たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

カバードコール型の米国ETFで知っておきたいこと

カバードコール型の米国ETFの誤解を解く

 日本在住でも取引ができて、毎月分配を謳ういわゆるカバードコール型の米国ETFが静かに人気を集めているようです。

 

 当ブログでも、これまでにNasdaq 100 Covered Call ETF、ティッカー【QYLD】をはじめ、いくつかご紹介させていただきましたが、今日はもう少しカバードコールETFを紐解きたいと思います。


 最近このカバードコールETFに関してはちょっと誤解が生じているようにも感じる部分があります。基礎基本のところから取り上げてみましょう。

カバードコール型の米国ETFの値動きは決してマイルドではない

 【QYLD】に関して「値動きが比較的安定している」というコメントを時折拝見します。


 まずは値動きを検証します。まずは、【QYLD】の5年チャートを見てみます。

QYLDの5年チャート

QYLDの5年チャート

 5年間でみると概ね18ドルから26ドル程度の間にいますね。その差8ドルと思えば確かに比較的値動きは安定しているようにも思えますが、ちょっと考えてみましょう。

 

 20ドルが18ドルになったら-10%です。それを現在のS&P500に例えたら、400ポイント以上下落することと同じです。プライスが低い水準で推移しているとつい勘違いしがちですが、たとえ0.5ドルの変化でも【QYLD】のパフォーマンスは大きく変化します。

 

 また、1日の単位でみても、値動きは決してマイルドではありません。これは、NASDAQが1日で5%程度動いた2022年1月24日のチャートです。赤が【QYLD】、水色がNASDAQ100です。2つはほぼ同じような動きをしました。

QYLDとNasdaq100の値動き

QYLDとNasdaq100の値動き

どうでしょう?
やはり、【QYLD】の値動きは相応だと思っておいたほうがよさそうです。

カバードコール型の米国ETFにも分配金の天井がある

 Global X社が2020年9月に公表している” TAX PRIMER FOR GLOBAL X’S COVERED CALL ETF”というレポートがあります。ひとことで言えば、「カバードコールETFの税金入門書」といったところです。

 

 このレポートにこのような記述があります。

 “For example, for QYLD, the fund expects to distribute on a monthly basis one-half of the premiums received by writing calls on the Nasdaq 100, capped at 1% of the Fund’s net asset value (NAV).”

 

 「例えばQYLDに関していえば、NASDAQ100のコールオプションのプレミアムの半分を、NAVの1%を上限として毎月分配する」

 というような意味です。この記述を読み解くために、カバードコールを少しおさらいしましょう。

 

 カバードコールETFは原資産を1単位に対し、コールオプションを1単位売ることでポジションを組成します。


 【QYLD】の場合、NASDAQ100の構成銘柄を現物で所有し、NASDAQ100を原資産とするコールオプションを売っています。


 【QYLD】を運用するGlobal X社のWebsiteで確認できますが、株式が101銘柄(アルファベットが2銘柄あるため)と現金、コールオプションが保有されています。

上位の構成銘柄

上位の構成銘柄

 オプションは月に1度SQと呼ばれる特別清算日があり、それに伴い【QYLD】の場合は毎月ポジションを変えています。


 たとえば、2022年1月は、SQ日が21日でしたが、その日に清算される原資産価格15,925ポイントのコールを4055枚売っていたようです。

コールの売りが確認できる

コールの売りが確認できる

 1月21日には2月物のNASDAQ100コールオプションを保有しています。2月物のストライクプライスは14,800ポイントのようです。

 1か月でNASDAQ100が大きく下げていますので、コールオプションのストライクプライスも下がったということでしょう。

 

コールを売って得たプレミアムと呼ばれる部分が、【QYLD】の分配の原資

コールを売って得たプレミアムと呼ばれる部分が、【QYLD】の分配の原資

 このコールを売って得たプレミアムと呼ばれる部分が、【QYLD】の分配の原資になります。

 

 このオプションは、2022年2月18日のNASDAQ100が14800ポイント+プレミアム分より高くなれば、権利を行使され、【QYLD】は14800ポイント相当で株を売り渡すことになります。


 逆の場合は、コールの買い手が権利行使する意味がないので、【QYLD】側はコールを売ったときに得たプレミアムを得たままで終了します。

 

 つまり、コールを売ったプレミアムを確実に得るために、精算日におけるNASDAQ100の「コールオプションを行使されないようなストライクプライスでコールの売りを建てる」ことが【QYLD】に求められる戦略といえそうです。

 

 さて、コールオプションの価格、つまり【QYLD】の分配金の原資になるプレミアムは原資産価格が上昇すればプレミアムも上昇しますが、逆もまたしかりという値動きをします。

価格変化の方向

価格変化の方向

 長期で見れば高パフォーマンスであったNASDAQ100も短期的にみると軟調です。


 【QYLD】は現物とコールオプションの売りを保有するETFですから、NASDAQ100が下がれば、ETFの価格も下がり、コールオプションのプレミアムも下がっていくことになります。


 そして分配金はプレミアムを原資にNAVの1%を毎月分配の上限とするわけですから、NASDAQ100のプライスが下落したら、分配金の原資も上限も減ることになります。結果、【QYLD】のホルダーが受け取る分配金がどのように変化するかは想像がつきますね。

下落相場でどうなるかは注目に値する

下落相場でどうなるかは注目に値する

 それでも、NAVの1%を毎月分配してくれるということは、当月の分配額×12ヶ月÷NAVで計算される月当たりの分配利回りは12%前後になるという魔法のような分配利回りが維持できるわけです。

 

 分配利回りという数字をよく考えて投資したいものだと思わされる商品です。連続増配株の配当金のような感覚とは全く違うことが分かりますね。

 

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こちらもまとめ記事となっています。購入するならまず商品理解ですね。

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こちらはS&P500のカバードコールです。

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