FIREは家族1人あたり5000万円が一つの基準か
私はFIREに至る目安資産として、家族1人あたり5000万円が一つの基準になると考えています。しかし、ここには大きな変数がいくつか存在します。それは家族の収入と年間支出、それから年金と年齢、運用利回りなどです。これらのバランスによって、必要な資産額は全く異なるものになります。
例えば今回の質問者さんように収入が途絶える場合の55歳、5000万、年金受給開始65歳という前提ならば許容できる年間支出はいくらになるでしょうか。
許容できる年間支出を算出するには、運用利回りと年齢つまり想定する寿命、そして65歳からの年金受給額が変数となります。
例えば手取りの年金受給額を年間162万円とし、90歳までの35年間を想定した保守的な計算をしてみます。
仮に運用を全く行わず現金として取り崩すだけの場合、65歳から受け取る年金総額の4050万円に現在の資産5000万円を加えた9050万円が生涯の総予算となります。これを35年で割ると、年間およそ258万円が支出の上限の目安となります。この場合はシンプルです。
さらに年利7%で運用できたと仮定すると、許容できる年間支出の目安はさらに大きく跳ね上がります。

先ほどと同じく55歳から90歳までの35年間を想定し、65歳から手取り162万円の年金を受給する前提で計算してみます。現在の資産5000万円をベースに年利7%で運用を継続した場合、理論上は毎年およそ460万円を取り崩し続けても、90歳時点で資産が底をつくことはありません。このように運用は人生をも左右する要素となり得ます。
変数を減らし、確実性を高めつつ、かといって完璧なシミュレーションは難しいですから折り合いをつける、ということになりますね。さて、長くなりましたがご質問をご紹介します。
心身の不調のため、資産5000万で退職をすることになった
たぱぞうさん こんにちは。
私はコロナ禍の2021年にたぱぞうさんのブログに出会い、すぐに米国インデックスの運用を始めたものです。
入金力が弱いながらも順調に増やすことができております。本当にありがとうございます。
そのような中で、更年期からくる心身の不調が続いてしまい(3年の休職を経て)退職することになりました。
復調に時間がかかっており、今後の生活について経済的な不安もあり相談をさせていただきます。
読みにくい文章で恐縮ですが取り上げていただけましたら幸いです。
・退職年齢は55歳11カ月(単身・女性)
・傷病手当は満額受領済
・退職金は150万円くらい
・退職後1年間は毎月10万円位(非課税)を会社より支給される見込み【計120万】
・その後は失業手当【計73万】で収入は途絶えます。体調が戻り次第になりますが非課税内でアルバイトをする予定。
■65歳から年金受給予定【178万(手取り162万位?)】
⇒【相談】もっと早くから受給したほうがいいのか悩んでいます。当面は助かるでしょうが、もともとの金額が少ないのでさらに下がると将来が心もとないです。
■現在の支出
生活費:320万(家賃136万/年と重めなのですが、実家・両親ともにすでになく現在の住居は知人も多くできるなら動きたくない)
NISA(年額):360万
・【60万】emaxisオルカン
・【60万】楽天インデックスバランス(株70)
・【60万】emaxisslimS&P500
・【60万】emaxisslimNASDAQ100
・【120万】純金上場信託1540
※NISA枠残:1100万
⇒【相談】この3年で預金をほぼ取崩したため今後は、預金、公社債投信、特定口座の順で取崩す予定です。
取崩しは利益が少ない順に取崩すのがよいでしょうか?特定口座の課税については還付手続きをしない予定です。
⇒【相談】運用の割合についてや、NISAをこのまま積み立てるかも悩んでいます。
■現在の資産
・普通預金 : 【560万】生活防衛資金
・401k定期預金:【350万】定期預金
・社債: 【200万】ソフトバンク~2030年
・公社債投信: 【300万】会社一般財形
〇旧NISA: 【610万】セゾングローバルほか
〇NISA: 【1500万】S&P500/NASDAQ100/全世界
〇401k: 【190万】ifreeS&P500
〇特定口座: 【2180万】日本株/セゾングローバル/セゾン投資の達人、ほか
〇内訳:
・現金 【1410万】24%
・日本株 【1010万】17%(証券6000株、東京メトロ100株)配当金は26万位/年間
・GOLD 【300万】5%
・世界株 【690万】12%
・米国株 【520万】9%
・NAS100 【500万】8%
・S&P500 【900万】15%
・世界債 【400万】7%
・米国債 【160万】3%
※世界株、米国株、世界債券、米国債券は全世界投信の組み入れ割合を大雑把に振り分けて反映
◇生命保険(死亡保障1500万):2030年に払込完了(残74万円)
残す必要がないため払込完了後は必要に応じて一部解約(40万/年を非課税)で払戻して、
残額がなくなった時点で解約予定。
ちなみに2030年払済総額が548万でその後1年に約4%増えます。
⇒【相談】年に20万強増え続けるのでなるべく払い戻しは先送りにすべきですよね、債券を持っているような感覚でいます。
以上、よろしくお願いいたします。
退職に無理なし、今は心身を休めるとき
2021年から米国株インデックス運用を始められたとのこと、まさに上昇相場の波にうまく乗られましたね。心身の不調という大変な状況の中、しっかりと資産を築いてこられたのは堅実でした。
55歳での退職、そしてお体の不調。今は将来への不安が強い時期かと思いますが、資産状況を拝見すると、非常に計画的で、かつ十分な資産をお持ちです。
年金の受給時期については、65歳の受給を基本線に考えるのが良いでしょう。
現在、特定口座を含めた総資産が5,000万円以上あります。年間支出が320万円であれば、年金受給までの9年間をすべて資産の取り崩しで賄ったとしても、約2,880万円の減少で済みます。実際には運用益がありますから、大きくは減らないでしょう。
繰り上げ受給は一生涯減額された金額が続くため、運用資産を自分年金として取り崩し、公的年金は長生きリスクへの保険としてなるべく減額させずに確保しておくのが基本です。
資産の取り崩し順序とNISAの活用については、おっしゃる通りの順番で取り崩しが良いでしょう。適宜NISA枠に移すことも並行して行ってよいかと思います。
NISAに移し替えることで将来の利益をすべて非課税にできます。特定口座の投資信託や株式を売却し、その資金で今のNISA枠を埋めつつ、生活費が足りない分を補填する形が基本形です。
また、もし年間の所得が低ければ、確定申告で総合課税を選択し、配当控除などを行うことで税金を取り戻せる可能性もあります。頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
運用割合とNISAの積立については、今の内容はバランスファンドに近いですね。
退職して無収入になるフェーズでは、NASDAQ100のような値動きの激しいものの比率を下げ、オルカンや楽天バランスを主軸にするのが精神衛生上よろしいかと思います。純金上場信託を年120万円のペースで買うのも、守りの資産としては少し多めな印象ですので、資産全体の5%から10%程度に収まるよう調整をしてもよいでしょう。
生命保険の扱いについては、おっしゃる通り債券として保有し、極力引き出しを遅らせるのが正解です。年4%で増えることが確定している商品は、悪くないですね。円建てで着実に増える資産としてポートフォリオの安定剤になりますので、他の流動資産が十分にあるうちは手を付けず、残しておいてよいですね。
住み慣れた場所に住み続けるための家賃コストも、この資産規模なら十分許容範囲です。今はまず心身を休めることを第一に考え、特定口座などの資金を毎年NISAに移し替える作業を淡々と行う。65歳時点でNISA枠が埋まっており、そこに年金が加われば、今の生活レベルを一生維持することは十分に可能です。
ひとまず心身の不調に寄り添い、長年の疲れをいやす時ですね。
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