米国株の次なるイノベーション、人工知能【AI】分野
平たくいうとAIとは人工知能です。従来のロボットが指示・命令されたことに忠実なのに対し、最大の特徴は「自ら考える」というところになります。もっとも、考えるには根拠があります。根拠とはつまり、過去のデータです。
過去のデータをもとに最善を導き出す、解析が人工知能【AI】ということになります。深層学習【ディープラーニング】などとも表現されますね。
例えば、Googleの子会社ディープマインド社が作ったアルファ碁などもその1例です。将棋や碁、チェスといった盤上ゲームは数多くのパターンから、その場の最善を判断して意思決定を繰り返していきます。
これらのゲームが人工知能分野の向上、あるいは実験にふさわしいのは場面が限定されており、選択肢がある程度絞られるからです。それでも、将棋などは相手から獲得した手駒をそのまま活用できるため、パターンも多く、不確定な要素があるので人間に勝つには多くの時間を要しました。
考えてみれば私たちの日常というのは、不確定な要素の連続で満ちています。自動車を運転すれば様々な視覚情報から安全な選択を繰り返しています。仕事をすれば、今までの経験を活かしながら最善の成果を目指します。
こういった人間が柔軟にこなしてきた内容も、その何割かは過去に依拠した結論ということです。そうだとするならば、人工知能の入りこむ余地は大いにあります。自動運転や医療診断などは代表的な分野と言ってよいでしょう。経験も含む、過去データの参照により、意思決定をしていくからです。
これらの分野の人工知能は特化型人工知能【AGI】と言われます。可能性としてはこちらのほうが実現が早く、さらに世の中にも活用されやすいです。データを扱うという意味においてはコンピュータは人よりも優れた面があるからです。
これに対し、汎用型人工知能【GAI】と呼ばれるものがあります。これはまさに臨機応変にその場で考え、その場に応じた知能が求められます。例えば、学校の先生の仕事や、心理カウンセラーの仕事、もしくは1から顧客を開拓する営業なども当てはまるでしょう。
ある意味では究極の人工知能とも言えますが、汎用型人工知能【GAI】はまだまだです。世間一般で言われる、いわゆる人工知能は今は前者の特化型人工知能【AGI】を指すことが多いです。
こういう視点で見ていくと、どのような企業が次なるイノベーションのAI銘柄としてふさわしいのか、ある程度見えてくると思います。さて、ここでご質問を紹介します。
人工知能【AI】の可能性と米国株関連銘柄
はじめまして。
私はFXを2年ちょっとかじり、1年半位前からウェルスナビで積立投資をはじめた投資初心者なのですが、先日NHKスペシャルを見ていたところ、昨今流行の人工知能を取り上げていました。
AIといえば気象予報などの分野では成果を上げているようですし、米国のファンドなどもアナリストの人員整理が進められており、順次AIに取って代わられているといったニュースを見たような気がします。
なかなか予測は難しいと思うのですが、先々(20〜30年スパン)で考えた場合、人工知能は投資市場においてどのような存在になると思われますか?
ご見解を聞かせていただければ嬉しいです。
米国株人工知能【AI】、代表的な銘柄5選
間違いなく人工知能【AI】は私たちの生活を大きく変えていくでしょう。特に再現性の高いサービスなどは、すべてではないでしょうが人ではなくAIに置き換わる可能性があります。
それが心地よいからどうかは別にして、コストとの兼ね合いになってくるということです。
例えば、鉄道や高速道路の輸送業務などは、かつて人が改札で切符を切っていたことを想起すると、同様に人と取って変わる可能性があります。また、比較的メニューが絞られ、工場生産されたメニューを現場で少し加工するような外食チェーンもそうです。こうした例は、枚挙にいとまがありません。
そうなると、今まで人件費として発生していた費用が、そのまま人工知能開発をした企業の収益に置き換わるかもしれないということです。これは、産業構造の大きな変化をもたらす可能性があります。
いわゆる人工知能の基本になるのがビッグデータの解析ということになります。つまり、数多くのデータを持つ企業、そしてそれの有効な解析ができる企業がこの分野においては有望だということです。
代表的な5銘柄を上げてみます。
alphabet【GOOGL】
グーグルはAI界で有名なジェフ・ディーン氏がAI部門のトップを務めることで知られます。自動運転の実験データ蓄積やアルファ碁、Googleホームといった試みはすべて先行投資です。医療分野の進出にも熱心で、糖尿病による失明やガンの早期発見といったジャンルですでに実験によるデータ蓄積・解析を行っています。
潤沢なフリーCFが豊かな研究費、環境を支えています。
Amazon【AMZN】
意外かもしれませんが人工知能分野への研究投資の歴史は古く、20年以上の歴史を持ちます。有名な商品としてはアレクサのechoや店舗型小売りのAmazon go、Amazon Web Service【AWS】シリーズなどがあります。
人工知能という切り口で見ると、これらの前衛的なサービスが実は未来の人工知能分野への先行投資であることが見えてきます。
apple【APPL】
2018年に入って、GoogleのAI部門担当者だった英国人の情報工学者であるジョン・ギアナンドレア氏をスタッフに加えています。ジェフ・ディーン氏の前任です。その後、Core MLとSiriの開発グループをまとめ、ML/AIチームとして一本化し、ジョン・ギアナンドレア氏が統括する社内システムにしました。
HomePodなどが商品化されていますが、GoogleとAmazonに比べるとやや後発なイメージがあります。
Facebook【FB】
不適切な投稿のチェックや、写真のチェックにすでにAIを導入、活用しています。また、Facebook AI Researchという研究所を持っており、カナダやヨーロッパなどでも研究を行っています。
2017年には、AI同士で会話実験をし、途中から人間の理解できない独自言語での会話になり、強制終了したという内容がニュースになりましたね。
Microsoft【MSFT】
副社長のHarry Shum氏の直轄で研究を進めています。個人レベルで広く膾炙している有名な商品としては、Windowsに標準搭載されているCortanaがあります。
収益の柱になりつつあるクラウドのazureはAI活用の最たる例です。すでに実用化されているAI活用サービスもありますが、試験的なものも含めて多くのサービスがローンチされています。
セールスフォース【CRM】
上記4社に比べると、法人向けサービスが多いために個人の間では知名度がやや下がりますが、SaaS関連企業という意味では世界で最初の企業と言われています。
セールスフォースはそもそもオラクルを退社したマーク・ベニオフ氏が1999年にウェブ上での業務アプリケーション開発を目指して作った会社ですので、クラウドやAIといった分野への親和性は極めて高いです。Salesforce Einsteinが有名ですね。
祖業ともいえる法人向けに強みを持ちます。
米国株人工知能【AI】関連銘柄5選といえども
米国株人工知能【AI】関連銘柄5選といえども、クラウド系に今回は焦点を当ててみました。エヌビディアなどのチップ開発系もAI関係では有名ですね。いずれまた記事にしてみたいと思います。
次なるイノベーション、その一つがAI関連であることは間違いないですが、期待値も大きいのでそこは注意が必要ですね。
関連記事です。
投資業界のAIと言えば、ロボアドバイザーですね。特にTHEOの売買は頻回で、ロジックが非常に面白いと思います。
ロボアドも有名どころはウェルスナビとTHEOですが、それ以外にもたくさんあります。すでに投資銀行などでは人からAIに置き換わりつつあります。財務などの数字とテクニカルなところの蓄積ということなのでしょう。
とはいえ、AI主導の売買は時に行き過ぎることがあり、リーマンショックのような暴落時には一方に傾きすぎるのが課題としてありました。2015年夏のチャイナショックの時にも見られましたね。その後、改善傾向にあるとは聞きますがどうでしょうか。