たぱぞうの米国株投資

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バンガード・トータルワールドストックETF【VT】で世界中に投資ができる

トータルワールドストックETF【VT】で世界8000銘柄への投資

 バンガード・トータルワールドストックETF【VT】はバンガード社の世界株式ETFです。FTSEグローバルオールキャップインデックスへの連動を目指しています。経費率は0.09%です。

 

 ちなみにS&P500ETFのVOOは0.03%、米国株トータルマーケットのVTIも0.03%、高配当VYMは0.06%です。比較するとやや高いですが、ほんの2,3年前のVTは0.14%でした。

 

 VTに限らず、これらの海外ETFの経費率(信託報酬)は年々下がっているということです。信託報酬で儲けを出さなくても総資産規模が大きくなれば、貸株金利で利益が取れます。

 

 そのため、バンガードやブラックロックなどの大手運用会社はしのぎを削って毎年信託報酬を下げています。逆に言うと、運用会社はスケールが無いと利益が出にくい、生き残れない時代になりつつあります。

 

 さて、このVTの特徴はなんといっても、世界中の株式に投資ができる、というところにあります。大型株だけでなく、中型株、小型株も含むのでカバー率は約98%と言われます。

 

 とはいえ、実際には時価総額の比重などで50%以上が米国株投資になっています。つまり、VTは簡単に言うと

 

 「米国中心の世界株式ETF」

 

 ということです。このVTは特に日本人から人気がありますが、運用元のアメリカではSPYやVTIといった米国株ETFのほうが人気があり、運用額もそちらのほうがはるかに大きくなっています。SPYは30兆円、VTIは9兆円を超える資産規模です。

 

 対するVTは7500億円程度であり、資産規模のランキングでも50位以下です。米国市場においてはあまり人気がないと言えるでしょう。米国人はあまり買っていないけれど、日本人には人気がある、そんなETFです。

トータルワールドストックETF【VT】のチャートと配当

トータルワールドストックETF【VT】の株価とチャート

トータルワールドストックETF【VT】の株価とチャート

2009年12月 株価43ドル  年間配当0.66ドル

2016年5月  株価58ドル  年間配当1.456ドル

2017年6月  株価70ドル  年間配当1.53ドル

2018年10月 株価71ドル  年間配当1.662ドル

2019年5月  株価74ドル  配当予想1.811ドル

 

 VTの利回りは以前は3%近くあり、高配当でした。しかし、このところの取引値上昇により近年は2.2%前後まで落ちています。見ての通り、株価も配当もまずまずの伸びを示していますが、世界経済が弱含むと連動します。

 

 グローバルのPMIはこのところ冴えませんから、そういった世界株停滞のネガティブな材料を織り込んでいますね。

トータルワールドストックETF【VT】の構成銘柄

 2016年のVTの構成銘柄

2016年のVTの構成銘柄

2016年のVTの構成銘柄

  エクソンが4位につけていました。どの銘柄も1.5%以下で、分散性の高いETFであることが確認できます。経営再建前のGEがランクインしていたり、AT&Tが10位にあるのは時代の変動ですね。

2017年のVTの構成銘柄

2017年のVTの構成銘柄

2017年のVTの構成銘柄

 上位3社の顔触れは変わりません。しかし、エクソンが順位を落とし、ウェルズファーゴとAT&Tがベスト10から落ちています。いずれも他の銘柄に比べて株価上昇率が低かった銘柄です。

 

 10位にNestleがランクインしたのは注目されてよいでしょう。Nestleは唯一のヨーロッパ、米国外の株です。

 

 上位にはVTIなど米国ETFとさほど変わらない銘柄群が並びます。しかし、違うのはその比率ですね。上位10銘柄の合計でも8%~9%しかありません。世界分散投資であることをこの比率で裏付けています。トップ銘柄のアップルでも1%台です。

2018年のVTの構成銘柄

2019年のVTの構成銘柄

2019年のVTの構成銘柄

 appleがじりじりと割合を上げてきています。他のFANG銘柄も伸びていますね。この数年の傾向を示しています。エクソンとロイヤルダッチシェルが顔を出しているのは昨今の原油市況の回復によるものですね。

トータルワールドストックETF【VT】の国別構成比率

2016年のVTの国別構成比率

2016年のVTの国別構成比率

2016年のVTの国別構成比率

 2015年以前のデータを持ち合わせていないのですが、2016年のころからすでに米国が50%以上の比率を占めていますね。

2017年のVTの国別構成比率

2017年のVTの国別構成比率

2017年のVTの国別構成比率

 2位は日本です。2017年は日本の株価も好調であり、わずかに比重を高めています。

 

 そして、中国、韓国といった東アジアの国もランクインしています。英国の比率が1年で1割落ちているのが注目されます。ブレグジットの影響は無視できません。上げている印象の米国もわずかに比率を落としています。

2018年のVTの国別構成比率

2019年のVTの国別構成比率

2019年のVTの国別構成比率

 米国が比率を高めつつ、中国も順位を大きく伸ばしました。ただし、、VTの上昇のほとんどは米国が支えてきており、米国の相場が変調すれば加速度的に厳しい状況になりそうです。

VTと他のETFとの比較

 続いて、VTと他のETFを比較してみましょう

VTとVWOとTOKの比較

 最初に、日本人に人気のあるVWOとTOKの比較をしてみましょう。

 

 VTが全世界への投資をするのに対し、VWOは新興国への投資、TOKは日本を除いた先進国への投資になります。TOKはMSCIコクサイをベンチマークとしており、先進国投資信託に広く採用されています。

VTとVWOとTOKの比較

VTとVWOとTOKの比較

青:VT

緑:TOK

赤:VWO

 10年チャートの比較です。こうしてみてみると、この10年は先進国優位の10年でしたね。1990年代は米国優位、2000年代はグローバル優位、2010年は再び米国優位の株価でしたが、それを如実に反映していると言えそうです。

 

 VTとTOKの値動きがここまで似ているのは意外な印象を受けますね。

VTとVTIの比較

 VTIは米国市場全体への投資ができるETFとして有名ですね。

VTとVTIの比較

VTとVTIの比較

 この10年で2.5倍の開きが取引値ベースでありますね。VTは低成長の先進国を多く含みますので、このような結果になっています。ただし、低成長で安い株価位置にあるから良い、とする考えもありますね。バリューであるという考えです。 

【VT】に投資した時の予想と期待リターン

 VTは分散と言えどもバランスファンドのように、債券を組み入れているわけではありません。全世界株式ETFです。そのため、それらと比べるとボラティリティは高めです。世界の株式市場の影響を受けて上下します。

 

 直近の10年こそ9.6%のリターンですが、設定来だと4.9%のリターンに落ちつきますね。これを基に、シミュレーションをしてみましょう。

VTを年間60万、10年積み立てた時の予想と実績

VTを年間60万、10年積み立てた時の予想と実績

  VTを月々5万円、つまり年間60万円を10年積み立てた時の予想と実績ですね。おおよそ772万円になるということです。利回りは過去実績の4.9%で出しています。

VTは最善の選択になりうるのか

  多様な国を含んでいるから安心安全なのか。それとも株式投資に値しないような国も含むからパフォーマンスが落ちるのか。これは「国」を「銘柄」に置き換えればETF全体に共通する永遠の課題ですね。

 

 ただし、世界経済という大きなくくりでは今後も成長することは間違いなく、そのくくりに投資するということならば妥当性があります。だからこそ永遠の課題なのでしょう。

 

 なお、私はかつてこのVTを短い期間持ったことがありましたが、2018年夏の時点で売却しています。

VTを購入する際のおすすめの証券会社

 VTを購入する際のおすすめの証券会社は4社あります。紹介しておきます。

楽天証券

 楽天証券 では投資信託である楽天VTを扱っており、iDeCoで買えます。これは楽天証券 だけですね。また米国ETFとしても当然買えます。指値の期間が90日あるのも魅力です。

SBI証券

 SBI証券では米国ETFの定期積立サービスを行っています。米国ETFとして定期積立をしていくならば、SBI証券は外せない選択となるでしょう。

マネックス証券

 業界最長の指値期間90日ができたり、逆指値・時間外取引・株価がリアルタイムである点は米国株取引の強みです。特に、短期売買をするには米国株取引のリアルタイム株価は必須ですね。

サクソバンク証券

 サクソバンク証券の強みは、テクニカル分析のチャートが豊富なことです。売り時、買い時のアラート機能もあり、短期中期売買に強みを持ちます。FXやCFDにも強いサクソバンク証券なので、短期トレーダー向けの機能が充実しています。 

 

関連記事です。

 米国株一本のETFがVTIですね。この10年は絶好調でした。

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 このVTをつみたてNISAで直接買うことはできません。しかし、楽天バンガードが投信の形にして販売しています。VTを買いたいがドル転するのに抵抗あり、という方や、つみたてNISAで買いたい、という方には利用価値大だと思います。今後の実質コストには注目したいですね。

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  楽天・バンガード・ファンドに関しての記事です。今後、S&P500連動のVOOなどが出てくれば、商品選択肢が増え、個人投資家の投資の主流になる可能性を秘めています。

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