高配当利回りと低ベータの掛け合わせ東証ETF【2253】
2023年7月13日に東証に上場した、グローバルXスーパーディビデンド-US ETF【2253】(以下: 【2253】)をご紹介します。
ベースとなるインデックスは” Indxx SuperDividend® U.S. Low Volatility Index”です。
indxx社は米国とインドに拠点を置く、インデックス・プロバイダーです。
米国に上場する高い配当利回りと低いベータ値を持つ銘柄により構成されます。ベータ値とは、インデックスの動きを1とした時に、当該銘柄の値動きの大小を示すものです。
インデックスの動きより上にも下にも大きく動く場合にはベータ>1となり、高ベータ銘柄と呼ばれます。
Indxx SuperDividend® U.S. Low Volatility Indexは米国に上場する株式、MLP、REITのを対象とします。そのうち、流動性の要件を満たし、かつベンチマーク(Indxx 500 Index)に対するベータ値が0.85以下である銘柄が基準です。
さらにその中から12ヵ月配当利回りが高い50銘柄で構成されます。
MLPとは”Master Limited Partnership”の略称で、米国で行われている共同投資事業形態の1つです。 ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどの金融商品取引所に上場しており、REITと形態が似ています。
主として天然資源などのパイプラインや貯蔵施設に投資を行い、その利用料を収益源として投資家に配当を還元する仕組みのことです。株式やREITだけではない投資ユニバースだということです。
流動性とベータ値でスクリーニングを掛けたら、配当利回りで上位50銘柄を選んでいるだけですので、銘柄選択はシンプルです。
DIV【2253】をSPYD等ウエイト高配当利回りETFと比較
50銘柄の等ウエイトインデックスです。ただし、各セクターの上限は25%、MLPはトータルで20%という上限は設けられています。銘柄入れ替えは年に1度です。
米国のGlobal Xは2013年から、同インデックスに連動する” Global X SuperDividend® U.S. ETF 【DIV】”を運用しています。
【2253】が投資しているのはこの【DIV】です。等ウエイトの高配当株ETFですので、SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF【SPYD】とやや性格が似ています。
SPYDはS&P500採用銘柄から配当利回りが高い80銘柄を等ウエイト運用している、人気のある高配当ETFです。
S&P500と5年のパフォーマンスを比較してみました。水色がS&P500、紫が【SPYD】、赤が【DIV】です。コロナショック後にパフォーマンスの差が大きく出ました。
無配のハイテク銘柄が大きく上昇したことに、高配当利回り銘柄がcatch upできていません。
出典:US版 Yahoo Finance
2年で見るとやや見え方が違います。どちらかと言えば高配当利回りが物色された2022年は強かったです。しかし、2023年春以降は軟調です。
米国の政策金利が何度も引き上げられた2023年は高配当銘柄には不利な年です。いくら低ベータでもプライスの上下があるからです。高配当利回り銘柄は、無リスクで年4%以上を得られる預金との比較になります。
【2253】は「成長投資枠」を意識した商品か
【2253】は東証版の【DIV】と理解すればいいでしょう。とはいえ、全く同じ商品性ではありません。
経費率は【DIV】が0.45%、【2253】が0.4775%(税込)ですので、大差ありません。【DIV】は毎月分配ETFです。分配利回りは年換算で7%を超える高分配ETFです。
出典:Global X website
一方【2253】は隔月分配です
日米で商品性を違えたのは、2024年からの新しいNISAを意識した可能性が高いです。毎月分配投信やETFは新しいNISAでの対象商品にはならないというルールがあります。
2ヶ月に1度にすることで、要件をクリアさせた設計にして東証に上場させたように感じます。
7月に上場させてから9月に一度決算を実施しました。分配金は1口当たりで8円です。仮に年6回同じ分配が実施されたとすると、年間48円です。【2253】のプライスは1口1,000円程度ですので、税引き前で概ね4.7%程度の分配利回りということになります。
GXスーパーディビデンド-US ETF【2253】と配当貴族ETF【2236】
Global Xが東証に上場させている隔月分配米国株ETFにはグローバルX S&P500配当貴族 ETF【2236】もあります。こちらはS&P500採用銘柄から25年以上連続増配している銘柄で構成しているETFです。
【2253】の上場来と【2236】を比較してみました。濃い青が【2253】、水色が【2236】です。見ての通り値動きは【2253】の方がやや良好です。
出典:日経スマートチャートプラス
とはいえ、比較する期間が2023年7月以降ですから、4ヶ月程度の値動きで優劣をつけるべきではないでしょう。また、【2253】は純資産が3億円程度で、売買高も少ないという点もあります。
インカムを求めるならば現在は米ドルMMFでも目的を果たせそうな金利水準でもありますし、もう少しヒストリカルなデータを見れるようになってから取引してもいいように感じます。
なお、新しいNISA口座で【2253】や【2236】を取引する場合には、分配金に対して国内では非課税ですが、米国での課税は発生します。
東証上場ですので、SBI証券、 松井証券、 楽天証券、 マネックス証券、 auカブコム証券、ネット証券トップ5社がいずれも取り扱っています。
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