【SPXS】はS&P500の値下がり時に上昇する、ベア3倍ETF
SPXSというS&P500と逆の値動きをするETFです。3倍レバレッジをかけているので、大きめに動きます。名目上は3倍ということです。
右肩上がりのS&P500ですが、短期的に調整が入ることは当然あります。そのため、スポット的に売り仕掛けをしたいときに活用されます。
ブル型の3倍レバレッジであるSPXLの対極に位置するETFと言って良いでしょう。
【SPXS】のおすすめの活用法
基本的にレバレッジ系のETFは中上級者向けです。値動きが激しいので、安心して継続投資という買い方が難しいからです。また、SPXLはS&P500の逆の値動きをするので特に難易度が高いと言って良いでしょう。
相場の過熱感が高まった時や、経済の先行きが不安定な時に、「売り」から入るという目線で活用することになります。リーマンショック時のようなリセッション時には大きな値上がりが期待できます。
ただし、こういったリセッションの時は短期で大きく上昇、下降を繰り返します。そのため、こういった値動きの機微を捉えられる人が活用できるETFです。
よほど確信があり、売りから入りたいときに活用するのが、一応のおすすめの使い方となります。
【SPXS】の構成銘柄
SPXSの構成銘柄は、S&P500の構成銘柄に準じます。S&P500銘柄の売りを3倍レバレッジでしていると考えればよいでしょう。
順位 | コード | 銘柄名 | % |
---|---|---|---|
1 | AAPL | APPLE | 4.57 |
2 | MSFT | MICROSOFT | 4.49 |
3 | AMZN | AMAZON | 2.87 |
4 | FB | 1.84 | |
5 | BRKB | BERKSHIRE HATHAWAY | 1.65 |
6 | JPM | JPMORGAN | 1.63 |
7 | GOOGL | ALPHABET A | 1.5 |
8 | GOOG | ALPHABET C | 1.49 |
9 | JNJ | JOHNSON & JOHNSON | 1.43 |
10 | V | VISA | 1.2 |
11 | PG | PROCTER & GAMBLE | 1.16 |
組み入れトップ11銘柄です。 10にすると、Googleが2つ占めてしまうので、11にしてあります。
見ての通り、なかなかお元気な銘柄群で、これらの企業をまとめて空売りするのは勇気を要します。売り上げ成長率、営業キャッシュフロー、営業利益率、どれをとっても最優秀クラスです。
2000年のITバブルと大きく違うのは、各企業がしっかり数字を作ってきていることですね。
SPXSと他のETFの比較
続いて、SPXSと他のETFの比較を見てみましょう。
赤=SPXL=+216%
緑=VOO=+59%
青=SPXS=-87%
レバレッジ系はこれに限らず正確に3倍になるわけではないことに注意が必要ですね。過去5年のチャートですが、よほど特別な理由がない限り買いにくいチャートになっています。
【SPXS】の取引値と分配金
【SPXS】の取引値推移と分配金を見てみましょう。
きれいに右肩下がりになっています。似たようなチャートとしてVIX ETFのチャートがありますね。このチャートを見ると、むしろピョコンと上がったところで売りたくなる、そういう衝動に駆られますね。VIX ETFはまさにそういう使い方をされています。
- 2016年 取引値 100ドル
- 2018年 取引値 35ドル 分配金0.102ドル
- 2019年 取引値 12ドル 分配金0.037ドル
2018年末の調整で35ドルまで上昇しましたが、すぐに下げています。また、2018年以降は分配金を出しています。
市場が調整した時の上げ幅はそれなりですが、あくまで短期勝負、将来的に減衰し続けるETFですね。
さて、前段が長くなりましたがご質問の紹介です。
SPXSなどのベア型ETFを保持し続けるか迷う
たぱぞう様
お疲れ様です。激辛カレーです。
先日は私の初心者丸出しの質問に回答を頂きありがとうございます。
今回はSPXSなどのベア型ETFについて、ご意見を伺いたく質問いたしました。
大暴落がくるくると言われ出して2~3年が経ちますが、現在S&P500は過去最高値を連日更新していますよね。私はこの高値圏になる少し前にSPXSを一括購入してしまい現在-10%以上の含み損を抱えています。
しかし、余剰資金のため相場が逆転するまでホールドする予定です。
大暴落が来てもしS&P500が-40%位になれば10倍位になるのではないかと夢見ています。
SPXSはリーマンショック後で設定されましたので、大暴落を経験していません。もし、大暴落が起きれば、設定来の最高値を超えるのでは?と考えています。
しかし、SPXSは値動きの率が3倍になるので、現在の取引値が小さくなってしまうと、もしかして買値に戻る程度かもしれないと感じだしてきました。
例えば、SPXSの取引値が10ドルの時に、S&P500が-10%下落しても、SPXSは3ドルしか上がらないと思います。取引値が下がり切っているSPXSはもし大暴落が起きても、そんなには値上がらないのではないかと思い出して自信がなくなってきました。
暴落は少しの時間で一気に下がるので、取引値が下がり切っているSPXSは私が思っているほど値上がりしないのでしょうか?
たぱぞう様は大暴落前提のこの投資方針をどう思われますか?あまりベア型ETFについて期待しているブログがないので、私の方針が合っているのか自信がなくなってきました。
また、SPXSの評価はどのような感じでしょうか?
SPXSは長期目線で買うETFではない
まず、言うまでもなくSPXSは長期目線で買うETFではないですね。また単純なテクニカルでも底打ちが見えません。そのため、買いタイミングをつかみにくいチャートになっています。
私ならば、見込みが違った時点で早々に退散します。米国株の場合は、下げを期待して待つよりも、上げを期待して持つほうが楽です。
もちろん、短期的に売りの目線を持っておいたほうが投資の幅は広がります。しかし、何か月もベアETFを持つような相場でもないので、見込み違いの修正は都度必要になってきます。もちろん、いつかは反発するでしょうが、そのいつ、が難しいのです。
レバレッジ系は、基本は短中期での保有、目先の相場観がずれたら手放す、というのが大けがしない投資術かと思います。全ての投資が成功することは無いので、スパッと損切りというのも大事ですね。
何か参考になれば幸いです。
関連記事です。
いろいろな投資方法があります。試す、というのは大事ですね。
キャピタル狙いの投資とは対極に位置する、インカム狙いETFとして人気のETFです。
売りならばCFDから入るという手もあります。こちらも上級者向けの投資術になります。