レバレッジ、ハイテク、右肩上がり神話の崩壊か
2018年の相場は非常に学びの多い相場でした。リーマンショック以後に投資を始めた人にとっては特にそうだったのではないでしょうか。それは、久しぶりに停滞した相場環境だったということ、さらにボラティリティが大きかったということに尽きます。
米国の雇用統計をみてもほとんど完全雇用状態で数十年来無いほどの好況です。また、GDP成長率も鈍化が見込まれつつもここまでは非常に順調です。ISM景況指数も悪くありません。盛り返しています。
にもかかわらず、株価指数が停滞している原因は2点です。
- 米中貿易交渉
- 米国FF金利利上げ
しかし、これはTwitterでもつぶやきましたが、コントロール可能な要因です。
今年の相場が難しいのは、経済の諸指数は最高で、金利政策も間違っていないというところ。米中貿易交渉も金利引き上げも人為的なもので、リーマンショックやチャイナショックのようなアンコントローラブルな金融及び景気によるものじゃないところ。逆に言うと、だから調整程度で済んでいる。
— たぱぞう🐘@米国株ブロガー (@tapazou29) 2018年12月15日
いわば、恣意的なものですね。にもかかわらずここまで相場を難しくしているのはなぜなのでしょうか。非常に抽象的な言い方になりますが、昔から株式相場とはこういうのものなのです。
株式相場はある程度の論理性や経済知識などが必要とされますが、それだけでは不十分だということです。多分に人間の心理のようなものが入りますし、不確定要素が入ります。特に個別株はそうです。そのため、逆に読めない方向に値動きを示すことがしばしばありますね。
地震学者が知識が豊富で解説もばっちりなのに、地震をぴたりと予知するのが不可能なのと同様に、経済に深い造詣を持つ人でも相場で常に勝てるわけではないのです。株価の行方は完璧には分からないということがわかる時点で、初級者レベルをようやく脱するということです。
変な話、「相場は分からない」ということを分かるのが、FX初心者から中級者へと進化するポイントなんじゃないかという気がしています。
— Yuki 為替研究所管理人 (@kawaselab) 2018年12月15日
このつぶやきはFXの話ですが、株にも当てはまります。けだし名言です。よほどうまい人を除いて、相場に謙虚であることですね。ゆめゆめ調子に乗らないことです。運が逃げます。
相場の頂点では、人の心は有頂天になります。そして、全てがわかったように感じ、常に勝てるような錯覚に陥るのです。仮想通貨しかり、ハイテク株投資しかり、高配当投資しかり、レバレッジをかけた株式投資しかりです。
私はつねにキャッシュポジションを取るように説いてきましたが、これは「分からない」ということを前提にポジションを取ると、キャッシュを置いておかざるを得ないからです。
もちろん、上手な人は関係ありません。ただ、経験も知識も浅いのに上手だと勘違いしてフルポジションを取るとやられます。キャッシュというポートフォリオの遊びの部分が無いと、心の余裕という遊びも無くなるのです。
昔は相場観を感じ取るのに有効なのは株の掲示板でしたが、今はTwitterが非常に相場観をよく表しています。相場の熱量を感じるには非常に優れたSNSと言えます。
あるポジションにおいてやたらと強気な発言、違う投資法の人を小馬鹿にしたような発言、それはとりもなおさず話者自身が自らを見失っているにすぎないのです。一緒になってキャンキャン興奮のるつぼに入り込んでも、何も得しません。
どのような相場環境になろうとも、一定の距離を保ちつつ淡々と自らの常識的な範囲での投資を続けることが、この世界で長く生き残るための要諦ということですね。いろいろな考え方があると思いますが、私が下手なりに生き延びてきたのはこういうことです。
さて、今回はブル3倍のSPXLについてご質問をいただいておりますので、ここでご紹介します。
ブル3倍のレバレッジETF、SPXLでの積み立て
いつも参考にさせていただいております。
たぱぞう様の記事がきっかけで「米国株、長期目線、積立」の投資を続けています。年齢が35歳なので、定年予定の60歳までは相場の動きに惑わされず淡々と続けていくつもりです。
現在はNISAを活用して月10万円をVOOに投資しておりますが、以前SPXL(S&P500 3倍ブル)に関する記事を拝見して、120万円のうち半分くらいはSPXLにしてもいいのではないか、と考えるようになりました。
レバレッジ投資は時間が経つほど乖離率が大きくなるので、そこが不安ではありますが、長い歴史を見れば右肩上がりの米国株なので、積立であれば長期投資にも使えるのではないかと思いました。
お忙しいとは思いますが、たぱぞう様のお考えをお聞かせいただけたらと幸いです。
とはいえ、レバレッジは使いようで人生を豊かにします。
とはいえ、レバレッジは使いようで人生を豊かにします。しかし、今のようなボックス相場になると逓減していくという特徴があります。カーネルさんのいわれるように、おおよそ3%~4%の上昇が無いとレバレッジが生きてきません。
金利がここまで上昇してくると、相場の見通しも難しくなってきます。そのため、それなりのリスクもあることを承知で活用されるのが良いでしょう。また、実際に運用するのは私たち自身で、そこには人の心が介在することも話をややこしくします。つまり、大きなボラティリティに耐えられるかどうかということです。
きちんとキャッシュポジションを取り、そのうえで取り組まれるならば良いと思います。「それでは資産が増えるスピードが限られる」ということでしたら全力で張っていくわけですが、同時にリスクも急上昇します。ただ、張らないと増えない場面もあるわけで、そこが非常に深いですね。
私もハードアセットではレバレッジをかけています。ただ、ハードアセットは相場と違い、電卓をはじけば税金も含めた収支がパチッと出やすいので、あくまで比較的ですがレバレッジもかけやすいですね。
金融機関がハードアセットには融資をするのに、株式やFXに融資をしないのはそういうことです。リスクと上手く付き合いながら、投資を楽しむのが大事ですね。
相場は厳しいですが、ともにがんばりましょうね。
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私は個人的にはSPXLを使った投資には肯定的です。ただ、上級者向きですね。同じレバレッジならば不動産・太陽光のほうがはるかに安全です。ある程度収支が読めるからです。ただ、業者の言いなり収支はダメです。
同じレバレッジでも住宅ローンのロジックはもっとシンプルになります。収入とローンの負担をどのように見積もるかということになります。基本的に収益を生まないので、住宅ローンで盛りすぎると人生の幅が狭くなります。
高値掴みというのはこういう相場になるとどうしてもありますね。高値掴みしても良い株、ETFを選んでいくこと、一括で買わないということですね。