米国株は試される相場になっている
米国株は値動きの激しい相場になっています。
青色=Amazon
赤色=全米株式ETF【VTI】
水色=債券ETF【AGG】
上図は半年チャートです。Amazonが一時期半年で30%も上振れしていました。VTIも10%ほど上振れしていました。10月の株価変動でいずれも仲良く債券レベルまで落ちてきています。やや株価上昇のスピードが急すぎましたね。時計の針は急には回らないのです。
特にAmazonは大型株でありながら大変値動きが激しくなっています。決算単体ではそこまで悪くなかったものの、ここまで売られるのは極端に買われすぎたせいでしょう。期待値が高すぎ、それがコンセンサス予想に反映されていましたね。
過大な成長を期待され、過大な株価になり、失望されて萎んでいく。規模を考えると成長率自体は驚異的ですが、人気株の宿命ですね。PERなどで説明できない株の典型ではありますが、異常な乖離はやはり調整が入るというですね。
一時期はSNSなどでも「Amazonさえ買っておけば」という万能感のようなものさえ漂い始めていましたから、ある意味ではよいふるい落としだと思います。
株式売買の1つの傾向
昨年は新興国株が大変買われていました。新興国株を組み込んでいた投資家は我が世の春を謳歌したのではないでしょうか。
また、昨年と今年の中頃まではハイテク株が特に好調で、これらのハイテクを組み込んでいた投資家は高パフォーマンスでした。
これに対して高配当株投資家や債券を組み込んでいる投資家はどうだったでしょうか。ブレずに淡々と積み増す人もいれば、耐えきれずに遅れてハイテク株や昨年の新興国株に飛びついた人もいました。
しかし、最近のような調整相場になってくると、高配当株投資をしている人や、債券をきっちり入れている投資家はそれなりの強みが出てきます。
もっとも、ハイテク株投資をしている場合でも、年数を経ている人は意に介さないレベルの相場の値動きでしょう。
いずれにしても、その都度トレンドを気にして、飛びついては離れて、を繰り返しているとそれぞれの反落を食います。ややもするとこれだけの恵まれた相場だったにも関わらずマイナスになっているというケースもあるでしょう。
株式相場というのは奥が深く、様々な投資手法があります。その人その人に合った方法を取ればよいのですね。
「新興国が上がっているから」
「最近のAmazonが上がっているから」
こういう理由で買い続けると、常に遅れてトレンドに乗ることになります。こういったボラティリティの高い株は上がるときは上がるし、下がるときは下がるのです。その激しい値動きに巻き込まれます。
長期投資の視点に立つならば、コアになる投資を決めてコツコツ買っていくのが良いですね。いずれの投資も否定できないのは、人それぞれの背景があっての投資だからということです。
広い意味では米国株全体も同じ
大きな意味では昨今の「米国株推し」も同じようなものですね。確かにVTIやS&P500連動ETFを買っておけば安心ではあります。しかし、常に上がり続ける、投資はこれだけでオッケー、というような過度の期待が集中するのは、米国株であってもよくありません。
すでに世界の時価総額の半分以上が米国であり、GDP比で見ると大きく期待を集めていると言ってよい水準です。
トレンドの真ん中のアセットを持つというのは、心地よいものです。賞賛する意見や同じ行動をしている人があふれ、自分の考えや行動が肯定されているような気になるからです。
しかし、昨年の新興株、短期のAmazonが示すように、そこには陥穽があるかもしれないのです。
この相場の上下動の激しさは何を示唆するのでしょうか。相場の調整でしょうか。それとも、終わりの始まりなのでしょうか。いずれにしても、どうしてそのアセットを買いたいと思うのか。その根拠がしっかりしていればブレることはありません。
上下動の激しい相場というのは、その動機がしっかりしていない人にとっては格好の逃げ相場ですし、動機がブレない人にとっては格好の買い増し相場ということになります。逆境また愛すべし、ですね。
今の米国金利政策は大変よく機能していると解釈しています。昨年前半まではすべての米国株が上がっていました。その後、金利の上昇は債券的な役割の株を冷やし、新興国株を冷やし、ハイテクを冷やす。金利上昇スピードに歩調を合わせています。持続可能な株価上昇には欠かせないですね。
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個人的に今はポジションを落としており、相場の成り行きを見守っています。昔は値動きの激しい相場が好きでした。しかし、今はもうちょっと落ち着いて相場に取り組んでいます。
1月末以来の荒れ相場ですね。しかし、あのまま上げ続けても持続可能な相場にならなかったはずで、景気が良いうちに調整を挟むのは悪いことではありません。
暴落・調整への対応ということで書いた記事ですね。