Vanguard FTSE All-World ex-US ETF【VEU】とは?
VEUは米国以外の大・中型株式を投資対象とした米ドル建てETFです。2007年5月に運用が始まっています。NYSE上場です。
ベースとなるインデックスはFTSE社が算出する“FTSE All-World ex-US”で、時価総額加重平均型です。
例えば、Vanguard Total Stock Market ETF【VTI】で米国株投資をしているときに、米国株以外にも投資してみたいと思ったときに都合がいいETFでしょう。組み合わせると、オールカントリーらしきPFが作れます。
ティッカーの【VEU】は、「VanguardのEx-Us」と覚えれば、記憶しやすいですね。
経費率は0.08%と非常に低い水準です。Vanguard社によれば、類似ファンドの平均は0.94%です。そういう意味では【VEU】のコスト優位性は明らかです。
【VEU】のチャートと分配金
コロナショック時にはあおりを受けて大きく下落しましたが、それ以降は急速に基準価額を回復しています。とはいえ、現在の水準は取引値ベースで2007年のリーマンショック前の水準を回復したにすぎません。
VTなどのオールカントリー系ETFも伸びているため、世界株式が順調に伸びたかのような気になります。しかし、内実としては米国株の突出したパフォーマンスが大きく寄与していることがわかります。
この間、米国株投資に集中した人は大きな果実を得ることができたでしょう。今後、この揺り戻しが来ると考えるのか、それともこの傾向は続くと考えるのか。それにより投資行動は変わりますね。
分配金は運用開始から数年は年に1度、その後四半期に1度実施しています。よく言えばコンスタントな分配金額といえるでしょう。基準価額が上昇しているため、足元の分配利回りはそれほど魅力的ではありません。
増配、つまり右肩上がりとも言い難く、なかなかポジションとしては微妙なETFです。
VEU】のパフォーマンス
VEUのパフォーマンスです。見ての通り、株式系のETFとしては弱いですね。10年で1.6倍、やはり米国を含んでいないと厳しいリターンになりますね。ほとんど債券並みのリターンになっています。
株式ETFであるがゆえのボラティリティを考えると、例えばセルフで世界分散投資をするなど何らかの動機が欲しいところです。
【VEU】地域別構成比
Euro圏が約4割、太平洋地域が約3割、新興国市場が約2割5分という構成比です。
太平洋地域は日本、オーストラリア、香港、シンガポール、ニュージーランドを指し、中国は新興国にカテゴライズされています。
国別では日本のウエイトが一番高く、中国、イギリスが続きます。
【VEU】セクター構成と比較ETF
Industry Classification Benchmark(“ICB”)によって分類すると、全体の約2割が金融サービスです。金融ショックにはややネガティブなプライスの動きをするETFでしょう。テック系が伸びている米国株と大きく違うところです。
逆に言うと、米国株のテック系が圧倒的に強い、それは世界的な傾向であり、その裏付けとも言えます。時価総額ランキングなどでも金融は各国で上位に位置しますね。
【VEU】と比較するETFとして、Vanguard total international stock ex-US ETF【VXUS】があります。こちらは【VEU】より後、2011年から運用が始まっています。【VEU】との違いは小型株も入っていることです。
基準価額の推移にはほとんど差がありませんが、足元は小型株の弱さが【VXUS】の足をやや引っ張っています。小型株が好みならば、【VXUS】を選好ということになるでしょう。ただし、下記のように顕著な差があるわけではありません。
ちなみに経費率はどちらも同じ0.08%です。
【VEU】の使い方
VEUはすでに米国株投資に取り組んでおり、分散をしたい人に向いているETFです。米国株ETFに投資をしていたが、米国株比率を上げずにPFをオールカントリーに変更したい、こういったニーズを満たすものです。
米国以外の銘柄のスクリーニングを自分ですべて行うのはそれなりの手間と時間がかかります。銘柄選びの手間を省いてETFにゆだねてしまえる点がVEUの良さといえるでしょう。
SBI証券、楽天証券、マネックス証券等で取り扱われています。
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