カバードコールETFを買う前に知っておきたいデリバティブの基礎知識
当ブログではティッカー【QYLD】などのカバードコールETFをご紹介してきました。基本的には推奨は全くしません。しかし、このような商品の多様性が米国市場の優れたところの1つでもあります。
そのため、昨今は人気のあるETFや、ややマニアックなETFも取り上げるようにしています。
さて、【QYLD】などのカバードコールETFです。これは「カバードコール」というぐらいなので、これは「コールオプション」を使ったETFです。
オプションそのものの話に触れるとそれだけで長くなるので、過去記事ではカバードコールETFが使う「コールの売り」にしか触れてきませんでした。
しかしながら最近は、他のオプション戦略を用いた米国ETFを日本で取引できるようになってきました。そこで、オプションを含めたデリバティブの基礎について少し書いておきます。
- デリバティブ=派生商品
デリバティブという言葉は英語で「~に由来する」を意味する”derive”の名詞で、何かから由来したもの、派生したものという意味です。
デリバティブが日本語で「派生商品」と呼ばれる理由です。つまり、デリバティブにはそのルーツになるものが必ずあります。
食品加工がわかりやすい例でしょうか。例えばぶどうから作られるワインはぶどうの派生商品ですので、ワインはぶどうのデリバティブです。豆腐は大豆のデリバティブです。
このルーツになるものとデリバティブとの間には連動性があります。大豆の値段が上がれば豆腐の値段が上がります。
金融商品の世界のデリバティブも豆腐と大豆の値段の関係と同じです。ルーツになるもの、それは株価であったりインデックスであったり為替であったりいろいろですが、その値段が動くことでデリバティブの価格も動く特徴があります。
金融商品のデリバティブの場合、ルーツになるものを「原資産」と呼ぶこともあります。
金融デリバティブ商品の3つの種類
デリバティブには大きく分けて次の3つの種類があります。
- 先物/先渡し
- オプション
- スワップ
1は「将来の価格」を「今」取引するものです。
例えば日経平均株価先物は3の倍数月の決められた日の価格を取引するものです。
2は将来取引する権利を取引するものです。1と2の違いは、1は先物のポジションを持っていれば、決められた日に取引は必ず実行されますが、2は権利を行使しないという選択肢があることです。
ちなみに世界初の先物取引所が、1730年に江戸幕府公認で大阪に創設された堂島米市場であるのはよく知られた話です。
3はその名の通り「交換」することです。交換の対象はいくつかありますが、一番わかりやすいのは「金利」でしょうか。
「固定金利」で融資をしている人は、今後金利が上昇すると予想される時、既に執行した固定金利の融資については金利上昇のメリットを享受できません。
この時「変動金利」の利息収入とスワップ契約を結ぶことで、金利上昇のメリットを享受するのです。
もちろん、「固定金利」の利息収入と交換してくれる相手を見つけて初めて可能になることです。
デリバティブの使い道と活用方法
大豆と豆腐のそれぞれの価格のように、原資産とそのデリバティブには一定の連動性があります。
デリバティブの使い道として最も一般的なものは、この価格の連動性を利用した「ヘッジ」です。
ヘッジ(hedge)とは「逃げ道を用意する」という英語です。浪人したくないと考える大学受験生が、本命とは別の大学も受験しておくようなものです。
デリバティブを用いたヘッジは、原資産の価格や損益が反対に動けばいいという特徴を使います。S&P500連動ETFのポジションを持つ人が、逆の動きをするインバース型のETFを持つ。すると、S&P500の下落時にインバース型ETFは逆の動きをしてくれます。つまり、S&P500の下落を相殺できることになるわけです。
もう一つ、「スペキュレーション」という使い方もあります。
英語のspeculationは「根拠なしの思い込み」という意味で、例えば、価格が上がるのか下がるのかわからないものを、「上がる!」と信じてロングのポジションを取るようなことです。
出典:たぱぞう作
デリバティブの対象となる原資産
原資産になるものはたくさんあります。
- 株式、株価指数
- 債券
- 金利
- 外国為替
- 暗号資産
- 天候
- 電力・エネルギー等
- 原油、金属、農産物等のコモディティ etc
【QYLD】等、既に当ブログでご紹介したカバードコールETFは、すべて米国の株価指数を対象としたオプション戦略を使っています。
わかりやすくするため原資産例としては株価指数を用い、デリバティブの種類としてはオプションにフォーカスを当ててみました。
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