たぱぞうの米国株投資

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世界競争力ランキング【2022】はこうなっている

世界競争力ランキングとはどのようなランキングなのか

 IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が作成している「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」は1989年にスタートしました。

 

 2021年度版の対象は64ヶ国で・地域で、競争力に関連する公表されている統計と、企業の経営層を対象とするアンケート調査結果をもとに作成されています。

 

 アンケートが用いられているのは市場参加者の意識も取り入れて、統計では測りにくい、例えば経営慣行、不正、適応態度、企業の敏捷性といった点を結果に加味するためです。


 アンケートは、回答者が自国の競争力を評価しています。他国の評価は行っていません。2021年度版は世界全体で5,776人が回答しています。

ランキング評価項目は経済、政府、効率、インフラなど多岐にわたる

 「世界競争力年鑑」は全ての分野を合わせた競争力総合順位のほか、以下に示す4つの大分類ごとの順位と各大分類に5個含まれる小分類(計20個)の順位、さらには各分類を構成する個別項目の順位が公表されています。

 

大分類 経済状況

政府効率性

ビジネス効率性

インフラ

小分類
国内経済 財政 生産性・効率性 基礎インフラ
国際貿易 租税政策 労働市場 技術インフラ
国債投資 制度的枠組み 金融 科学インフラ
雇用 ビジネス法制 経営プラクティス 健康・環境
物価 社会的枠組み 取り組み・価値観 教育

 

世界競争力ランキングの上位20か国

 2021年の総合順位上位20ヶ国は以下の通りです。

2021 国名 2020
1 スイス 3
2 スウェーデン 6
3 デンマーク 2
4 オランダ 4
5 シンガポール 1
6 ノルウェー 7
7 香港 5
8 台湾 11
9 UAE 9
10 米国 10
11 フィンランド 13
12 ルクセンブルク 15
13 アイルランド 12
14 カナダ 8
15 ドイツ 17
16 中国 20
17 カタール 14
18 英国 19
19 オーストリア 16
20 ニュージーランド 22

 

出典:「世界競争力年鑑」よりたぱぞう作

ちなみにわが日本は過去最低順位だった前年比で3つ順位を上げて31位でした。

世界競争力ランキングにおける日本の順位

世界競争力ランキングにおける日本の順位

 アジア・太平洋地域でも14カ国・地域中10位であり、「競争力は低い」とみなされています。


 ちなみに「世界競争力年鑑」がスタートした1989年から4年連続日本は1位でしたが、その後順位は下降傾向です。


 直近の調査では、特に政府効率性とビジネス効率性のランキングが低いです。投資家であればそのように実感することもあるように思います。

世界競争力ランキング上位の国の特徴

 総じていえば、西ヨーロッパに位置する国の順位が高くなっています。スイスは「世界競争力年鑑」33年の歴史で初めて1位にランキングされました。


 近年シンガポールと1位を争っていますが、経済をサービスの輸出入と人々の往来に依存しているという特徴がCOVID-19によるパンデミック下でネガティブな影響を受けたと報告書は述べています。

 

 一方スイスは、パンデミックとの戦いには時間がかかったものの、規律ある金融戦略が維持されていることが高い評価につながったということです。

 

 他の国のランキングに関しても、パンデミックの影響が順位に影響したと報告されています。台湾が順位を上げているのは、そういった事情が反映されたと考えてよいでしょう。

 

 上位5か国について大分類の順位を掲載しました。スイスは大分類すべてで1桁順位という強さを見せています。

 


 







経済

7

16

17

2

1

政府

2

9

7

12

5

ビジネス

5

2

1

4

9

インフラ

1

2

3

7

11

出典:「世界競争力年鑑」よりたぱぞう作

 

 近年1位を争ってきたスイスとシンガポールを時系列で比較してみます。シンガポールは経済状況では1位ですが、インフラで順位を落としたのが最終順位に影響したようです。

スイスの世界競争力ランキング推移

スイスの世界競争力ランキング推移

シンガポールの世界競争力ランキング推移

シンガポールの世界競争力ランキング推移

 個別項目は「インフラ」が107項目と全体の約1/3を占めるため、「インフラ」のウエイトが高くなる設計かもしれません。

世界競争力ランキングと株式投資

 西ヨーロッパに競争力があるとはいえ、時価総額規模ではウエイトが小さい国が多いため、なかなか投資対象にはなりにくいというジレンマもありますね。


 西ヨーロッパでソリッドなビジネスをしている米国企業は強みがあるかもしれませんね。

 

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