海外赴任者は株取引・つみたて投資が継続できないのか
海外赴任をすると、株取引や積み立て投資が大変やりにくくなります。日本の証券会社は海外、つまり滞在国での株取引や金融商品の取引に関する免許を持っていないからです。
そのため、一般的な案内としては「海外赴任者、つまり日本国内非居住者は株取引及び積み立て投資などのサービスを利用できません」ということになります。
しかし、実態は海外赴任経験者を見ると「実際はしれっと続けている」ケースが多く、気にせず株取引をしている人が散見されます。特にマイナンバー以前の海外赴任者はそうでした。
郵送物などを電子扱いにしている人は、ほとんどすべての連絡事項がネットで完結します。国内住所を特に必要としないため、「しれっと続ける」のも可能だったのでしょう。株主優待などを利用している人は、実家を登録先住所にして、〇〇様方ということで対応したという例も聞きますね。
また、証券会社や銀行の立場に立ってみても、あえて個人のマイナンバーを求め、顧客情報の照合を行うメリットはありません。国にしても、国際法上の建前は「ダメ」ということになりますが、しっかり源泉で納税していれば税収もあり、デメリットは薄いです。そのため、今まではナアナアの非常にゆるい規制になっていたわけです。
状況が変わるとすれば、個人のマイナンバーを把握することができ、証券会社や銀行を監督する立場の国の姿勢の変化ということになります。
つまり、国が何らかの理由で規制に本腰を入れ始めたら、いよいよ厳しくなるということになるのでしょう。そういう意味では、現状のきまりを知っておき、しっかり対策をしてから渡航をしたほうが安心・安全であることは間違いないですね。
さて、ここで海外赴任を目前に控えた人からのご質問を紹介します。
海外赴任前に証券会社で休眠口座手続きをしておこうと思います。
たぱぞう様
毎日ためになる記事を発信いただきありがとうございます。お忙しいところすいませんが質問させていただきます。
私は数年前から少しずつUSドル建ての投資を始め、現在SBI証券にUSドルで
- VOO:1.0百万円
- VYM:1.0百万円
- HDV:1.0百万円
- BND:0.2百万円
- 外貨建MMF:3.0百万円
その他日本円で
- ウェルスナビ:1.8百万円
- 楽天VTI(松井証券で積立NISA):0.4百万円
等、投資資金を運用しております。上記は運用資金で生活費等は別途預金にて確保しております。この度、まだ未確定なものの会社より海外赴任の打診(3年程度)を受けました。
すでに一度海外赴任を経験しており、その時は3から5年と言われ、6年10か月赴任しておりましたので、今回も予定より長そうですが。。。
そこでSBI証券、松井証券、ウェルスナビに海外赴任になった場合どうすればよいか質問したところ、以下のようになりました。
- SBI証券、松井証券:休眠口座手続きをすれば、一般口座で赴任中の預かりは可能、ただし帰国後特定口座への戻しは不可。
- ウェルスナビ:解約が必要
そのままの維持、帰国後特定口座への戻しができないことがわかりました。
そこで何か別の手段がないか調べていたところ、マネックス証券は出国前に休眠口座手続きをすれば、帰国後特定口座に戻すことが可能とわかりました。ただし、海外株式、債券、外貨建MMF等外国商品は預かり不可のため、運用商品を国内投資信託等へ変更する必要があるとのことでした。
そこで株式部分は
- 楽天VT、VTI、VYM
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、先進国株式、全世界株式(除く日本、オール・カントリー)
- iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)等で運用しようと考えております。
一方、債券・外貨建MMFについては
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス
- iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)
等で運用しようと考えております。そこでたぱぞう様にご意見をうかがいたいのですが、3年程度取引が出来ない場合、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF(1655)、iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)への投資についてどう思われますか。
特にiシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)については、類似?のiシェアーズ 米国債ETF-JDR(米7-10年国債)(1363)が昨年上場廃止されたようなので突然の上場廃止を心配しております。
また、上記の楽天、およびeMAXIS Slimシリーズ以外にもよい国内の投資商品がありましたらお薦めいただけないでしょうか。投資に絶対はないことは重々承知しておりますが、参考にたぱぞう様のご意見をいただけるとありがたいです。
最後になりますが、これからもお体をご自愛いただき、ご活躍されることを祈念しております。よろしくお願いいたします。
海外赴任者にとって、継続した株式の買い付けが最大の課題
休眠口座扱いで、帰国後に特定に戻せるというマネックス証券の対応は良心的と言えそうですね。一般口座扱いになると、手間が非常にかかります。そうなると、日本円ベースでの買い付けで寝かせておくというのも手ですね。
もっとも状況はしばしば変わりますので、渡航前と渡航後に取引先証券会社に直接ご確認をされることが大前提です。
商品に関しては投資信託は弊ブログでは2つおススメしています。
- 楽天VTI
- eMAXIS Slim米国株式
ETFとしては、iシェアーズ S&P500 米国株 ETF【1655】も良いですね。同じように、2558や2633もよく、後者二つのほうが信託報酬は安いです。
債券ETF・投資信託に関しては、BND・AGGのようなトータル債券というものが無いですね。そうなると、消去法でiシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)が選ばれるということになります。無理せず、キャッシュポジションでも悪くないでしょう。
円建ての投資で米国投資をしようとすると、特に債券クラスで商品が限られるというのが実情です。為替変動のほうが債券利回りよりも大きいので、需要が無いというのが見立てなのでしょう。
もし、滞在期間が長期にわたるならば、海外で証券口座を開くというのが1つの解決策になります。ちなみに、香港などはキャピタルもインカムも非課税です。そのメリットが生かせます。
- 香港 HSBC・BOOM証券
- 米国 IB証券・firstrade証券
こういったところに定評がありますね。米国系は日本からでも口座が開設できます。
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つみたて投資の威力が分かります。複利運用をコツコツ続けていくことですね。
お金を増やすチャンス自体は激増したといってよいですね。
新NISAについてのお話です。