たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

配当再投資の考え方、3つのかたち

配当再投資の考え方

 配当再投資という考え方があります。複利の効果を最大限に享受するには、得られた配当を使ってしまうのではなく投資商品に再び投資をすることが欠かせません。ちなみに、米国の証券会社だと配当をそのまま吐き出した企業の買い付けに回してくれるDripというサービスがあります。

 

 このようなサイクルになると理想です。

  • 株式を買う
  • 配当をそのままDripで再買い付けする(非課税・手数料なし)

 非課税・手数料なしだとかなりのメリットが出ます。長期投資にうってつけです。しかし、現実はそんなに甘くないですね。

 

 現状だと、米国で源泉徴収課税があり、日本でも2割ほどの国税・地方税がかかります。そのため、何もしないと配当金にはトータルで28%の税金がかかってきます。

 

100×0.9×0.8=72

 

 楽天VTIなどの投資信託は、分配金を出しません。そのため、最後の国内課税分を繰り越すことになります。そのかわりと言っては何ですが、米国源泉徴収課税分を確定申告で取り戻すこともできません。

 

 ともあれ、このようにして税引き後の配当・分配金を再投資していくということになります。具体的な方法はいくつかあります。

  1. そのまま吐き出した元の銘柄を買う
  2. 吐き出した元の銘柄とは別の銘柄を買う
  3. 全く違うアセットに投資する

 この3つがあります。

そのまま吐き出した元の銘柄を買う

 そのまま吐き出した元の銘柄を買うのが最もシンプルな方法ですね。ただし、銘柄には栄枯盛衰がつきものですから、この配当金を生かして、リバランスをしながら買い進めるという方法のほうが一般的です。

 

 単純に元の銘柄を買ってほったらかしておいて良いのは、VTIなどの総合的な株式ETFということになるでしょう。ただし、資産が増えてくると状況は変わってきます。

吐き出した元の銘柄とは別の銘柄を買う

 比較的再投資のしやすいETFの場合でも資産が大きくなり、債券ETFや金ETFをトッピングし始めるとアセットアロケーションそのもののリバランスが必要になります。それを自動で行うのがウェルスナビやTHEOといったロボアドバイザーですね。

 

 あの再投資の考え方、やり方はまさしく配当再投資の手法そのものです。THEOはさらにアクティブに、時機に応じた取引をしていますね。ウェルスナビは買うETFを絞り、それのリバランスに集中しています。

全く違うアセットに投資する

 配当や分配金で得られた資金を元に、全く違うアセットに投資するという方法もあります。これはもはや配当金再投資ではないかもしれません。しかし、利回りを最大化する、利益の源泉を分散するという意味では無視できない方法です。

 

 例えば不動産・太陽光などで得られた資金をもとに、株式に投資するという方法があります。また、その逆もあります。いずれにせよ、高度に発達した現代社会において、各アセットの相関性は高まっています。

 

 そういう意味では不動産の家賃収入、太陽光の売電収入というのは変動幅が株式相場ほどありません。資産価値はもちろん変動があるのですが、インカムは殆ど変わりません。そうした理由から、相場から距離を置くという意味でハードアセットを購入する人もいますね。

 

 また、逆に人口減社会であることを踏まえて今ある不動産収入を米国株式に置き換えている人もいます。不動産収入を人口先細りのフローと考え、米国株式をストックと考えると自然な資産の分散、移し替えになります。

 

 いずれにせよ、どこに軸足を置き、サテライト投資をどうするかということですね。

高配当株から得られる資金をどのように再投資していくか

 いつもたぱぞう様のブログを楽しく拝見致しております。非常に興味深く、参考にさせていただいております。

 

 就職した22歳から投資を始め現在家族持ちの34歳です。日本株を購入しておりましたが、昨年より米株に絞って投資を始めました。インカムゲイン月10万が目標で、独立、且つ独立リスクの低減を目指し投資しております。

現在の資産は

  • 日本株 700万
  • 米株 120万

です。

 都度資金を投入しておりますが、今回は配当金の再投資について相談させて下さい。
現在、配当金は26万/年ございます。

 自動車産業でサラリーマンをしているため、現在は遠い4産業、12社でポートフォリオを組んで現在投資、及び配当金の再投資をしています。

  • 医薬:PFE,MRK,ABBV,JNJ
  • 公共:SO,DUK
  • 生活品:PG,UL,KO
  • IT:T,VZ,QCOM

※現在、約各10万円ずつ保有。別途銘柄を増やす意向はありません。

 配当金を今後も上記銘柄を買い増しの購入に当てるか、もしくは高配当なVYMなどのETFの積立に使うべきでしょうか。配当金の投入タイミングについても考え方をご教示いただけると助かります。


 たぱぞう様是非ともアドバイスいだだけましたら幸いでございます。宜しくお願い申し上げます。

 配当金を最大化していくと同時に分散を図る

 当面の目標は配当金を最大化し、不労所得を拡大させていくということになりますね。目安で言うと、株式資産で1000万程度というのが目標になってきます。飛び級として、不動産・太陽光でインカムの最大化という手もありますが、それは前述の「他のアセットに投資する」ということになります。

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 すでに資産の多くを高配当銘柄に割かれているので、このまま上記の株式に再投資しても良いでしょう。ただ、注意が必要なのはどの銘柄も個別株特有のリスクはあります。

 

 例えばヘルスケアは業界全体としては世界人口増、高齢化に伴う成長産業であることは間違いありません。しかし、医療費増大に伴う社会保障費の負担増は各国政府の喫緊の課題になっており、それは米国も日本も同じです。

 

 要は、社会保障費はどこの国も抑えたいのです。例えば、かつてに比べると新薬に対する特許も短くなっており、収益構造は厳しくなっています。ブロックバスターと呼ばれる新薬の開発に各企業が血眼になっています。しかし、その賞味期限も長くはない、そういうことです。

 

 業界トップのファイザーでさえM&Aで新薬を手に入れることに力を注いでいます。図抜けた研究費を投入して自社開発を目指しても、険しい道なのです。

 

 公共は人口増加地域であれば、派手さは無いですが安定的に配当を吐き出してくれるでしょう。しかし、株価成長はあまり見込めません。通信もかつては似ていましたが、AT&Tなどはメディア買収戦争の主役になっていますね。

 

 要は個別株というのは事情が移ろうのです。このような個別株ならではのリスクがありますから、長期運用を目指すならば、銘柄分散というのが欠かせないということです。簡単なのはETFです。私ならばETFをおすすめします。

 

 ただし。米国金利の上昇に伴い、高配当株もかなり魅力が出てきました。セクターあるいは銘柄によっては買ってよい銘柄が散見されるようになっていますね。これは2017年には無かったことです。あえてまた個別というのは以前に比べると妥当性が出てきました。

 

 買い方ですが、あんまり少額だと手数料負けします。目安としては1200ドル程度になります。そうすれば手数料でだいたい0.5%程度になりますから長期保有ならば許容できる範囲ですね。ご質問ありがとうございました。

 

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  分散という意味では、アセットクラスをどのようにするのかというのが基本になってきますね。

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  ベストリターンということでは高配当系は見劣りしますね。しかし、月々の安定感あるインカムという意味ではまた違った魅力があります。高配当株が債券とニーズの面で競合するのは非常に理解できるところです。

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  私の場合は太陽光にも投資をしています。また、マイニングにもちょこっと手を出しましたが、個人的な感想としては仮想通貨はピークは終えましたね。一言で言うと、「やりすぎ」ということです。

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