たぱぞうの米国株投資

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退職金で住宅ローンを繰り上げ返済するのはお得か、損か

退職金で住宅ローンを繰り上げ返済するのはお得か、損か

 退職金は給与所得の最後を飾る、大きな収入ですね。その後は基本給を減らし、仕事の負担も減らし、第二の職場で過ごすわけです。人によっては、勤労はもう十分ということで晴れてリタイアとなる人もいますね。

 

 ごくごく稀に、退職してから職場を転々とし、その都度多額の退職金を得る人もいますね。積み上げた社会人生活の実績のなせる業で、成功者のキャリア収穫期ともいえるかもしれません。

 

 さて、今日は老後に向けた退職金の活用、住宅ローンを繰り上げ返済ということをテーマにご質問を頂戴しています。

退職金を運用に回し、住宅ローンをコツコツ返していきたい

 いつも楽しみにブログを拝読しています。老後に向けて、住宅ローンや生活費、一人娘の教育費について私なりにプランを考えてみました。以下にプロフィールと相談内容を記載しましたので、ご意見をいただけると幸いです。よろしくお願いします。

 

【プロフィール】

 現在53歳の会社員で年収1300万円(60歳まではこの年収の維持可)です。60歳定年後は、65歳まで再雇用制度(年収600万円予想)があり、私自身は65歳まで働く予定でいます。


①家族 

  • 妻は専業主婦(50歳、先日年金定期便が届き、65歳からの年金が毎年約100万円と判明)
  • 長女(現在小学校6年生、高校までは公立で大学は私立文系)

②住宅ローン

  • 79歳まで35年ローンです(変動利率0.775% 団信あり)。毎月約12万円の返済で、ボーナス時の返済はありません。
  • 60歳(定年退職)時のローン残高約2300万円となります。転職経験はなく36年勤務した60歳定年時には退職金約2500万円(税込)の予定です。

③年金

  • 65歳で基礎年金と厚生年金を合わせて年間232万円支給(年金定期便による。再雇用時の掛け金は反映していない)この年金を70歳まで繰り下げると324万円と試算。

④老後資金 年金以外に次のものを老後資金として準備しています。

  • 生命保険の個人年金 生命保険の個人年金、60歳から10年間毎年100万円(60歳時一括受取860万円)。⇒運用利率が3.75%、65歳で一括受取にすると1020万円になることを保険会社に確認しました。
  • IDECO 2015年9月から毎月2.3万円積立継続中。制度改正を見据え65歳(再雇用終了時まで)まで投資信託(先進国と新興国のインデックス50%ずつ)を行う予定です。

⑤教育費

  • 学資保険300万円(掛け金払い済)、投資信託150万円、定期預金380万円があります。定期預金は毎月1万円とボーナス月15万円×2回(年間42万円)の積立を60歳まで継続する予定です。

⑥その他資産 社内持株会(60歳時に1000万円まで積立)。

  • NISA(先進国投資信託350万円、ETF(TOPIX連動)150万円)。
  • 日本株(3社計500万円)。

【相談内容】

➀老後に残る住宅ローンと退職金

 金利の動向にもよりますが、60歳で支給される退職金でローンの残金をすべて払わず毎月の返済を79歳まで継続し、その間は運用したい思います。

 

 完済まで19年間もあり、毎月10万円ずつ投資信託の積立10年間継続しながらローンを毎月返済を検討しています。現実的かどうかご意見をお伺いしたいです。


 ②イデコや個人年金の効果的(税負担の少ない)受け取り方

 会社の退職金は60歳で一括支払いのため退職金控除をIDECOに適用しても節税効果が薄いため、65歳から5年間の年金受取とし、不足部分の生活費を生命保険の個人年金で補填することを考えています。

 

 生命保険の個人年金も利率が良い時代のものであり65歳の一括受取を検討しています。65歳で再雇用終了後70歳までは、このようにIDECO年金受取と生命保険の個人年金で生活することを検討しています。

 

 そのため老齢年金(基礎および厚生とも)70歳まで繰下げ予定です。受け取り方として私自身はベターと考えていますが、他に良い方法はあるでしょうか?

 

➂老後の生活費

  60歳以降の夫婦で月30万円と想定していますが、現実的でしょうか?


 以上です。

住宅ローンをあえて残し、退職金で運用をするということ

 年収が1300万円ということは、ざっくり手取りは900万円前半ですね。仮に手取り930万円として計算すると、退職までに7500万円前後が手取りです。

 

 これに60歳以後の5年間の年収600万円、おおよその手取り2350万円前後が乗ります。さらに退職金が2500万円、退職控除が効くとして2400万程度が手取りですね。

給与所得の終着駅、退職金の使い道は慎重にしたい

給与所得の終着駅、退職金の使い道は慎重にしたい

 合計すると、1.2億円程度がリタイアまでに得られる所得です。ここから生活費や学費などを引いていくわけですね。

 

 さらに、個人年金保険や基礎年金+厚生年金+企業年金が加わります。勤続年数が長いので、年金も期待されるところです。そう考えると、収入面に関しては潤沢、月30万円の生活は十分可能でしょう。

 

 しかし、月30万円で生活が成り立つかどうかは実際に数年分の支出を見たほうが無難です。つまり、年間支出から逆算したほうがよいですね。人によるところが大きいからです。銀行からオンライン、CSV形式などで一覧表をもらえますから、一発で計算できます。

 

 一方で、収入に比して手元資金はやや薄いですから、ここから定年に向けて貯蓄および投資を意識していきたいところです。

 

 住宅ローンの残債は退職金で一掃できる額ですね。カチッと計算しやすいのは一括返済です。老後の収入が継続して見込まれるので、一括返済してリスクを避けるというのも手です。

 

 一方で種銭として投資をするのも手ではあります。この場合、目算が狂うと生活設計そのものに大きな影響があります。高齢者の方、特に退職後の方の投資が慎重を要するのはそういうことですね。

 

 あえてリスクを取って投資をするか、それとも計算が成り立つ範囲という意味で一括返済をするかというところですね。投資の経験がある方には投資も悪くないですが、大きなリスクは禁物であることは申し添えておきたいところです。

 

 老後資金、住宅資金、教育資金などの必需の資金は投資に回さないという鉄則の上でということですね。

 

 ご質問ありがとうございました。 

 

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