FRBによる今年4回目の利上げの決定
米国時間の19日、FRBは従来の予想通り0.25%の利上げをしました。これによりFF金利は0.25%上がり、2.25%~2.5%になりました。同時に、昨今の株安や市場のボラティリティの高まりを受けて、来年の利上げを2回にするということです。
利上げに対する反発の声もあったことから、何らかの「甘い条件」も示すという観測でしたが、来年の利上げを2回にするという程度でした。パウエル議長の発言後、株価は急落しました。
もし、「利上げはこれで打ち止め」というような趣旨であれば、株価は上昇していたことでしょう。しかし、継続方針に変わりはないことが確認されたため、失望売りを誘っています。
今回利上げをし、来年は3回利上げをする、というのが従前の方針でした。それを考えると、個人的にはうまい具合に手綱を緩めたという印象です。
米国株は大きな転換点を迎えている
ここで改めて過去の政策金利の推移をおさらいしておきたいと思います。
こちらのサイトにあるリーマンショック以前からリーマンショック以後にかけての政策金利の一覧表です。リーマンショック前には5.25%ありましたが、そこからたった1年半で0.25%まで下がっています。
2008年に0.25%に下がってから、2015年12月まで0.25%を維持していました。この間、FEBによる国債などの金融資産資産の買い入れ、増加も並行して行っていましたから、まさに空前の金融緩和だったわけです。
その後、2015年に利上げに転じてからは「おそるおそる」といったペースで進めてきました。この間の金利政策は、今ほど話題にならず、株式市場も順風満帆でした。しかし、2017年から今に至るまではあれよあれよと利上げが進み、2018年の軟調な株式市場の一因になっています。
米国株式市場は敏感に下げている
米国株式市場は敏感に下げ幅を拡大しました。事前にトランプ大統領がかなりの口先介入をしていましたから、一部には金利据え置き観測もありました。しかし、当初の見込み通り、よく利上げをしたと思います。
軟調な株価を受けて、何らかの譲歩のようなものがあると期待していた向きもありましたが、見事に外れましたね。高値から実に700ドル下落しました。
ちなみにたぱぞうは今回の利上げには賛成ですし、株価が適正な水準に戻ってくることを歓迎しています。前から書いていますが、時計の針は急には進みませんので、急激に伸長した株価はいつか適正な位置に戻ってくるものです。
2016年以後の株式市場はややお元気に過ぎるところがありましたから、2018年の調整相場というのは非常に良かったと言えるでしょう。特に法人減税はタイミングとしては必要ない時期でのものでした。過熱感をあおった側面は否定できません。
そのため、指数ベースでみると、それでも年初来でわずかにマイナスというレベルです。
極端な調整の例でいくと仮想通貨やリーマンショックがありますが、ああいった形での調整になると退場者が続出します。そういう意味では、今の金利水準というのは悪くないと考えます。
景況指数や雇用統計は依然として強く、利上げ余地があることを示しています。ちなみに雇用統計はおよそ50年ぶりの失業率であり、ほとんど完全雇用状態を実現しています。
2019年の相場観
まず、2019年は以下のような展開が予想されます。
- 利上げを織り込み、強い経済指標を基本とした最後の株価上昇
- 2018年のようなボラティリティの高い相場
最後の株価上昇は景気の最終段階でたびたび見られたことです。その時にはそれなりの理由が付くものですね。ただ、その上昇は限りがあり、今までのように2年も3年も続くような腰の強い相場というのは考えにくそうです。
結局のところシナリオとしては、過去の暴落の記憶が未だに鮮明で、警戒心が抜けない、ボラティリティの高い相場が続きそうです。つまり、株安を織り込んだ値動きになるということです。
いずれにしても、今年がそうだったようにリスク管理をしっかりしながら相場に臨むというのが大事になります。そのキーワードは分散ですね。ここでいう分散はアセットの分散です。
ペーパーアセットならば株以外も債券や現金を持っておくと良いでしょう。
定額積み立てという形で市場に参加している人たちは、全く関係ありません。半値になっても自信をもって保持できる株、ETF、投資信託を淡々と積み増していけばいいですね。米国の株式市場が調整入りすれば、他国はもっと大きく調整するというのが21世紀のセオリーです。今回もセオリー通りですね。
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長い20年、30年に及ぶ持続的な成長に、今回のような調整は欠かせません。
損切りするときのタイミングと考え方についてです。損益通算含めて損きりは大事ですね。特に、相場観が間違っていた時は総括する必要があります。