バンガード新興国ETF【VWO】は新興国株を集めたETF
VWOの正式名称は「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」と言います。その名のとおり、エマージングマーケット、新興国市場の株を集めたETFということになります。新興国ETFでは最も有名、運用総額の大きなETFの1つです。
経費率は0.12%です。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ中国A株トランジション・
インデックスへの連動を目指したETFです。2005年に設定されてから年率でおよそ5%のパフォーマンスを発揮してきました。対象が新興国市場ということで、ボラティリティは高めになっています。
バンガード新興国ETF【VWO】のチャートと配当
2005年 取引値30ドル 分配金 0.53ドル
2016年 取引値38ドル 分配金 0.89ドル
2018年 取引値37ドル 分配金 1.051ドル
10年チャートです。2015年から2016年初頭のチャイナショックで取引値30ドルを割り込む場面がありました。中国の銀行を組み入れ上位にしているので、大きな影響を受けました。中国に限らず新興国経済の影響を強く受けます。
リーマンショック時を除いて設定来、株価は30ドルから45ドルのボックスです。極端に安値を割り込んできた場合は買場かもしれません。
過去十年、右肩上がりのチャートではないことは念頭に置いておいたほうがよさそうです。
バンガード新興国ETF【VWO】の国別構成比率
2016年と2018年の国別構成比率の比較をしてみましょう。
2016年の【VWO】の国別構成比率
この時の中国はチャイナショック直後です。比率は3割を切っています。2位が台湾なのは変わりません。
2018年の【VWO】の国別構成比率
※いずれも図表はバンガード社から
1位の中国が全体の1/3以上を占めています。2016年はチャイナショックがありましたので、比率を落としています。しかし、回復とともに8%ほど伸ばしてきました。急回復というところですね。そのあおりをうけて、ほかの国は殆どすべて比率を落としています。
次に組み入れが多いのは台湾です。他にもインドやインドネシア、マレーシアといった魅力ある新興国も名を連ねています。各国株式市場の時価総額の関係で上記のような結果になっています。
国別に傾斜して投資をするならば、国別ETFのほうが投資対象として適していることになります。あくまで新興国への分散投資が主目的であるならば、このETF一本で目的は果たせます。
ちなみに数年前までは韓国も含まれていましたが、除外されました。
バンガード新興国ETF【VWO】の構成銘柄
こちらも同じく2016年と2018年の構成銘柄を比較してみましょう。
2016年【VWO】の構成銘柄
半導体で有名な台湾セミコンダクターがトップですね。テンセント、チャイナモバイルと中国企業が続きます。
2018年【VWO】の構成銘柄
いくつか興味深い会社があるので触れてみたいと思います。
台湾セミコンダクター
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングは1979年設立の世界最大級の半導体生産会社です。製造ラインを持たないファブレス企業との取引が多く、クアルコム【QCOM】やアップル【AAPL】といった大手IT企業群が有力顧客になっています。
テンセント
テンセントは騰訊控股有限会社と言い、中国最大級のインターネット関連企業です。SNSやメッセンジャー(騰訊QQ)が有名です。ゲームに非常に強く、子会社を通して実質世界最大のゲーム会社です。
企業買収に熱心で、ソフトバンクが2013年に15億ドルで買ったスーパーセル社を3年後の2016年に73億ドルで買っています。スーパーセル社はスマホゲームに強みを持ちます。この買収により世界最大のゲーム会社としての地位をさらに確実なものにしています。ただ、最近は中国ゲーム規制の影響を受けて下げています。
スーパーセルの例を見るまでもなく、これまでのソフトバンクの海外企業買収の目利きぶりは特筆もので、投資会社として非常な実績を上げています。有望なIT企業への投資が非常に上手く、こんな会社は日本に他にありませんね。
ナスパーズ
5位のNaspers社は南アフリカの企業です。1915年創業の古い新聞社でした。しかし、クース・ベッカー氏のCEO就任とともに投資会社的性格を持つ総合メディア企業、投資会社として変貌を遂げています。
売却をしていないので利益確定はしていませんが、テンセントへの投資で4000億ドルとも5000億ドルとも言われる金額を得ています。テンセントの筆頭株主です。南アフリカはもちろん世界的に有名な企業で、覚えておいて損はない企業ですね。
ホンハイ(鴻海)
シャープの買収で名をはせたホンハイです。EMS企業として世界最大です。簡単に言えば電子機器の受注生産企業です。しかし受注内容は高度で生産工程、設計なども含めて総合的に受注することが可能な専門企業です。
設計から生産、物流まで自社で持っていた垂直統合型のシャープが吸収されたのは製造業界の変化の象徴と言えなくもありません。世界の趨勢は垂直統合から国を超えたファブレス、EMSになりつつあり、日本の家電メーカの苦境もこの流れと関係があります。
インフォシス
インドのinfosys(インフォシス)です。インドのIT企業として最も歴史ある企業の1つで、多国籍企業です。アクセンチュアやIBMがライバル企業になります。
VWOに関連するそのほかの企業
10位はHDFC、インドの住宅ローン専門の金融機関です。証券、生保、投信会社なども傘下に持つ、金融コングロマリット企業と言って良いでしょう。
中国建設銀行や中国銀行を始めとする銀行の比率も大きいですね。成長国における銀行は成長企業、融資が伸びつつづけますから妥当性があります。
なお、ブラックロックからは【EEM】【IEMG】という新興国ETFが出ています。経費率では【IEMG】が有利ですね。新興国に魅力を覚えるならば、これらの新興国ETFから入るのが1つの王道ということになります。
株価は米国金利が上昇を続ける限りにおいて、渋い展開でしょう。しかし、逆に言うと過熱感も無いため長期ならば入りやすいとも言えます。
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VTも1割程度の開発途上国を含みます。VTは米国株の比率が50%を超えます。
世界のGDPを100とした時の各国の%です。今の先進国は軒並みその割合を落とします。特に目立つのがインドの勃興です。中国が高齢化著しいのに対し、インドの高齢化はまだまだ先です。
このVWO相当の投信が楽天バンガードから出されましたね。