投資における航路を守ることの難しさ
マーケットを毎日チェックしたり、決算を毎期見たり、金融の知識が豊富だったり、そういう必要がない、しなくても勝てるのがインデックス投資です。
そういうシンプルな投資ですが、日々情報が多いため、意外にやり遂げるのも簡単ではありません。そうなると、SNSなどで情報を集めるのも本当に意味があるのか疑いたくなるところです。
学習や仕事も同じですね。時間軸と成果軸は違うのです。時間をかければよい結果が出ると思うのは幻想ですね。シンプルに自分に合った成果の出る方法を選べばよいのです。
今回は、ご家族の状況などもろもろ勘案して投資の方針に迷いがあるという方からの質問です。
家の状況もあり、投資の方向性に迷いがあります。
ご無沙汰しております。
いつもブログを拝見し勉強させていただいております。私も今年で74歳になり、体力もなくなり、生活環境も随分と変わり、今の投資状況ではいけないと思い相談したいと思いペンを取りました。よろしくお願いします。
以前、たぱぞうさんへの相談では、子供用に何に投資すればよいかを相談し、slim S&P500がよいと教えて頂きました。
実は私には50歳近くになる次男、障害者の2級がおりまして、薬を飲みながら夫婦でお店を営んでいます。しかし、万が一、離婚して次男1人で生活することになった場合、生活費を私のほうでサポートしなければなりません。
そこで、今回、今の私の投資状況を見ていただき、今後の投資アドバイスをいただければと思います。今後10年間投資を続ける予定でできるだけ増やしたいと思っていますが、先のコロナショックなどがあると不安になります。
たぱぞうさんへ相談して以降、ネット証券会社で投資信託に毎月積み立てをしておりましたが、コロナショックで怖くなり、損益プラス400万円の時点ですべて解約してしまいました。
回復がみられた2022年1月頃から再び、毎月30~50万円積み立てを始めました。たぱぞうさんのブログの中で、コロナショックから毎月積み立てをして3年で損益プラス5000万円(内容は正確ではないかもしれません)にした方の例を読みました。あのような状況で思いきって投資を続けられたこの方はすごいと思いました。
そうした心構えを含めてご教授いただければ幸いでございます。投資金は、資産の中から投資に回せる分と考えており、生活費や今後必要になるお金は現金で別でおいています。
【投資状況】
・投資信託 積み立て(毎月30~50万円、Slim S&P500、まるっと米国、S&P500(NISA)
・個別株 任天堂、ライフネット、トヨタ、NTT
以上、投資対象です。あと、1,200万円程を投資信託に積み立てて行きたいと思っております。
そこで、質問がございます。
①どの商品に積み立てればよろしいでしょうか?
米国株は今後、見通し良くないでしょうか?このまま、slims&p500に投資し続けてよろしいでしょうか。または、slimオールカントリーのほうに残りは投資したほうがよろしいでしょうか。
②積み立て金額は、これまで通り、30~50万円で積み立ててしまうか、又は、毎月10万円程にして、〇〇ショックを待って、その時にたくさん積み立てられるように残したほうが良いでしょうか?
③以前相談時には、個別株はやらなくてよい、とおっしゃっていただいていましたが、配当金欲しさにいくつか保持しております。これらも解約すべきでしょうか?
④今後10年間の心構え(売買や積み立てについて)教えてください。
⑤円安が進んでおりますが、日本円で貯金しておくよりもアメリカドルを買っておいた方が良いと思うのですがいかがなものでしょうか。
⑥米国国債の購入は今のタイミングでどうでしょうか。
以上ですが、お忙しいかと思いますがご教授いただければと思います。
分かりにくい文章で申し訳ありません。
宜しくお願いいたします。
ブレずに航路を守り続けるということ
ご質問に基づいてお答えしますね。
①②米国株は高配当系を除いて高くも安くもありません。買わなくてよい状況でもなければ、買わなくてはいけない状況でもありません。今までの過度にならない範囲での積み立てを継続されるといいでしょう。
リセッションは不確実性が高く、読めません。かといって今の金利での株高も期待できません。そのような状況です。つまり、中庸なのです。
オールカントリーでも良いでしょうが、私は米国株が効率的だと判断しています。私は元々が個別株の積極的なトレードを経て資産形成をしてきた人です。そのため、オールカントリーよりは多少リスクを高めたいのです。
とはいえ、これは投資の濃淡の話です。オールカントリーもすでに米国株を6割含んでおり、ある意味では呉越同舟のような状況になっていますね。
③ご年齢を考えると、積極的に投資をする必要はありません。また、個別株も選好しにくい状況です。あえてというならば投信が最も適しているでしょう。それは、リターンと手間を考えてもそうかと思います。
④決めたことを守る、ペースを乱さないということです。よく言うところの「航路を守れ」ということですね。情報は多すぎると判断に迷うことがあります。そうした、人として当然の心の揺らぎを受け入れ、原理原則を守る、というところを意識したいですね。
⑤航路を守るという原理原則からすると相場の動きに惑わされず、決めたペースで淡々と買い付けるのが王道、となります。株安や為替が落ち着いたら、と考えると変数が多くなり、迷うことになります。
⑥米国債は安いです。しかし、やはり今の質問者さんの投資方針には合わないですから、債券安のうねり取りはこの際意識しなくてよいでしょう。
ご参考になればうれしいです。いろいろ抱え込むと判断に迷います。シンプルに原則に立ち返り、共に頑張りましょう。
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