債券アクテイブファンド【BOND】【TOTL】の評価と成績
債券ETFというと、米国株投資家はBNDとAGGが頭に浮かぶのではないでしょうか。両方とも米国市場において圧倒的な運用総額を誇ります。
ところが、米国市場はこれに限らず債券アクティブファンドETFというものが存在します。低金利時代は債券インデックスをアウトパフォームしていたことから、個人投資家を中心に一定の支持が今もあります。
今回は、その債券アクティブファンドに関してのご質問を紹介します。
債券アクテイブファンド【BOND】【TOTL】の成績が優れているようですが
いつも楽しくブログ記事を読んでいます。今回質問(というより見解お聞き)したいことは米国ETFの債券投資はアクティブがよいのではないか?ということです。
記事によると債券インデックスには株式インデックスと違ってかなり非効率な部分が存在し、そのため株式よりもアクティブ運用が有効であるとの主張のようです。
実際、上記世界最大の債券運用会社PIMCOが運用するPIMCO Active BondETF(ティッカーBOND)の成績を見てみると設定以来一貫してベンチマークのインデックスをアウトパフォームしており、年を追うごとにその差が開いていることが確認できます。
(日本の証券会社では買えません)
また日本の証券会社で買える唯一のアクティブ債券ETFであるSPDR ダブルライン・トータル・リターン・タクティカル ETF(ティッカーTOTL)についても2015年の設定以来一貫してベンチマークをアウトパフォームしているようです。
日本の債券アクティブ投信には買う価値があるものはほとんど存在しないと思っていましたが、米国ETFで債券投資を考える場合には(相対的に高い経費率を考慮したとしても)充分に選択肢として入るのではないかと考えるのですがいかがでしょうか。
(債券ETFでBNDやAGGが安定しているということも承知しています)
昨今アメリカでの利上げと債券価格の下落、近い将来リセッション入するのではないかとの発言も聞こえはじめてきたため、投資の知識と幅を広げる意味でも債券ETFについて質問させていただきました。
時間のある時で構いませんので見解をお聞きできればと思います。よろしくおねがいします。
債券アクティブファンドの魅力と問題点
おっしゃるように、債券アクティブファンドには優れたものがありますね。下図は
BND=赤(信託報酬0.04%)
BOND=青(信託報酬0.76%)
TOTL=緑(信託報酬0.55%)
比較チャートです。期間は5年です。
5年だとほとんど同じパフォーマンスを示していますが、これより長い設定来の10年未満チャートになると【BOND】や【TOTL】のほうが優れています。特に、設定してから経過時間の浅いときに【BOND】や【TOTL】は優れたパフォーマンスを示しました。
PIMCOの資料は2016年のものですから、乖離が顕著なころのものです。その後、その差は小さくなっています。最近はほとんど同じ値動き、大きな差は無いですね。
【BND】や【AGG】の運用総額は大変大きなもので、この2つは債券系のETFとしては出色です。個人投資家はもちろん、機関投資家も使っています。流動性に富み、信頼の歴史があるからですね。
参考までに債券系ETFの主なものを上げておきます。ランキングは運用総額順です。出典はetfdb.comですね。
Symbol |
ETF Name |
運用総額 ($MM) |
YTD |
平均出来高 |
取引値 |
---|---|---|---|---|---|
AGG | iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF | $53,650.78 | -1.85% | 4,336,495 | $104.88 |
BND | Vanguard Total Bond Market ETF | $35,765.13 | -1.98% | 2,285,202 | $78.14 |
LQD | iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF |
$29,829.96 | -5.55% | 8,332,620 | $111.46 |
BSV | Vanguard Short-Term Bond ETF | $25,401.70 | 0.34% | 1,641,963 | $78.08 |
TIP | iShares TIPS Bond ETF | $21,828.55 | -1.95% | 1,622,452 | $109.27 |
VCSH | Vanguard Short-Term Corporate Bond ETF | $20,710.94 | 0.08% | 1,528,722 | $77.68 |
VCIT | Vanguard Intermediate-Term Corporate Bond ETF |
$18,376.42 | -3.25% | 1,251,140 | $82.11 |
SHV | iShares Short Treasury Bond ETF | $17,372.21 | 1.52% | 1,724,668 | $110.47 |
SHY | iShares 1-3 Year Treasury Bond ETF | $17,171.10 | 0.69% | 2,418,168 | $83.25 |
EMB | iShares J.P. Morgan USDEmerging Markets Bond ETF |
$15,023.69 | -7.24% | 3,692,942 | $103.69 |
HYG | iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF |
$14,395.39 | 0.06% | 20,144,200 | $83.60 |
BNDX | Vanguard Total International Bond ETF | $12,459.52 | 1.62% | 1,073,046 | $54.76 |
AGGとBNDが圧倒的ですね。運用総額が圧倒的だから良い、というわけではないですが、やはり安心感は出色です。
債券投資に何を求めるかで答えは変わります
結論としては、債券投資に何を求めるかで答えは変わりますね。もし、リターンを求めるならば、長期債やジャンク債などが選択に入ります。安全性を求めるならば優良債券の短期債ということになるでしょう。
そのバランスを狙ったものがAGGやBNDということになります。債券アクティブファンドはややリターンに軸足を置いているのかなというのが私の見解です。高い信託報酬に見合ったリターンを出し続ける必要があります。
また、属人性が高いのも特徴です。どの会社が運用しているというよりも、「誰が」運用しているというところが大事です。ファンドマネージャーが著名だと引き抜きもあり、それによって成績が左右されることもあります。これは日本もそうですね。
いずれにせよ、こうした商品選択の自由さは米国市場へ投資する1つの良さでもありますね。
弊ブログでは債券に関してはBND・AGGをおススメしています。それは、確かな歴史に基づく流動性が、信頼と安定に結びついていると考えるからですね。
でも、それは絶対解ではありません。私たち一人ひとりが投資に何を求めるか考え、出す結論は多様で良いと思うからですね。ご質問ありがとうございました。
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取り扱い銘柄の数で言えば、サクソバンク証券が図抜けていますね。
こういった多様なニーズに応えることができるのが、米国市場に投資する意味の1つということですね。
利上げにより、債券利回りが上昇しています。比較的地味なMMFでさえ、2%近い金利を付けています。投資先が多様化するのは、私たち個人投資家にとってはうれしいことですね。