企業型確定拠出年金とは、このようになっている
確定拠出年金には、企業型と個人型があります。個人型はiDeCoと呼ばれ、投資をする人の間ではかなり定着しています。東証マネ部さんの画像が分かりやすいので下に引用します。
個人型に対して、企業型確定拠出年金というものがあります。厚生年金や国民年金が給付型といわれる運用お任せ型なのに対して、確定拠出年金は自分で運用を決められるというところに大きな特色があります。
- 個人型確定拠出年金【iDeCo】
- 企業型確定拠出年金
企業型はその運用資金を企業が負担してくれる制度です。そのため、労働者の権利の1つ、福利厚生の1つとして提供している企業もあります。ただし、運用は自分で決めなくてはいけない、つまり自分で商品選びをしなくてはいけないので、その目を養っておきたいところです。
iDeCoと違って、企業型DCの最大の難関は商品選びです。だいたいにおいてパッとしない古い商品が多いので、そこが一つ目の関門と言ったところでしょうか。
さて、今回はこの企業型確定拠出年金についてご質問を頂いていますので、ご紹介します。
企業型確定拠出年金を始めたいが、商品がパッとしない
いつも拝読させて頂き勉強させていただいております。
数年前より義父の医療法人(非営利目的企業)に所属しました。医療法人の理事(役員)に就任したため小規模企業共済には入れず、経費と積立NISAとidecoでの節税を検討しています。個人型あるいは企業型のidecoのどちらに入るかを迷っています。
現在41歳、年収は1200-1500万(毎年変動しそうです)、iDeCoが個人型では年27.6万、企業型では66万掛金にでき、掛金だけ見れば企業型で決まりなのですが法人での諸経費は企業型の方がはるかにかかることと(もちろんおおむね企業負担してもらえますが)、企業型のidecoの商品にはあまり魅力的なものがなく…、いわゆるたぱぞう様のお勧めするような信託報酬の低い全米や全世界などに投資できる商品がありません。
地方の医療法人なので地方銀行がメインバンクでそこの商品となるとなおのこと信託報酬が概ね1-2%でこのブログでもあまり取り扱いのないようなものばかりになってしまいます。
楽天証券やSBIであっても企業型idecoでは個人型比べ商品が見劣りする印象があります。個人型のidecoであればこのブログでもお勧めされているような私自身も納得できる商品を選択することができます。
掛金maxでの個人型あるいは企業型idecoに関して、たぱぞう様であれば…といったいつもの視点でのご意見を頂戴できれば幸いです。よろしくお願い申し上げます。
企業型確定拠出年金の商品のパッとしなさは永遠の課題
企業型確定拠出年金はパッとしない商品が多いですね。おっしゃるように、付き合いのある金融機関の商品がもともとパッとしないケースが多いです。また、窓口の担当者が商品を選定する際に主張せず、高信託報酬のものを受け入れているというケースもありますね。
理由は様々ですが、とにかくパッとしないのです。これらの確定拠出年金対応の金融商品は、労使協定で決めることができるので、イニシアチブをもって決めていきたいところです。
金融機関側からすると、積立商品は大して収益が上がらないのが悩みでしょうね。手数料が低いので、やる気が出ません。
しかし、一方では一度採用されると、容易にスイッチングできません。そういう意味では囲い込みがしやすいので、それはメリットでしょうね。
運用商品は3本以上35本以下の範囲で用意するのがきまりです。ただし、個別株式や個別社債、自社株ファンド等のような特殊な商品は3本以上のカウントに含まれないことになっていますね。
ただ、大して掛金の大きくない枠内で、預金などの元本保証型の商品を選んでも厳しいところですね。債券もリターンが低いです。これらの商品はせいぜい所得控除を取りに行くというところです。
企業型確定拠出年金の商品選びはMSCIコクサイがメイン
商品選びとしては、現状では米国株系の商品はありません。そのため、MSCIコクサイをベンチマークとするものを選ぶということになります。
- 野村DC外国株式インデックス ファンド・MSCI-KOKUSAI(0.15%)
- 野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)(0.15%)
- DCニッセイ外国株式インデックス(0.154%)
- 三井住友・DC外国株式インデックスファンドS(0.16%)
このあたりが目線になってくるでしょう。しかし、地銀などでは取り扱いが無い例も多々ありますね。企業型確定拠出年金は、商品選びが非常に難しいの最大の難点です。
逆に言うと、この目線での商品がある場合は、非常にラッキーだということです。信託報酬が0.15%前後の、外国株投資信託という目線ですね。
それでも企業型確定拠出年金にはメリットもある
経営者側からすると企業型確定拠出年金にはメリットがあります。掛金を拠出することのみが企業側の負担であり、給付型のような積立不足は発生しないからです。
また、確定拠出年金の事業主掛金は、所得となりません。つまり、所得税・住民税の課税はありません。当然、社会保険料の対象にもなりません。こう考えると、従業員側にもメリットはあります。
思い通りの商品を選べないという問題は抱えつつも、企業側が出してくれるので私は企業型を優先したほうが良いと思いますね。ただし、自分でさらにお金を入れる、マッチング拠出まではしなくてよいでしょう。
質問者さんは経営者側なので、金融機関担当者と一度話し合いの場を持っても良いかもしれませんね。実はそれが一番早いかもしれません。
ご質問ありがとうございました。
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iDeCoのメリットデメリットです。退職金が多い場合はメリットが減るので、非常に悩ましいところだと思います。払い出し時に元本を所得に入れ込むのは何とかしてほしいところです。
こちらは新NISAについてです。