楽天VTIと楽天VTのメリットデメリット
楽天グループとバンガードの提携により、バンガード商品が比較的安価に投信という形で買えるようになりました。楽天バンガードというのは要は、バンガードのETFに信託報酬およそ0.12%を上乗せした形での投信ということになります。
その商品の中で最も人気がある2つの投資信託が楽天VTIと楽天VTです。VTIがニューヨーク証券取引所、あるいはNasdaq上場の米国株全体を網羅するのに対し、VTは米国市場のみならず世界中の市場を含む投資ということになります。
楽天VTIのメリットデメリット
まず、VTIの米国集中投資というのがメリットにもデメリットにもなりえます。米国の成長を享受できるという反面、米国経済が落ち込んだ場合は著しく影響を受けるということです。
ただし、米国企業というのはAmazonやGoogle、あるいはジョンソンエンドジョンソンやエクソンなどを見ても分かるように、世界展開をしています。著名な米国企業は殆ど多国籍企業として活動をしているということです。
そう考えると、新興国の成長を取り込みつつ、経済的な合理性に富む米国企業に集中投資することができる投資信託と言えるでしょう。
楽天VTのメリットデメリット
楽天VTの場合は世界投資になります。時価総額加重平均という方法に基づいて分散投資をするため、時価総額の大きな米国への投資が5割を超えています。2位は日本、3位は英国への投資です。この2か国でおよそ15%の投資になります。
近年比重を高めている中国が数%を占めるほかは殆ど先進国が占めています。これがメリットにもデメリットにもなります。
日本やヨーロッパ諸国といった先進国は今後成長の幅が限られます。これは人口動態からみてもそうですし、近年のGDPの推移はそれを裏付けるものです。今後もこの流れは加速することはあっても逆になることはないでしょう。
そういう意味では新興国は伸びしろが大きいですが、時価総額加重平均ですので時価総額の小さな国への投資は殆ど行われていません。つまり、VTの場合は言わば停滞国、あるいは衰退国への投資の可能性もあるということです。
反面、広く世界分散がされていますからどこか1つの国が停滞したとしても、特に地政学的リスクは避けられるということになります。
こうした特徴を踏まえてご質問を紹介します。
楽天VTIか楽天VTをメインに据えたい
こんにちは。いつも更新楽しみにしています。
たぱぞうさんに分散投資の考えについてお聞きしたいです。
私は今までほとんど金融資産は貯金をしておりストックから楽天VTIをメインに積立をしています。ある程度貯金から投資信託に移したら、日々の収入の余裕分から投資に回そうと思っています。
その際、投資資産の中で分散を図るべきか(①楽天VTIの他に先進国インデックス、新興国インデックスの投資信託を買う。②①に加えて債券インデックスを買う。)投資は楽天VTIのみとして現金の割合でバランスをとるべきか悩んでいます。
米国株メインでの積立は決めているのですが資産全体ではどのようにすべきか悩んでおりたぱぞうさんならどうするか考えを聞かせてください。
なお、こちらの立場としては既婚、30代、共働き、子ども1人です。なるべく投資に時間はさきたくないので海外ETFも考えましたが、投資信託にしようと思っています。定年まで20年以上あるので株式メインでいいかなと思いつつも米国株だけというのもどうかなと不安に思い質問させてください。
よろしくお願いします。
楽天VTIに楽天VWOをトッピングするのは面白い
債券ETFはディフェンシブですが、リターンに劣ります。特に数百万レベルならば、給与からの補てんが可能ですから、特に意識せずにキャッシュポジションでリスクを軽減するというのが基本になります。
世界分散ですが、先進国インデックスを加えるということならば最初から楽天VTIではなく、楽天VTを選んでしまうほうがポートフォリオはシンプルになります。もし先進国インデックスを加える必要があるならば、最初から楽天VTにしてしまったほうが私は好みですね。銘柄が多くなってゴチャゴチャしないからです。
あるいは楽天VT部分を信託報酬で約0.11%のeMAXIS SlimというMSCIコクサイ系に変えてしまうという手もあります。私はこのMSCIコクサイはあまり選好していませんが・・・どうでしょうか。
理由は「不要な先進国」が含まれるからです。リターンはTOKに見るようにこの10年はさえませんね。今の楽天VTI投資路線を続けるならば、重複のない楽天VWOというのは分散という意味においては合理性があるように思われます。
楽天VT+楽天VWO
楽天VTI+楽天VWO
という組み方ですね。もし、楽天に偏るのが気になるならば、ifreeS&P500などの投信でVTI部分を代替することも可能でしょう。個人的には強いて分散させるならば楽天VTI+楽天VWOに合理性を感じます。
いずれにせよ、どの投信も広く支持を集める良い商品ですから、コアにするものを決めて、サテライト的に厳選して配置すればよいですね。また、積立を始めても途中で作戦変更は可能ですから、柔軟に対応していけば良いと思いますよ。
海外ETFに関しての手間は仰る通りです。外国税額控除ですね。これに関しては今、もっとシンプルにできるように弊ブログでも提案していきたいと思っています。年内には明らかにできると思いますので引き続いてよろしくお願いします。
関連記事です
VWOに関しての記事はこちらです。私は買っていませんが、新興国市場への投資として定評のあるETFです。ややボラティリティが高いですね。
楽天バンガードファンドに関しての記事です。バンガードETF+0.12%の手数料というのがこの投信の基本路線です。
楽天証券で口座開設すると、つみたてNISAでもiDeCoでもすぐに楽天バンガードの商品を選べるというメリットがありますね。