たぱぞうの米国株投資

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新興国債券投資のメリット・デメリット

新興国債券投資のメリット・デメリット

 新興国債券は、おおむね利回りが高く、ある意味ではハイイールド債のような側面があります。これは単純に二つの理由が大きいです。

  • 国・中央銀行の信頼が薄い
  • インフレ負けしないように利回りを高くする必要がある

 国・中央銀行の信頼が薄い理由としては、地政学リスクや対外債務の多さ、外貨準備高の少なさなど様々です。そうした要因がリスクとして捉えられるので、債券だけでなく通貨の信頼も薄く、年々減価していくような形になります。

 

 結果的にインフレになるのですが、このインフレ率を下回るような利回りの債券には魅力がありませんから、必然的にインフレ率を考慮した利回りで発行されることになります。

新興国債券投資のメリット

 メリットは何といっても高利回りでしょう。特に日本債券の利回りが厳しいですから、私たち日本人にとっては特に魅力に映ることと思います。

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日興アセットマネジメントから引用

 この表を見てもドル建てベースでの新興国債券は5%から6%台をキープしており、かなり高い利回りと言えます。これは、ハイイールド債や優先証券などと比較しても悪くない利回りです。

 

 インカムを狙う投資家に一定の人気があり続けるのはこういうことです。

新興国債券のデメリット

 新興国債券のデメリットは先に述べたようなリスクがあります。株式投資にも下落リスクはありますが、新興国債券にもデフォルトリスクを始めとする様々なリスクがあります。昨今のトルコのような通貨下落もそうでしょう。

 

 そういう意味では、集中投資をするような対象にはなりにくく、分散投資が基本になってくるというのは間違いのないところです

 

 加えて、日本国債や米国債に期待するような「資産総額の動きをマイルドにする」というような働きはやや期待しにくい、むしろアグレッシブな投資ということになります。

 

 加えて、今は米国金利高ですから金利差から言ってもやや魅力が薄れているのは事実と言えます。実際に新興国株式も資金流出が見られますね。さて、こうしたことを踏まえて、ロシア債券に関してのご質問を紹介します。

新興国債券の中でもロシア債券に注目しています。

たぱぞう様

 いつも該博な知識と幅広い好奇心に驚嘆して拝読させていただいてます。ご批判たまわりしたく、メールしました。テーマは新興国債券です。

 

 男性40歳独身で、ロシアに駐在している日本企業サラリーマンです。日本円で1000万円の資産のうち、計700万円分をドル建ての様々なロシア社債(国営大企業がメイン、平均利回り6〜9%)やドル建て国債(額面クーポン12%、利回り7%)で保有しています。

 

 これらに毎月45万円、分散して積み立てています。このほかはルーブル建ての定期預金(平均金利7%)などです。1年後の帰国後はリスク分散のため米国の高配当株や債券に毎月積み立てようと考えています。

  • ロシアのドル建て債券:70%
  • ルーブル建て定期預金:20%
  • 円現金:10%

 これが現在の配分比率(アセットロケーション?)です。

 このペースで積み立てを続けられれば(帰国後は月30万円)、5年後に複利込みで5000万円(ドルベース)になり、早期退職金の3000万円と合わせて債券利息によるリタイア生活に入れると夢見ています。

 

 アメリカの対ロシア制裁で保有の債券価格が最近急落して含み損になってますが、クーポン目当てで償還まで持ち続けるので気にしていません。また、リタイア後はほかの南米などの新興国で定期預金や債券を分散しようと考えています。これらの国々を旅行し、日本にいる期間は少ないので、円との為替差損も気にしません。

 

 以上のようなビジョンなのですが、ロシア国家が破綻するようなカントリーリスク以外にもどこかに落とし穴があるのではと心配しています。日本での一般的な投資ではなく特殊な事例で大変恐縮です。新興国はご専門ではないかもしれませんが、「これが間違っている」とご指摘いただければ幸いです。

新興国高利回り債券のへの集中投資

 たしかに面白い投資をなさっていますね。ロシアは2014年末にクリミアの1部を併合をして以来、米国を中心とした西側諸国に経済制裁を発動されたり、原油安に巻き込まれたり、厳しい状況が続いています。

 

 実は私もそのころに短期でロシア株投資をしました。ちょっとのリバウンドですぐに逃げましたが、配当利回りで10%近いものもあったのを記憶しています。

 

 ロシアは、インフレ率も高め、4%程度も珍しくありません。政策金利が7.5%であることを考えると、そのギャップは思った以上に薄くなると言えます。

 

 こうしたことを踏まえると、私が質問者様のような投資ができるかといえば、やはり躊躇します(笑)

 

 理由は、株式も含む新興国投資の基本とも言える分散投資の真逆だからです。おっしゃるように、リスクが表面化しなければそれなりのリターンは得られるかもしれませんが、表面化した時のダメージは相当なものになります。

 

 トルコリラ暴落に伴うルーブルの下落も一つの表面化と言えるでしょう。

 

 ご資産の90%がロシア関係というのは、昨今の新興国の置かれた状況を考えてもちょっと恐怖感がありますね。いかがでしょうか。

 

関連記事です。

  私も以前投資をしていた、ロシア株ETFです。やはり安定成長というわけにはいきませんので、インデックス投資のような手法というよりは、地政学リスクを含む様々な局面でのうねり取りに適していると感じます。ちなみに、ロシアはすでに人口減少に転じており、市場の拡大はあまり望めない国です。

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  こちらは近年ロシア以上に落ち着かないトルコETFです。トルコリラの暴落の影響を受け、10年でマイナス50%という低パフォーマンスを発揮しています。トルコETFもまた長期保有には適しませんが、ボラタイルなところが魅力と映る人もいるでしょう。

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  日本国債はどうか、ということです。 私は不要だと思っていますが、人気は高いですね。

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