たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

米国株投資における暴落の予測

暴落率をピタリと当てることは不可能だけれども・・・

 株式市場の予測は難しく、様々な数字を使って専門家が予測しても、いつどの程度暴落するということをぴたりと当てることは不可能です。また、過去のデータを取り出してきても、それは1つの可能性に過ぎないということを知っておきたいです。

 

 しかし、歴史や経験、あるいは数字から近似値を出すことは可能だと思われます。また、暴落を迎える前に、心の在り方、つまり覚悟のようなものを持っておくと、ぶれない投資術を補強することになります。

 

 具体的に言うと、投資の方針ですね。といってもそんなに難しい話ではありません。

  • 分散投資の割合と中身
  • 定期つみたての金額
  • コアサテライトの割合と中身

 このようなものを決めておくということです。こうすることで、高い時に買い、安い時に売るという最悪の投資行動を避けることができます。

近年の米国株の暴落率は50%程度にとどまっている

 ここで、米国株の過去の騰落率を紹介します。

米国株投資における暴落の予測

米国株投資における暴落の予測

  暴落は実際に遭遇するとなかなか大変です。しかし、世界恐慌やITバブル崩壊など複数年にまたがる場合を除いて、投資家にとってはチャンスとなる例が多いです。結果的には資産をのばすことになるからです。

 

 とはいえ、オイルショックが43%、ITバブル崩壊が45%というのは知っておいて良い数字でしょう。世界大恐慌は80%以上の下落をしています。いずれも単年ではなく、複数年の継続した下落です。

 

 しかし、楽観的に考えるならば暴落に対する政府の介入、効果的政策については歴史による経験の蓄積があります。そのため、現在80%以上の暴落があると想定するのは悲観的に過ぎるのかもしれません。

 

 米国株暴落の歴史を近年50年に限って並べてみます。

 

  • オイルショック     43% 1972年
  • ITバブル、同時多発テロ 45% 2000年
  • リーマンショック    50% 2007年~

 

 この3つが大きな暴落であったと言えます。意外かもしれませんが、コロナショックは瞬間的な下落にはなりましたが、単年プラスで終えています。

 

 これを見ると、リーマンショックというのが100年に1度と言われるのが分かる気がします。1929年の世界大恐慌に次ぐ規模の大暴落であったということです。これらの数字から、40%-50%というのが現実的な想定のラインかと思います。

 

 過去に未来を見ているだけですので、数字的な根拠はないですが参考にはなります。

米ドルの暴落は1ドル80円近辺までか

 日本円に換算する場合は、為替の影響も含まなくてはいけません。私は資産をドルで捉えているので、今はあまり関係ありません。しかし、もし日本で暮らし続けるならば、将来的にはドルでもらった配当を円に両替することになるでしょう。

 

 そのため、為替動向も踏まえて暴落予想をしてみましょう。

為替・ドル円相場の超長期チャート

為替・ドル円相場の超長期チャート

為替・ドル円相場の超長期チャート

 固定相場制であったころの、360円というのはすでに現在の実態にそぐわない数字になっています。そうすると、だいたい1990年前半からの相場が参考になります。

 

  • 100円±25円

 

 この数字がおよそ20年間でのレンジです。この場合、予想されるレンジの円高ドル安ラインは80円前後です。1995年と2012年にこのライン近辺に到達しています。

 

 自分のドル購入の平均値にもよりますが、120円が平均購入単価ならばおよそ33%、100円が平均購入単価ならば20%が暴落ラインになります。

 

 予想される円高ドル安ラインをざっくりと80円として、両替した平均為替レートをからの下落率を出してみると・・・

  • 120円=-33%
  • 110円=-23%
  • 100円=-20%
  •  90円=-10%

 単純ですがこういうことになります。80円まで下がると、株式市場が下がらなくてもこれだけマイナスになります。

 

 もっとも、数十年という超長期では私は円安傾向になると予想しています。とはいえ、実効為替レートベースでは今もそれなりの円安傾向ですけどね。

 

 この20年がそうだったように、基本的には名目よりも実効為替レートベースでの円安がヒタヒタと進んでいくのでしょう。ドル資産で運用ポジションを持つ大切さはこういうことです。

米国市場暴落率とドル円暴落率を掛け合わせてみる

 米国市場暴落とドル円の暴落を掛け合わせてみます。リーマンショック時は市場暴落と円高ドル安が同時に進行しました。実際には米国市場暴落とドル円暴落が同時に来ることはないかもしれません。

 

 しかし、最悪を想定するのが今回の記事の趣旨ですので、その前提で計算します。ドル円は、110円を平均ドル取得のラインとしてみます。

 

  •  現在の投資ポジション100×0.5×0.77=38.5

 

 この数字が暴落の時の目安になります。38.5%にまで落ち込む可能性があるということです。これが120円でドル転をしているとどうでしょうか。

  • 現在の投資ポジション100×0.5×0.66=33

 現在の資金総額から33%まで落ち込む可能性があるということです。つまり、1億円あっても仮に120円でドル転していると実質3300万円になる可能性があるということです。なかなか大きな減価ですね。

 

 まとめてみます。

  • 120円------100×0.5×0.67=33.5
  • 110円------100×0.5×0.73=36.5
  • 100円------100×0.5×0.8 =40
  • 90円 ------100×0.5×0.9 =45

 米国株は為替の影響がつきものです。こういう単純な計算式でも、心づもりができてくるのではないでしょうか。

暴落に必要なのは事前の準備と心構え

 精神論のようですが、心構えがあるのとないのとでは相場に臨む姿勢が全く変わってきます。暴落時に押さえておきたいことがあります。

  1. 過去の暴落を乗り越えて米国市場は成長を続けてきたということ
  2. 米国市場の暴落の目安は-50%
  3. 為替は120円~80円のレンジ

 こういうことを知っておくと、暴落時に落ち着いて買い増すことができます。もし、自分の資産が現在の資産に比べて33%程度になったとしても、おちついてドル転をし、株式を買っていけばよいのです。

 

 コロナショックでもズバリ30%のドローダウンからのポジションが、のちに大きなリターンを生みました。 

 

 暴落時に躊躇なく買い進む、これは成長国である米国市場だからできることです。マクロでの予測が楽なのです。また、為替が動いたとしても、過去20年のレンジを踏まえて、ドル転のチャンスを逃さずにしたいものです。

 

 暴落に遭遇し、せっかくのドルを円転し、株式市場から退場してしまうのは、大きな機会損失と言えるでしょう。最悪のケースを想定しつつ、自分の定めた投資方針、キャッシュポジションに従って淡々とポートフォリオを形成していけばよいのです。

 

 そのためにも、過度にポジションを取り過ぎず、暴落時に動けるような姿勢が大事です。継続した投資活動を続けるには、やはり資金管理ということですね。

 

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