遺産相続で得た7000万円をどのように運用するか
日本は累進課税であり、相続税も重いことから、諸外国に比べるとこれでも平等社会になっています。これは第二次世界大戦の敗戦から、当時の財閥や地主が解体されたことが大きく、その思想は今も生きているということです。
平成27年の法改正により、相続税は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」になりました。小規模宅地の特例を受けられる、相続人が居住するという条件ならば自宅不動産も80%減額で見積もられます。しかし、330平方メートルまでの適応です。
都内や政令市中心部で広い土地を持つようだと、たちまち大きく課税されるということになりますね。さて、今回は30歳過ぎで7000万円の株、500万円の現金を相続したという方からご質問をいただいています。
遺産相続で7000万円の株と500万円の現金を相続しました。
はじめて問い合わせをお送りさせて頂きます、ドナドナと申します。ブログは以前から拝読しており、大変勉強になっております。
この度、日本株約50銘柄約7,000万円、現金約500万円程の遺産相続を受けました。日本株の中身は、企業規模の大小、配当の大小様々です。
これまで自分たちで貯めていた分と合わせ、資産は総額9,000万円程になります(直近の株安で数百万円下がりました)。このうち、自分で行っている資産運用は、日米株200万円弱、Wealthnavi/THEOそれぞれ100万円、鎌倉投信30万円、iDecoは枠いっぱい利用、という感じです。
現在の我が家のスペックは次のとおりです。
私:32歳、年収600万円
妻:32歳、年収500万円
子供:来年第一子出産予定
株配当:年間130万円程
この先も可能な限り共働きの前提です。公立の校区が良いエリアに住んでいるので、子供の学校は高校まで公立で行けるのではないかと思っています。この前提で自分たちでおこなったシミュレーションを元に、直近では、実質金利0.65%の変動金利で、諸費用含めて6,500万円ほどの自宅を購入予定です。
たぱぞう様にお伺いしたいのは、このような状況であれば、たぱぞう様はどのような資産配分に、どのように移行してゆくかという点です。
私たちの中では利回り狙いか、配当狙いかも決まっておりませんが、安全策を取るのであれば日米の高配当株を中心にして残りはETF、利回り狙いであれば米国株、場合によっては一部ヘッジファンドを使うか、などと漠然と考えています。また、現状の大半を占める日本株からの移行は急激ではなく1年~数年かけて徐々に行うつもりです。
ブログのネタにして頂ける前提で投稿しております。よろしくお願い致します。
人生を変える岐路に立っていますね。
ドナドナさん、まさに僥倖ですね。これは子牛をのせている場合ではありませんね。さて、私ならばどうするかですが、まず日本株の取得単価を調べます。取得単価が極端に低くなければ売却します。
取得単価が低くてキャピタルが出すぎていると、そこでまた課税されます。そのような株はお宝株として業績に陰りが出ない限り持ち続けます。そして配当を得続けます。
とはいえ、すべての株がそのような大きな利益が出ているわけではないでしょうから、そこでかなりの部分が現金化されるように思います。いずれにしても、およそ1億円になりますので、分散投資を心がけます。ここでいう分散投資とはハードアセットとの組み合わせということです。
- 太陽光5基分、土地代 2500万円
- 不動産投資、自己資金用 2500万円
- 株式投資 2500万円
- キャッシュ 2500万円
私ならばこのようにします。ただ、太陽光はすでに閉じられつつありますし、不動産もメンターがいないと危険です。自分で勉強しても良いですが、並行してメンターと意見交換をしたいですね。不動産屋さんや金融機関を紹介してもらえる力のあるメンターだととさらに良いでしょう。ドナドナさんの属性としてはRCを狙えるレベルですね。
ご夫婦で属性が良いので、法人を作って資産運用をすると劇的に効率化できるレベルになっています。
残りは株式投資です。本当ならばすべて米国株投資にしたいところですが、日本株の売らない分を入れるので株式投資としています。
ここは勢いで5000万円を投入することは避けたいですね。不動産で良い物件がでれば大きく張るかもしれませんし、ハードアセットにつきものの経費などが発生するかもしれないからです。
遺産相続を無理なくペーパーアセットで運用するならば
ただし、ハードアセットを組み合わせるとどうしてもハードルが上がります。人脈や知識、経験が必要になるからです。
参考にならないといけませんので、あまり株を知らない私の親族にアドバイスをするとしましょう。このようにアドバイスをします。
もし、遺産相続を無理なくペーパーアセットだけで運用するならば、月々100万円ずつVTIのみを買っていきます。自動設定で買います。さらにドル転してドルで買い付けていきます。
外国税額控除を好まないならば、投資信託でも良いでしょう。高配当株は勧めません。若いのと、お仕事を継続する意思がおありなので、当面大きなインカムは狙わなくてよいからです。
これと並行して、積立を中心とした投資信託やETFの本を読み進めます。すでに個別株で勝負するような金額ではないからです。アーリーリタイアするならば別ですが、これだけの相続がありながら共働きということですから勤労意欲が高い方とお見受けしました。
そうだとするならば、投資信託やETFで十分です。ただ、上のステージを狙うならば個別の勉強も必要ですね。
読み進めるうちに、もっと追加投資しても良いと判断できたら、投資するスピードを早めます。時間はゆったり。10年後を目途に、7割株式、3割債券か現金というポジションになっていれば良いでしょう。VTI7割、BND3割です。シンプルで管理のしやすいポートフォリオが完成します。
もし、米国集中投資が不安ならば、VTとBNDXに置き換えても良いでしょう。
2009年、2011年、2015年のころのように〇〇ショックがあればポジションを高めても良いでしょうが、今はそのような局面ではないと思っています。さすがに10年も待てば、買い場は必ず来る。そう信じています。その時こそ、蓄えた知識と経験で、積み立てを加速させればよいですね。
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こちらの方は2億円でアーリーリタイアということですね。
1億円あったらどうするかということですね。やはり見えてくる景色、人生の選択肢が変わりますね。年齢にもよりますが、全くのリタイアというのは難しいレベルです。
老後であれば、7000万円あれば安心ですね。子育てを終え、支出が絞られるのが大きいです。