未曽有の低金利時代を生き抜く資産運用術
この20年以上、未曽有の低金利時代になっています。日本はすでに長らく低金利でした。これが、今や全世界規模で広がっている印象があります。かつては、為替リスクを覚悟の上で、余裕資金を外債で運用という方法もありました。
しかし、外債も今は上昇しており、なかなか買いにくくなっていますね。低金利の一つの象徴が外債MMFということになるでしょう。運用先としての魅力は急激に下がっています。
逆に言うと、借り手にとってはリスクを取って資金調達しやすい局面ではあります。日本でいうと、信用保証協会や公庫の融資は金融緩和の一つの姿です。事業をする人にとってはチャンスかもしれませんね。
さて、今日は低金利時代の資産運用の考え方ということでご質問を頂戴しています。
低金利時代を迎え、従前の投資方針に変更を加えてみたが・・・
たぱぞうさま
はじめまして。70才台前半のものです。
若い頃と異なり、調査・診断・予想・計画・実行を緻密に行動するのは億劫な年代にはいり、ひたすらカウチポテトポートフォリオをロジックにもとづいてシンプルに運用したいと考えております。
もし以下の私の疑問にヒントをいただけたら幸いです。ご興味がなければ読み捨ておきください。
最近の債券金利状況や、世界経済インデックスファンドの実質コストに鑑み、今年運用ポートフォリオを変更しました。
<旧ポートフォリオ>
- 世界経済インデックスファンド:50%(株式:債券=1:1、GDP比率配分、想定最大下落率35%、ドルコスト平均法中心)
- 個人向け国債:50%
<新ポートフォリオ>
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー):30%(時価総額配分、想定最大下落率50%、変則バリュー平均法、3ケ月毎にアクション)
- バリュー平均法資金調整用プール:20%(全世界株式をバリュー平均法で調整する際の購入資金や売却時の入金用プール、通常の一定の債券金利がある本来の場合はBND、BIVなどを想定、旧ポートフォリオの外貨比率を維持したいので外貨に配分、安定性資産)
- 個人向け国債:50%
<前提>
- シンプルポートフォリオでないと継続できない。
- 外貨比率は50%近くを維持したい。
- コモディティ、REITは好まない。
- 参考図書:「3%シグナル投資法(ジェイソン・ケリー)」
<アドバイスを受けたい点>
バリュー平均法資金調整プール(20%)は現在ドル転して、米ドルMMFとBSV(バンガード米国短期債券ETF)とに半々で運用していますが、どうもしっくりきません。
保険通貨的な意味合いをもたせドル転していますが、できれば多通貨分散したいし、現状国内投信環境では無理な要求ですが、海外ETFでなく国内投信、国内ETFで運用したい、という想いがあります。
調整の際は円転する必要があるので、無駄に手数料22ドルがかかります。米国ゼロクーポン債、日本企業米ドル建て債券も同様です。昔なら先進国債券インデックスファンドで十分だったのですが、今は何をバリュー平均法資金調整プールに使ってよいか見当がつきません。なにかヒントになるようなコメントがあればよろしくお願いいたします。
バリュー平均法資金調整目的と外貨比率維持目的を混合している点がわれながら問題かと思っています。バリュー平均法資金調整目的は銀行預金、個人向け国債の取り崩しでもよいかと思いますが、安定性資産による外貨比率のアップ方法が容易におもいつきません。最近は尊敬して遠ざけていた積立FXまで調べてしまいました。ヒントをいただけましたら幸いです。
勝手に私事ばかりを記し申し訳ございません。今後のご活躍を期待しております。
割り切って債券ファンドを買うか、それとも現金でリスクを取らないか
詳しく調べていらっしゃり、知識もおありですね。カウチポテト、つまりCouch Potatoは、カウチつまりソファにジャガイモのように長い間のんびりしながらポートフォリオを管理するということですね。この場合、比率は株式1:債券1となるわけですね。
おっしゃる通り、今はプール先が少なくなりました。ドルで管理するには、もろもろリスクと管理費がかかります。
ただし一方では円建てで優れた商品が増えたのも事実です。
米ドルMMFやBSVは、ドル目線ならばリスク小ですが、為替を加味するとリスクは小さくありません。また、昨今の低金利でほとんど利回りが付かない状態になりました。
1、Slim先進国債券
Slim先進国債券で代替するという考えも無きにしも非ずです。円建てで海外に投資でき、シンプルです。そのため、Slim先進国債券を活用するのが現実的に思います。往復の為替手数料も発生しません。そのうえで、下記に続きます。
2、Slimオールカントリー+Slim先進国債券
この組み合わせならば比較的シンプルに財産管理できます。円建てでファンド2本での管理というのはシンプルで魅力です。まさにカウチポテトです。リバランスも非常に楽です。
3、バランスファンド
いっそ、バランスファンド八資産均等などに振ってしまうという手もあります。日本国債ポジションを調整し、リスク部分をバランスファンド1本にしても悪くないでしょう。これも手間がかかりません。
以上、簡潔、円で購入できるという前提でのお話です。
いずれにしても、この低金利はリスクを取る人にとっては僥倖、大きく資産を伸ばしています。冒頭のべた、事業として投資に取り組んでいる人もそうですね。逆に、コンサバで現金比率が大きい人にとってはパフォーマンスに反映されにくい相場になっています。
自分の年齢、家族構成、リスク許容度などを勘案しつつ無理しない投資を心がけていきたいところですね。ご質問ありがとうございました。
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