米国株投資か全世界株投資かという神学論争
米国株投資が良い、全世界株投資が良い、それぞれいろいろなご意見がありますね。過去30年に限って言えば、米国株投資のほうがリターンが大きく、どの時代を切り取っても全世界よりも優れていました。
しかし、将来的な予想というのはわかりません。ある予測によると、GDPに関しては2028年に前倒して中国が世界トップになるという話があります。以前は2033年の予想だったものが、コロナによって加速、そのようになるということですね。
早晩、日本はインドに抜かれ、世界5位になるという話です。しかし、株式のリターンに関してはこれまた別問題で、インドに関しては2023年から日本からも買える良い金融商品が出ましたが、中国ETFは投資先としては良いものがなく、個別株のパフォーマンスに成績を委ねるしかない状況です。
そういう意味では、米国株ETFや全世界株ETFは右肩上がりの優れたものが多いですね。前者はS&P500連動、あるいはVTIがあります。後者はACWIやVTが該当しますね。円建てのオルカンなどはACWI系の最も成功した例の1つでしょう。平たく言うと、これらの指数は投資するに簡単なのですね。
さて、この米国株投資か全世界株投資か、どちらが良いかということに関してご質問を頂戴しています。
米国株投資から全世界株投資に切り替えたが、不安感がある。
初めまして。
いつもブログを拝見させていただいております。本も買わせていただき読ませていただきました。
ひとつお聞きしたいことがあり、メールさせていただきました。
NISAをはじめ、eMAXIS Slim S&P500を積み立てています。投資関係の本も15冊ほど読みました。
しかしここにきて、全世界株に心が揺れてしまいまして、つみたてをeMAXIS Slim オールカントリーに変更してしまいました。でもやはり米国株に戻した方がいいのではないかと迷っています。
株式に関しては米国株だけでよい理由を詳しく教えてもらえないでしょうか?
素人なのでどうしても米国集中に自身が持てず不安になっています。現在40歳で、20年以上保有するとなるとなおさら米国だけに集中でいいのか不安です。どうか背中を押していただけないでしょうか?
それとも全世界株でもよいのでしょうか?お忙しいところ大変恐縮ではございますが、何卒宜しくお願い申し上げます。
米国株投資か全世界株投資かという話は濃淡の話
結論から申し上げますと、私はどちらでもよいと思っています。ただし、資産運用における成長性の濃淡は意識しておいて損はないでしょう。
米国株の良さに関しては従前より拙著などでも話を絞ってお話をしてきました。
- 法整備がされていること
- 株主重視の気風があること
- 右肩上がりであること
これらに関してはバックテストにより数字的にも裏付けがありますので、語るに尽くされた感がありますね。
加えて、今はITを中心とした産業革命の真っただ中です。例えば職場ではマイクロソフト、アップル、CRMなどの製品があふれていますね。IBMなどが得意とした集中的なシステムからSaaSのような分散型のシステムに移行しており、これは現在進行形です。この技術的根幹を握っているのは米国です。
産業の伸長に濃淡があるのと同様に、国の経済的な成長も濃淡があります。さらに米国内でも、例えばエネルギーや製造業とITでは成長性が全く違います。そこでも濃淡があるのです。
薄めれば薄めるほどリターンが小さくなるのは必然といってよく、そういう意味では比較的リスクは高くなりますが3指数ではNasdaq総合指数、あるいは100がど真ん中のトレンド投資ということになります。その分、調整の谷は深いわけです。期待値が乗っているからです。
十分な資産があれば、全世界投資をして産業全体をマルっと買うというのは理にかなっていますし、それでもリターンが得られます。しかし、資産が少ないうちは、何らかの濃淡を意識した投資をしないと、思うように増えないのも現実ですね。
私はそのように考えましたので、時には個別株集中投資をしましたし、暴落時に突っ込み買いなどもしてきましたね。しかし、多くの人はこのようなリスクは忌避するところです。
これらのリスクを踏まえた投資に比べると、米国株投資や全世界投資というのは比較的中庸なのですね。全世界投資、米国株、どちらのリターンが優れているのかというのもよく論ぜられますが、あくまで濃淡の話です。
普通の投資額であれば驚くような差異が生じるわけでもありません。また、迷うならば半々で投資すれば済むのですね。
これまでの30年がそうだったように、これからの10年、20年も米国株投資が全世界よりも優れると私は思っています。しかし、見方に固執するのは良くないのです。状況が変われば私は違った投資をしますし、今まででも太陽光や不動産、ビットコインも買ってきました。
状況が変われば、乗り換えればよい話です。とにかく今は細かく利益確定して課税機会を増やすのではなく、パチッと決めて資産を大きくしていくことが大事ですね。
また、米国株の時価総額が巨大になりすぎ、全世界株投資も一蓮托生のような状況になってきています。もはや世界分散というのは幻想になりつつあるのかもしれません。インデックス投資の全盛、これも無縁ではありませんね。
いろいろな言説がありますが、将来は誰にも予想できないのです。ルールで自縄自縛になることなく、自分のお金ですから柱をきちっと決めて航路を守っていけばよいのですね。永遠の課題であり、プロ筋も意見の分かれるところですが、この不確実性が投資の妙味でもあるのですね。共に頑張りましょうね。
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