たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

株式と債券の比率はリスクリターンを踏まえるとどうなるのか

株式と債券、現金の比率はどのように考えるのか

 キャッシュポジション(cash position)とは、現金比率のことです。株式に対して現金はどの程度の比率が好ましいのでしょうか。よく言われるのは以下の式です。

 

100-年齢=投資の%

 

 ということです。しかし、多くの個人投資家はもっと多くの比率を投資に回しているでしょう。特に株式投資歴の長い投資家ほどリスクバランスも経験的に分かっています。ですから、あくまで参考程度の数字でしょうね。

 

 現金部分を債券で考えるとさらに比率が上がることになります。いくつか例を挙げてみたいと思います。

株式と債券の比率をどう考えていくのか

 株式と債券の比率を例にとってみましょう。このポジションの持ち方も様々あります。長期債と短期債でも異なります。けれど、ここでは一般的なディフェンシブな短期債メインの比率として考えてみたいと思います。

ベンジャミン・グレアム氏の株式:債券の割合

株式50対債券50

 バフェット氏の師匠と言われるベンジャミン・グレアム氏の推奨する債券比率です。グレアム氏は世界恐慌を経験しています。暗黒の1930年代、S&P500が3年連続マイナスになるということが2度もあった時代です。

 

 具体的には、1929年の世界恐慌、1937年のルーズベルト不況ですね。この後、世界は第二次世界大戦へと進み、世界の経済政策に大きな反省を残しました。

 

 この時代を過ごしたのがグレアム氏です。そのため、債券への比重が高いですね。株式の比率は低めで、わりと保守的と言えます。よく言われるのがこの50:50を基本として、

 

株式25:債券75から株式75:債券25のレンジに収める

 

 ということです。ただ、現在はグレアム氏の時代よりも株式が好調で、リターンで見ると債券が弱い時代です。そう考えると実際には上限の株式75:債券25というのもあながち無理な選択ではないように思えます。

楽天バンガードバランスファンドの株式:債券の割合

 楽天バンガードからバランスファンドがリリースされました。この比率がベンジャミン・グレアム氏の比率に近いパターンを商品化しています。

株式と債券のリスクを踏まえた比率

株式と債券のリスクを踏まえた比率

 基本は50:50としつつ、それぞれ上限下限を70%と30%に設定していますね。非常にしっくりくると思います。 

株式と債券の比率は、考え方次第でもある

 私は個人的には株式と債券の比率というのは海外株式と海外債券を元に考えると以下のような割合が理想と考えます。

株式70:債券30

 このあたりが心地よいかと思っています。ただ、このような債券あるいは現金を意識して噛ませるのは1000万円を超えたあたりからで、ある程度の積極性を取っていかないと資金が少ない時にはなかなか増えないと思います。

 

 もっとも、こういう考え方は一般的には稀です。資金量云々ではなくてやはりアセットアロケーションのバランスというのは、資金の大小に左右されるものではないという考え方のほうが多いでしょうね。

 

 リスクリターンで考えると、S&P500だとリターン6.8%リスク15%あたりです。債券ETFだとものにもよりますが、リターン2~3% リスク10%あたりでしょう。モーニングスターさんが作成された図がありますので、引用します。

各アセットにおけるリスクリターンの関係

各アセットにおけるリスクリターンの関係

 この場合、リスクというのは危険度という意味ではなく、単なる標準偏差に基づくバラつきですね。そう考えると、日本国債の生債券などはインフレを除けばリスクはあまりありません。また、現金もそうです。リターンは下がりますが、リスクつまりばらつきも無いため、資産額の変動をマイルドにするというのはそういうことです。

 

 そう考えると、債券なら30%程度、現金ならば10%から20%ぐらいを目途に持っておくというのは、理にかなっていますね。海外債券は、為替ヘッジが無い場合はかなりリスク、つまりばらつきが大きくなります。為替変動は無視できない変動要因ということです。ここに私たち日本人の資産運用の難しさがあります。

 

 さて、長くなりましたが、ご質問を紹介します。

資産調整のための売却についての質問

 はじめまして。昨年より、ほぼ毎日ブログを読ませていただいています。

 たぱぞう様のブログを読み、自分なりに考え昨年夏頃にVTIを購入しました。その後、順調に資産は増加し、現状には満足しています。

 

 しかし、景気拡大期が10年を越すなど、米国経済に不透明感が出てきました。たぱぞう様のブログを読んでますので、VTIを全て売却し市場から退場するつもりはありません。


 しかし、利益を確定しキャッシュポジションを積み増し、次の投資機会(下落)に備える局面にさしかかっているように感じます。そこで質問ですが、すべてVTIで保有しているとして、調整を目的とした場合、何割くらいの資産を売却した方がいいでしょうか。


 私の感覚として3割ほど売却しようかと考えています。よろしければ、ご指南お願いいたします。

3割ほど売却するのは理にかなっています。

 質問者さんは、すでに不動産投資も積極的になさっているということです。ですから、投資初心者さんではありませんね。ご資産もすでに相応におありということです。

 

 それを考えると、資産のすべてがVTIだと考えると、やや過重に株式に軸足を置いているかなと思います。3割程度の売却というのは、私の肌感覚でも心地よい割合です。また、グレアム氏やバンガード商品の提案にもあるように、同時に理にかなったものだと思います。

 

 3割という数字が自然と出てこられるのはさすが、不動産をなさってきた肌感覚ということですね。経験というのはこういう数字を自然と出してくれるものですね。

 

 現金でも債券でも、より安定的な資産に代えておくのは良い備えだと思いますよ。ただし、今は未曽有の債券高です。これは将来的なリターンを押し下げる要因になります。

 

 レイダリオ氏が「個人投資家のリスク許容度は高くない、そのため中長期債券を厚めに入れたほうがいい」というコメントをしていました。資産が大きくなるほどぶれ幅が大きくなります。リターンは小さくなるかもしれませんが、アセットを分散させていくのは大事ですね。

 

 私もそうしています。ご質問ありがとうございました。

 

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   アセットクラスに関しての記事です。資産の分散は運用額が大きくなるにつれて意識したいことです。経験を積むという意味でも、株式以外に取り組んでみるというのは価値があることだと思います。異業種交流も楽しいですしね。

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  かつては預金で8%も付くことがありました。こうなると、あえてリスクをとって積極的な運用をするというよりも、安定的に預金で運用しようという考えになりますね。しかし、大インフレでも起きない限り、そういう時代は来ないでしょう。だからこそ、個人による資産運用が喫緊の課題になっています。

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  レイ・ダリオ氏は中長期債を厚めに入れるという主張をされていますね。リターンの大きさと、株式に対する逆相関性が根拠になっています。債券に安定を求めるのか、逆相関を求めるのか、これも永遠のテーマです。

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