創業者が経営する企業で構成されたETF【BOSS】
英語でBOSSは上司、社長、監督者という意味です。
外国人から自分の上司あてに電話がかかってきたとき、上司が不在だったら”My boss is absent now.”(私の上司は今、不在です)などというように、それなりにポピュラーな単語だと思います。
その単語がティッカーになったETFがあります。
Global Xが運用している” Founder-Run Companies ETF”、ティッカー【BOSS】です。
Founderは創業者、Runは経営するという意味なので、直訳すると「創業者が経営する企業ETF」になるでしょうか。 2017年2月13日にCBOE傘下のBATS取引所に上場しています。
ベースとなるインデックスはSolactive.A.G社の” Solactive U.S. Founder-Run Companies Index”です。Solactive社は2007年に創立されたフランクフルトに本社を置くインデックスプロバイダーです。
” Solactive U.S. Founder-Run Companies Index”は2010年5月14日からレコードがありますので、このインデックスのレコードを見て興味深く思ったGlobal XがETFを組成したといったところでしょうか。
その名の通り、創業者又は共同創業者がCEO(最高経営責任者)として経営している米国企業で構成されています。現在の構成銘柄は98社です。インデックスは5月にリバランスされ、8月、11月、2月にreviewされます。
出典:Solactive社 website
多くのFounderは自社の株式をたくさん保有していることが多く、その価値を増やすために経営も頑張るはずという前提に基づいたインデックスの組成でしょう。株主オリエンテッドな外国人らしい発想だなとも思えます。
【BOSS】の経費率は0.45%です。
インデックスが汎用的ではなさそうですので、やや高めに設定されるのは致し方ないところでしょうか。
【BOSS】の構成銘柄
出典: Global X
創業者が経営しているとなると、どちらかと言えば創業から日が浅い企業が多くなりがちで、どちらかと言えば時価総額が小さい企業が多くなるのは致し方ないところでしょうか。また98銘柄で構成される故か、1銘柄当たりのウエイトもとびぬけてはいないのが特徴です。
普段見慣れない企業が多いので、上位の企業に触れておきましょう。
【APO】 アポロ・グローバル・マネジメント
投資管理会社です。
年金・退職関連・政府系ファンドおよびその他の機関投資家や個人投資家のために資金を調達し、管理する事業を営んでいます。
【EEFT】 ユーロネット・ワールドワイド
電子決済プロバイダーです。
金融機関、小売業、サービスプロバイダーや個人消費者への支払いとトランザクション処理と流通サービスを提供しています。
【NXST】 ネクスター・ブロードキャスティング・グループ
テレビ放送やデジタルメディア会社です。
【PXD】 パイオニア・ナチュラル・リソーシズ
独立系エネルギー会社です。石油や天然ガスの探鉱・生産をしています。
S&P500採用企業です。
【SBNY】 シグナチャー・バンク
NY州に本社を置く商業銀行です。
BOSSのセクター構成
続いてセクター構成を見てみましょう。
出典: Global X
「情報技術」が多いですが、「金融」、「ヘルスケア」、「不動産」もウエイトが高いです。
創業者が経営しているという特徴を考慮すると、これらの業種は起業しやすいということが背景にありますね。
BOSSのチャートと取引値推移
設定から5年が経過しているので、S&P500と5年で比較しています。
足元の下落は大きいですが、それまではS&P500を概ねアウトパフォームして推移してきました。創業者企業にとって今は正念場でしょうか。
また、「創業者が経営者ではなくなる」とインデックスの構成銘柄から除外されるという特徴を持つ故、パフォーマンスに寄与していた銘柄が除外されると、NAVも影響を受けそうです。
わかりやすい例は2021年8月に除外されたAmazon【AMZN】ですね。
BOSSは残念ながら日本で取引できない
2022年2月時点でオンライン証券大手3社で取引できません。純資産が小さいので仕方ないですかね。
出典:US版 Yahoo Finance
構成銘柄には将来のお宝があるかもしれません。
例えばエヌビディア【NVDA】は【BOSS】の運用開始初期から採用されています。
【BOSS】の構成銘柄には、お宝探しの感覚で買ったら5年ぐらいたつと面白い企業があるかもしれませんね。そういう意味で、個別株投資の参考になるETFです。
関連記事です。
分配金が少ないように見える、円建てETFに関してのシンプル考察です。
ARKKのショート版ETFですね。
カバードコールETFについてです。