たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

米国債券投資とは?東証上場ETFでできる円建て海外債券投資

東証上場ETFで米国債投資が可能

 当ブログではS&P500など米国の株価指数に連動するものや米国のカバードコール型ETFなど様々な東証ETFを何度かご紹介してきました。実は東証ETFは米国株以外の米国資産への投資手段も提供しています。

米国政策金利の変化で米国債券投資に妙味が

 2022年の米国マーケットを語るうえで避けて通れないのが金利の変化です。米国の代表的短期金利のフェデラル・ファンド金利の変化がわかりやすいですね。2022年は階段を駆け上がっているような状況でした。

フェデラル・ファンド金利の変化

フェデラル・ファンド金利の変化

出典:SBI証券

 政策金利が上昇すると、価格が下がるものがあります。債券の価格です。米国債券ETFとして日本でもポピュラーなバンガード・トータル・ボンド・マーケット・インデックスファンド、ティッカー【BND】は2021年秋から2022年秋までほぼ右肩下がりで推移しました。


 金利の下落が債券価格に反映されたわかりやすい例です。しかし10月に底をつけて反転してきています。ターミナルレートが意識されたころからですね。

ティッカー【BND】の値動き

ティッカー【BND】の値動き

出典:US版 Yahoo Finance


 債券そのものはFixed Incomeともいわれ、購入してから償還まで持てば、発行通貨ベースでリターンが確定するアセットです。


 高金利時は債券価格が下がっていますから、将来のリターンが魅力的に見えるわけです。


 債券ETFはいろいろな銘柄が混ざったものですので、必ずしも償還が同じものだけで構成されているわけではありません。しかし、様々な債券の総合指数に連動する【BND】のプライスが反転しつつあるのは、総じていえば金利がそろそろ天井と考えている投資家が多いということでしょう。

円建てで投資できる東証上場ETFでも米国債投資が可能

 東証に上場するETFには外国債券指数に連動した商品があります。ここでは米国債指数に連動しているものを、債券の期間別に区分してみました。

 

東証上場債券ETFの一覧

東証上場債券ETFの一覧

出典: JPX websiteよりたぱぞう作成

※1日平均売買高は2022年12月1か月の1営業日当たりで算出

 ブラックロックはすべての期間区分に商品を提供しているのが興味深いですね。期間7年~10年の商品が圧倒的に多いです。米国10年債がもっともポピュラーだからでしょう。


4社が提供しており、それぞれ連動する指数と信託報酬率は以下の通りです。

  • ブラックロック:FTSE米国債7-10年セレクト・インデックス 0.154%
  • 日興アセットマネジメント:S&P 米国債7-10年指数  0.176%
  • 野村アセットマネジメント:ブルームバーグ米国国債(7-10年)インデックスTTM 0.143%
  • 三菱UFJ国際投信:S&P 米国債7-10年指数 0.132%

 信託報酬率は最後発の三菱UFJ国際投信の商品が一番低いです。しかし、最後発故か純資産と売買高は心もとない水準です。

金利の変化を敏感に受け取りたいなら【2621】か

 債券は償還までの期間が長いものほど、金利の変化がプライスに与える影響が大きくなります。金利の変化が小さくても価格が大きく動くということです。


 裏を返せば、政策金利上昇のピークを迎えつつあり、今後引き下げに向かうとすると、長期債の価格は金利引き下げをよりポジティブに受け止めるものになります。

 

 このシナリオに賛同できるのであれば、期間が長い債券で運用するiシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)【2621】が選択肢になりえます。


 1口から購入できますので、1600円程度から試せます。

債券ETFと為替ヘッジの関係は株式ETFとやや異なる

 米国債投資も為替レートがプライスに大いに影響します。2023年は2022年比で円高を予想する声が聞こえます。だとすれば、為替ヘッジはあったほうがいいのか、ない方がいいのか?

 

 為替ヘッジは、為替差損を限定的にするための手段です。為替ヘッジは、将来交換する為替レートをあらかじめ予約する取引(為替先物予約)で実施します。その際に、対象通貨の金利差分の為替ヘッジコストが発生することがあります。

 

 この費用は投資家が直接的に支払うものではありませんが、信託財産から引かれるため、プライスにマイナスの影響を与えます。例えば、日本の投資家が米ドルの為替の影響を低減するために為替ヘッジを行なう場合、円は米ドルよりも短期金利が低いので、米ドルと円の金利差が為替ヘッジコストとなります。

 

 このヘッジコストを考慮すると、為替ヘッジなしの方が合理的に見えますが、債券は必ずしもそうとも言い切れません。そもそも、債券のリスクは為替より小さいことが一般的で、為替による変動が大きすぎる商品になるからです。


 また、債券投資の目的が、金利の変化によるキャピタルゲインを得ることならば、金利の低下時は債券価格が上昇することで為替の変化を抑制する効果があります。


 為替ヘッジ付きは日米の金利差が依然として大きい今は理にかなっているということでしょう。

 

 為替ヘッジの有無が円建ての海外資産に対して与える影響を理解しつつ、将来の円高を考慮するのであれば為替ヘッジあり商品が選択肢の一つになりえると考えます。

 これらのETFはSBI証券楽天証券マネックス証券等が取り扱っています。

 

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