GX S&P500配当貴族【2236】のシンプル銘柄分析
以前、当ブログにおいて「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」という投資信託を紹介しました。
この投資信託がベースとしている株価指数が「S&P500 配当貴族指数」です。2023年1月に「S&P500 配当貴族指数」をベースとした東証ETFが上場しましたのでご紹介します。GX S&P500配当貴族【2236】がそれです。
S&P500配当貴族指数の特徴、均等ウェイト運用
S&P500配当貴族指数は、S&P500採用銘柄から以下の条件を満たしたもの銘柄だけで構成される株価指数です。
- 少なくとも 25年間連続で毎年 1株当たり配当総額を増やしていること
- リバランス参照日時点で最低浮動株調整後時価総額(FMC)が30億ドル以上であること
- リバランス参照日までの 3ヶ月間の1 日当たり平均売買代金(ADVT)が 5百万ドル以上であること
25年連続で増配ということです。米国株式市場に少なくない、成長投資のために無配という銘柄はS&P500配当貴族指数には採用されません。成熟株、上場してからの歴史が長い企業が採用されやすくなります。
それぞれのデータは毎年1月にレビューされます。最低40銘柄で構成するルールで運用されており、40銘柄を下回る場合には決められた措置に基づいて40銘柄になるよう調整されます。2023年2月現在67銘柄が採用されています。
この株価指数のもう一つの大きな特徴は、均等ウエイト運用です。S&P500は浮動株ベースの時価総額加重平均です。S&P500配当貴族指数の均等ウエイト運用は大きな違いといえるでしょう。ウエイトは4半期に1度リバランスされ、均等ウエイトを保つ工夫がされています。
S&P500配当貴族指数のチャートを見てみる
連続増配銘柄の選択と均等ウエイト運用の特徴が発揮されるのは、マーケットの下落局面でしょう。過去1年をS&P500と比較すると、その相対的優位性がよくわかります。
白がS&P500配当貴族指数、水色がS&P500です。
ドローダウンはしていますが、配当を背景とした下方硬直性も同時に確認できます。
GX S&P500配当貴族【2236】の構成銘柄
ウエイト上位10銘柄です。アップルやマイクロソフトといったS&P500でおなじみの銘柄が見えません。25年以上配当を出していないからですね。
出典: S&P Dow Jones Indices, LLC website
GX S&P500配当貴族【2236】とTracers S&P500配当貴族インデックス
GX S&P500配当貴族の銘柄コードは【2236】です。2023年1月13日に東証に上場しました。
以前当ブログで紹介した日興アセットマネジメントが運用する「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」も同じ株価指数に連動します。比較してみます。
信託報酬率では「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」に軍配が上がります。年率税込で0.1155%です。
GX S&P500配当貴族【2236】は0.3025%です。年で0.2%ぐらいの違いです。インデックス運用としては決して小さい差ではないでしょう。
分配はGX S&P500配当貴族【2236】が奇数月年6回であるのに対し、「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は1回です。
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は投資信託ですので、販売会社がオンライン証券5社に限られています。日興アセットマネジメントが運用していますがSMBC日興証券で取引できないというなかなか面白い商品です。
ちなみにSMBC日興証券は、三井住友銀行を筆頭とするSMBCグループです。対して、日興アセットマネジメントは、三井住友信託銀行を筆頭とする三井住友トラストグループです。ともに、三井住友とは冠につくものの、関係は薄いです。
一方GX S&P500配当貴族【2236】は東証ETFですので、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など、ほとんどの証券会社で取引が可能です。どちらにもそれなりに長所と短所がありますね。
ETFと投資信託を目的によって使い分ける
それぞれの長所を鑑みて、目的によって使い分けるのはどうかと考えます。
例えば、奇数月にインカムを受け取れるGX S&P500配当貴族【2236】は、コンスタントにインカムを受け取りたい方に向いているでしょう。公的年金は2か月に1度、偶数月に支給されます。
GX S&P500配当貴族【2236】は公的年金支給がない奇数月に受け取れる、ささやかなお小遣いのような扱いにするような使い方です。
「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」は、分配が年1回です。そのため、安定したインカムを求める方には向きません。低い信託報酬率は魅力的です。
また、ベースとなる株価指数はマーケットが相対的に弱い時に強さを見せる性格を持っています。よって、サテライトで資金を投入し、資産防衛手段として持っておくという使い方が検討されるでしょう。
長期的に増配を続ける企業は、それだけ安定した収益基盤や健全な財務体質を持っていることの裏返しととらえることも可能でしょう。【2236】はS&P500配当貴族指数へ新たな投資機会を提供してくれたということですね。
このETFは
SBI証券、 楽天証券、 マネックス証券、 松井証券、、 auカブコム証券、ネット証券トップ5社が取り扱っています。
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