アメリカン・エキスプレス【AXP】バフェット氏の中心銘柄の1つ
クレジットカードで有名なアメリカン・エキスプレス(AXP)です。VISA【V】やマスター【MA】と違うのは、アメリカン・エキスプレス(AXP)の場合は自身が発行体であるということです。また、トラベラーズチェックや旅行代理業、保険業など様々なサービス事業を行っています。
とはいえ、特に有名なのがやはりクレジットカード部門でしょう。
※アメリカンエクスプレスのページから
VISAやマスターは決済サービス料、つまり手数料ビジネスなのに対し、アメリカン・エキスプレスは発行体そのものなので、利用者の支払が滞った場合に自ら負債を抱えるリスクがあります。そのため、リーマンショックのような世界経済の危機時には株価はかなり下がりました。
リーマンショック直前で60ドルを超えていたのが13ドルまで下がっています。これは、1996年の株価レベルです。
会社創業の歴史は古く、1850年です。ヘンリー・ウェルズ氏によって設立されました。あの、ウェルズファーゴ【WFC】と同じ創業者です。
元は荷馬車で宅配荷物を扱う業者でした。1882年に郵便為替をはじめ、1891年にはトラベラーズチェックを世界で2番目に扱います。
そのトラベラーズチェックを使う米国人の海外での生活をサポートするために、19世紀後半からヨーロッパを中心に積極的な海外展開をします。1917年には日本にも事務所を構えています。
アメリカン・エキスプレスという社名はこの当時の事業内容の名残です。
その後、1958年にはアメリカホテル組合が経営していたクレジットカード会社を買収し、現在の業態が整います。
現在、クレジット業界ではダイナースと並ぶ業界トップのブランドイメージを持っています。特にブラックカードと言われるセンチュリオンカードは、ユーザーを選ぶ最高ランクのカードとして広く認められています。
年収1000万以上、年間利用が300万以上でインビテーションが届き、その年会費は35万円という話です。特に年会費がなかなかお元気な値段ですね。
アメリカン・エキスプレス【AXP】の配当とチャート
2006年 株価56ドル 配当0.15ドル
2016年 株価63ドル 配当0.29ドル
2018年 株価101ドル 配当0.35ドル
2017年初頭まではパッとしない株価でしたが、急速に株価が伸びました。2014年には95ドル近辺まで上昇しましたが、その高値を抜いています。2015年にコストコとの独占的契約が解除されたのは記憶に新しいところで、そのことから業績が懸念され、株価が下がり始めました。
しかしながら、結果としてコストコ時代の顧客の維持は比較的されていて、懸念されたほどの顧客流出はおきていません。 ネガティヴニュースを気にせずに買い向かった人が報われる結果になっています。
経済危機に対しての感受性の高さは覚えておいて良いですね。これは前述のように手数料ビジネスではなく、負債を直接抱える営業スタイルであることが大きく影響しています。
アメリカン・エキスプレス【AXP】の基礎データ
それでは、基礎データを引き続いて見てみましょう。
アメリカン・エキスプレス【AXP】の配当と配当性向
2015年から大増配をしました。それからはわずかに増配傾向です。リーマンショック時には株価はかなり下がりましたが、意外なことに減配はしませんでした。フリーキャッシュフローがかなり良く、増配余地は十分あります。
アメリカン・エキスプレス【AXP】のBPSとEPS
大手米国企業にしては珍しくBPSの増大に熱心ですね。きれいな右肩上がりをしています。ただ、EPSは昨年大きく落ち込みました。2018年に入ってからは法人税引き下げ対応であまり良い決算ではありませんでしたが、直近では盛り返しています。
アメリカン・エキスプレス【AXP】の売上と利益
地味ながら漸増傾向の売上です。独占的だったコストコカードからの撤退が不安視されましたが、売り上げ的にも殆ど影響がなかったことになります。営業利益率はだいたい10~20%を推移しており、VISAやマスターに比べると低い水準です。というよりも、トップ2社は異常な水準、高収益体質です。
アメリカン・エキスプレス【AXP】のキャッシュフロー
投資CFが少なく、理想的なキャッシュフローをしています。営業CFの殆どがフリーCFになるという、製造業などでは考えられない高収益構造ですね。ワイドモート企業らしい、素晴らしいキャッシュフローです。
アメリカン・エキスプレス【AXP】の株数とROE
経営的にリーマンショックの痛手から立ち直った2012年以降は自社株買いを復活させています。その後、順調に株数を減らしていて、6年間でピーク時の70%ほどになっています。ただ、2018年は減税に伴う税対応費を巨額に計上しており、自社株買いもストップしています。
VISA・マスターほどの圧倒的な利益体質ではないですが、その分株価も割安に置かれる機会が多く、魅力的な銘柄です。その傾向は今も変わりません。
懸念としては、モバイル決済を始めとする決済ビジネスのレッドオーシャン化ですが、それはVISA・マスターも同じですね。
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同じ創業者のウェルズファーゴです。金利高局面では銀行株は業績が上がりますね。
バンクオブアメリカです。こちらもバフェット先生が大量に買い付けています。
ややマニアックなオーストラリア株、ウエストパックバンキング【WBK】です。