終売買日となります。
SQも投資用語として目にすることが多いのではないでしょうか。さて、本題に戻りましょう。
原資産価格はプレミアムを左右する
オプションの価格であるプレミアムは変化します。
日経平均株価を例にしましょう。日経平均株価が原資産となるコール・オプションのプレミアムは、日経平均株価が上昇すれば上昇し、日経平均株価が下落すればオプションプレミアムも下落します。
ストライク・プライス28,000円の日経平均株価コール・オプションは、仮に日経平均株価が29,000円になったら非常に有利なオプションですね。コール・オプションを行使して28,000円で手に入れたものを29,000円で売れば利益が出ます。
このような有利なものはみんなが欲しがりますから、値段が上がるのです。オークションの人気商品と理屈は一緒です。
日経平均株価のプット・オプションの価格はコール・オプションと逆の値動きになります。ストライク・プライス28,000円の日経平均株価プット・オプションは、仮に日経平均株価が29,000円になったら28,000円で売る権利など誰も欲しがりません。
そのため、人気がなくなります。ですから、プット・オプションの値段は下がります。
一方、日経平均株価が27,000円になれば、ストライク・プライス28,000円のプット・オプションは人気が出るのでプレミアムが上昇します。
このように、原資産の価格はオプションの価格を左右します。日経平均株価は毎営業日変化しますから、そのオプションの価格も連動して変化します。
その終値は日本経済新聞に掲載されますし、JPXのwebsiteにも掲載されています。
出典:JPX
権利行使までの時間もプレミアムに影響
“Time is money.”といいますが、金融商品には原則として時間価値(time value)があります。
例えば債券は、2年物と10年ものがあった時、基本的には10年物の方が利回りは高くなります。
オプションの価格も同様です。同じ原資産で同じストライク・プライスならば、権利行使までの期間が長いものがプレミアムは高くなります。
当然ボラティリティも無視できない
ボラティリティとは原資産価格の変動率のことです。一般的には「リターンの標準偏差」を用います。
「リスクが高い」という表現は、価格の下方リスクを指しているのではありません。上昇と下落の両方の振れ幅のことを意味しています。その際「リターンの標準偏差」が用いられます。
ボラティリティが高いものは、「ハイリスク、ハイリターン」ですので、連動してプレミアムの価格が上昇します。
プレミアムを左右する3点を整理しましょう。
また、本源的価値というものがあります。これはまた改めて別記事にします。
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