たぱぞうの米国株投資

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米国利上げによる影響と投資の方針

米国FRBが利上げを決定しましたが

 2018年9月末に米国FRBが再び利上げをしました。これによりFF金利の誘導目標は2%〜2.25%となりました。2018年中では12月のあと1回見込まれています。2019年はこのペースで利上げを続け、3回の利上げ見通しです。今後の予想を整理してみると、以下のようになります。

  • 2018年 2.25%〜2.5%
  • 2019年約3.1%
  • 2020年約3.4%

 2015年から始まった利上げですが、すでに3年で8回の利上げとなっています。1回につき0.25%ずつ利上げをしてきたことになります。

 

 とはいえ、基本的にこの20年近く先進諸国は金融緩和の方向です。その最たる存在は日本であり、日本の場合はほとんどゼロ金利という状態が恒常化しています。米国も日本同様に利上げは米国債の莫大な利払いに直結するのですが、国内経済の強さが利上げを後押ししています。

 

 EUも利上げ方向の今、日本もとうとう「金利変動幅を大きくする」という措置を採用しました。今後しばらくは米国の利上げ傾向は続くと予想され、EUと日本もそれなりに追随していくことになりそうです。国内住宅ローン金利などはじりじりと反応していますね。

 

 もっとも、20世紀末のように高金利、例えば5%以上になることは可能性としては殆どないでしょう。いずれにしても、今後は利上げを前提しつつも、FRBがどの程度の金利を上限として狙ってくるのかというところに関心が移りつつあります。

 

 すでに新興国からはそれ相応の資金流出が起きており、新興国の次は先進諸国、最後に米国の景気に影響が出ます。今回の利上げは大きなリセッションであったリーマンショックを十分意識したものになっており、利上げのスピードは緩慢です。

 

 しかし、ある程度出口が見えてきました。そういう意味では、新興国の資金流出も歯止めがかかる可能性があります。

 

 米国企業業績に関しては、法人税をおよそ15%引き下げた効果が持続しています。引き下げ当初こそ、システムの組み直し負担がありましたが、その後の決算でははっきりとした上振れ効果が出ています。

 

 前年比でプラスの業績を残している企業が殆どなのはそういうことで、引き続いて2019年春先までは企業業績は好調と見て良いでしょう。

 

 私たちが特に意識しなくてはいけないのは、税メリットが常態化し、利上げによる影響がじわじわと出てくる2019年半ば以降となります。

 

 いずれにせよ、2018年2月の調整を経て、経済は非常によくコントロールされた状況に見えます。さて、こうした状況の中でどのような投資行動を取ればよいのかということでご質問を頂いています。

米国利上げ局面における投資行動とは

 米国債の利率が上昇するにつれて、公益株が下落するのが一般的だとは思いますが、PFFなんかも同様と考えるべきでしょうか?


 両親と夫婦で住んでおり現在45歳男性で病気の治癒中のため無職の状態ですが働いてためた資産は5千万ほどあり、vooに300万、PFFに300万、VTに100万ほど、米国ダウの個別銘柄に800万ほど投資していますが、個別銘柄の才能がなくトータルでプラスのうちにvooの比率を高めていこうと考えています。

 

 このような状況ですがPFFも下落気味ですので処分するべきか悩んでいます。収入がないため、所得から米国株の配当の10パーセントの控除もできませんし、高配当のメリットも少なくなると考えています。


 もしかして嫁の扶養になれば、嫁の所得から控除できるのでしょうか?
仕事は体調が回復したらアルバイトぐらいはしていきたいと考えています。嫁は正社員で年収300万程度です。
お忙しい中よろしくお願いします。

 利上げ局面においては国債、社債はおしなべて下落傾向

 利上げ局面においては国債・社債といった債券系の商品はおしなべて下落をします。既発債は安くしないと新発債と金利面で不整合、つまり魅力がなくなるからです。

 

 もっとも、先進国債券に関する限り、この下落幅というのは株式相場の下落幅に比べるとはるかに軽いものです。とはいえ注意しなくてはいけないのは、ご質問にあるPFFは優先株式であり、平時には債券のような役割を果たしますが、リセッション時には株式のような値動きを示した過去があります。

 

 高利回りを狙うならば妥当性がありますが、リセッションに備えるという意味では債券の役割は果たしません。

 

 5000万円のご資産というのは強みですが、お仕事をされていないので、収入面からも資産をより大事にしたいところです。PFFに関しては、以上のようなことを踏まえるとやや弱気ですね。

 

 VOOの比率を高めるというのは投資比率を高めるという意味において意味があります。ただ、おっしゃるように外国税額控除が使えませんので、投資信託で配当課税の繰り延べ効果を狙ったほうが良さそうです。

 

 個別株に関しては、今までの取引でセンスが確認されたことと思います。利益を出せるならば続ければよいですし、手間を感じる、利益が出ないならばETFに軍配が上がります。

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 今はとにかく健康を回復することが第一ですから、過度にポジションを取って不安な要素を高めるのはやめたほうが良いでしょう。むしろ、数年以内にキャッシュの意味が改めて注目される時期が来ると思います。

 

 これに関しては閑話休題的に取り上げてみたいと思います。

 

関連記事です。

  ドリップという配当金再投資システムを備えていることで注目される、サクソバンク証券の記事です。 

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  外国税額控除が使えないならば、投資信託で配当金の繰り延べを狙う。それは資産運用上、理にかなっていますね。

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  上手い人は下げ相場でもオプションを駆使してリスクをヘッジしていきますね。ただし、これもセンスが必要な取引になります。

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