たぱぞうの米国株投資

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発行市場と流通市場は相互に関係する車の両輪

発行市場と流通市場とは

 株式投資に親しんでいる人でも、あまり日ごろから意識しない言葉に「発行市場」と「流通市場」という言葉があります。普段私たちが売買をしているところ、株式取引をしているのは既発の株券になるので、流通市場ということになります。

 

 これに対して、企業が株券を発行する、流通市場に出す前の状態を発行市場といいます。今日は、この2つのお話です。

株式における発行市場とは

 発行市場というのは、国や企業が債券や株式を発行する市場のことですね。流通市場のように、投資家同士でお互いに値付けするわけではなく、川上的なものですね。そのため、あまり一般の投資家には親しみの無い市場です。

 

 創業者が株式会社化して、自社の株券を持ったり、社債を発行して社債を出したり、マーケットに出てくる前の状態です。最初の市場というということで、一次市場、プライマリーマーケットという言い方をされることがあります。

 

 野村證券さんの資料を引用します。

発行市場の図式

発行市場の図式

 IPOなどを経て、つぎの流通市場に行くことになります。

 株式における流通市場とは

  発行市場で発行された債券や株式が、取引される市場を流通市場と言います。いわゆる東証やニューヨーク証券取引所などで毎日値付けされていますね。私たち株式投資家に親しまれているのはこちらの市場になります。

流通市場の図式

流通市場の図式

 IPOを例にとると、公募価格までが発行市場、上場後は流通市場ということになります。プライマリーマーケットに対して、二次的なのでセカンダリーマーケットという言い方をすることもあります。

 

 さて、こうした基本を踏まえて、ご質問を紹介します。

 発行市場と流通市場は車の両輪と言うけれども・・・

 いつも拝見しております。とても参考になるので毎朝楽しみにしております。

 初歩的な内容かもしれませんが、たぱぞう様なら納得した答えを頂けるのでは、と思い質問いたします。

 

 私は株式投資を始めてしばらくは、株を買付けたお金は発行した株式会社に流れて、そして会社の自己資本が増え、設備投資等につながり、成長していくと考えていました。

 

 今では発行市場と流通市場の違いを認識しています。以下は流通市場に限定して質問いたします。

 

 疑問というのは、約定したお金が会社に渡らないなら、株の売買はFXのようなゼロサムゲームに近いのではないか?流通市場での売買は本当に投資と言えるのか?

 

というものです。

株式会社には、

  • バリュエーションに基づいた価値があり、株価はその価値に収斂していく
  • 配当金などによるインカムゲイン
  • 自社株買いによるキャピタルゲインのチャンス

 などFXとはかなり違いはありますが、発行会社にお金が渡らない以上、「投資」してるとは言えないのではないか?株の所有者が移っただけで、投資ではないのでは?と思ってしまったのです。

 

 その疑問を持ちつつも自分の資産を増やすべくインデックス投資・個別株投資をしてますが…

 

 米国株は今後も上昇していくと私も思いますが、将来も株価が上昇していくであろうという結果には納得できても、投資に対する理解が浅いため、株式投資そのものに対する疑問がなかなか消えないのです。

 

 意味をなしていないかもしれませんが、この点に関するたぱぞう様のご意見を頂戴できれば幸いです。

発行市場も流通市場も、相互に深く関係しています

 確かに、流通市場における発行体への直接的な貢献というのは、発行市場よりは見えにくいものですね。発行体に直接お金が入るわけではないからです。ただし、流通市場における信用は、発行市場にも大きな影響を与えます。

 

  • 流通市場における活発な取引があり、さらなる発行チャンスがある。
  • 株価が高く、企業そのものが社会的に評価をされている証明になっている。
  • 株式市場において、知名度が上昇する

 

 このようなメリットが発行体にはあります。「上場企業」ということで、人材を集めやすくなるのも1つのメリットですね。上場のためには、コンプライアンスなどがある程度しっかりしていることが求められるからです。

 

 こうした、トータルのメリットが発行体にあるため、企業は上場を目指すのです。社債の発行や株式増資の時には、上記のメリットを最大限に生かすことができます。

 

 もちろん、「上場ゴール」といった残念な企業も散見されます。創業者が上場時に大金を手にして、それきりというような企業ですね。こうしたことが頻発しないためにも、株式市場には一定の数字に満たない企業の退場制度を設けるなどの工夫が必要になります。

 

 ただし、流通市場に上場するということは、社会的に厳しい評価対象になることも意味します。そのため、経営上の自由を求めて、あえて上場しないというようなケースもありますね。代表的な企業には、日本ではゼネコンの竹中工務店や酒類のサントリーなどがあります。

 

 いずれにしても、決してゼロサムゲームということは無く、流通市場での投資も企業活動や経済活動に資する立派な活動ということですね。まさに、相互に深く関係しあう、車の両輪なのです。

 

 ご質問ありがとうございました。

 

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