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確定拠出年金【選択制】のメリットデメリット

確定拠出年金【選択制】とは何か。そのメリットデメリットは?

 確定拠出年金【選択制】というのは、確定拠出年金として給与を退職金のような形で積み立てるか、今の給与所得として受け取るかの選択ができる制度です。後者の場合は、退職金の前払いのような形になります。

 

 確定拠出年金は、以下の分類があります。

  • 個人型確定拠出年金【iDeCo】
  • 企業型確定拠出年金
  • 確定拠出年金【選択制】

  企業型確定拠出年金は企業が拠出金を負担してくれるのに対し、iDeCoと選択制確定拠出年金は自己負担であるというところに大きな違いがあります。

 

 また、選択制だと運用する商品が限られることが多く、そこは企業型と同じ悩みがあります。窓口となる総務などの該当部署に金融知識があり、金融機関の言いなりになっていなければ、それなりのラインナップになります。

 

 いわば、確定拠出年金【選択制】とは語弊を恐れずに言うと、自己負担の分だけ企業型の劣化版ともいえるでしょう。

 

 それでは、確定拠出年金【選択制】のメリットデメリットをみてみましょう。

確定拠出年金【選択制】のメリット
  • 給与からの天引き、控除になるため、社保・国税(所得税)・地方税(住民税)を減額できる。
  • 退職金として活用できるので、退職控除が使える。
  • 運用益が非課税。

 iDeCoのメリットと似ていますね。社保、国税、地方税の減額メリット、控除メリットは大きいです。続いて、デメリットを見てみましょう。

 

確定拠出年金【選択制】のデメリット
  • 60歳まで掛金を引き出すことはできない。
  • 給与からの拠出に伴い、社会保険料の等級が下がる。そのため、老齢年金をはじめ、遺族年金や障害年金、失業保険、育児休業給付金、出産手当金、傷病手当金などの給付が下がる。

  給与を控除し、所得を減らす働きがあります。その分、社会保険料の払い込みが少なくなります。つまり、社会保険の等級が下がりますから、将来的な老齢年金の減額、保険的な部分の減額につながるということです。

確定拠出年金【選択制】の3つのパターン

 大きく分けて、確定拠出年金【選択制】には3つの実施方法があります。

  • 給与を減額して実施する
  • 企業側が加算して実施する
  • 退職金を前払いして実施する

  この3パターンです。共通するのは、退職金が支払われない企業において導入されることが多いということです。

 

 「自分の老後は自分で設計してね」という意図を感じる制度と言ってよいでしょう。逆に言うと、退職金の代わりにこの制度が導入されている企業に勤めている場合は、制度の意味をよく考え、所得を使い切ることの無いように生活設計する必要があります。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、確定拠出年金【選択制】に関連してご質問をご紹介します。

確定拠出年金【選択制】か個人型確定拠出年金iDeCo

たぱぞう様
 いつもブログを拝読させて頂いております。この度は、確定拠出年金(選択型)、iDeCoについてお尋ねしたいと思いご連絡させていただきました。既に取り上げ済でしたら申し訳ございません。


 勤務先は退職金がなく、生涯設計手当を確定拠出年金(選択型)として運用又は、前払退職金、給与所得として受取る方式です。

 

 そこで、双方のメリット・デメリットを調べましたが、上限55,000円を確定拠出年金として運用すべきか、満額でなく一部をiDeCoやつみたてNISAで運用すべきかとご意見を参考にしたくご相談させていただきました。


 まず、私の現況になります。

  • 想定年収400万円
  • 30歳独身
  • 居住 実家
  • 保有金融資産 約200万円
  • HDV20%
  • IVV20%
  • eMAXIS Slim 米国株式20%
  • 個別株各10%
  • 楽天証券(クレジット支払)月50,000円をeMAXIS Slim 米国株式に積立中(積立NISA上限、残り別途積立)
  • 年間総投資額は、120万円程度を想定。
  • 個別株は、頃合をみて売却予定→売却後資金は、ETFか投資信託へ


 確定拠出年金として運用した場合、社会保険料の支払額と年金受給額が減少してしまいます。将来的な公的年金支給額の減少を考慮すると、年金受給額については、考慮しなくても大丈夫でしょうか?

 

 また、下記の試算では運用益を考慮していませんが、将来的な人口やGDPなどの経済指標を考慮すると全額を確定拠出年金でなく、金融商品が選択できるiDeCoにも試算を振り分けたほうがよいでしょうか?


 宜しくお願い致します。

 

 運用資産については、下記を想定しています。年金掛金は、

  • DIAM外国株式インデックス〈DC年金〉信託報酬0.28%(実質0.3%程度)
  • iDeCo eMAXIS Slim 先進国株式 信託報酬0.11%(実質0.19%程度)
  • 又はeMAXIS Slim 米国株式 信託報酬0.17%(実質0.25%程度)

※参考として試算になります。共通事項 年収400万円 信託報酬0.3% 期間30年 掛金55,000円

※結婚等の要素は除外しています。

※イデコの法人特別税は考慮していません。

※運用益の考慮はしていません。

 

年金ネットより試算想定年金支給額

年間1,250,000円

(基礎年金620,000円、代行部分630,000円)
https://fpsdn.net/column/2016/07/6727.html

  • 毎月の掛金x5.481÷1000x掛金拠出月数=年間支給減少額55,000×5.481÷1000×360ケ月=年間98,658円
  • 33,000×5.481÷1000×360ケ月=年間63,141円

年金掛金55,000円の場合総投資額

  • 19,800,000円
  • 節税額 5,014,590円
  • 信託報酬合計920,865円
  • 実質支出額 15,706,110円①

年金掛金32,000円 イデコ23,000円の場合総投資額

  • 19,800,000円
  • 年金 11,520,000円 イデコ8,280,000円
  • 節税額 3,261,210円(年金2,010,210円 イデコ1,251,000円)
  • 信託報酬合計920,865円
  • イデコ管理料 62,897円
  • 実質支出額 17,798,387円②

差額 ①-➁=-2,092,277円

確定拠出年金【選択制】とiDeCoの併用をどう考えるか

 確定拠出年金の永遠のテーマでもあるのですが、「どの商品で積み立てられるのか」というのが大きなポイントになります。

 

 税メリットと将来的な社会保障部分の減額は結局、運用がうまくいくかどうかに左右されるからです。

 

 次に考慮するのは、自分の寿命ですね。老齢年金を受け取る期間が長いほど選択制確定拠出年金での老齢年金減額がマイナスに効いてきます。平均寿命以下か、以上かというのも永遠の課題です。

 

 結論から申し上げると、iDeCoと併用をしたほうが良いでしょう。商品を選べるからです。そういう意味ではつみたてNISAも視野に入ります。最後に選ぶのが選択制の確定拠出年金ということになります。

老齢年金を受け取るのに意識される、平均年齢

老齢年金を受け取るのに意識される、平均年齢

 仮に貯蓄性の高い預金のようなもので運用した場合、日本人の平均寿命(85歳前後)まで生きると、だいたいにおいて社保や税金の控除よりも年金の減額のほうが大きくなりがちであるであることも押さえておいて良いですね。

 

 このことからも、そんなに優遇された制度ではないということが分かると思います。つまり、確定拠出年金【選択制】というのは運用益が無いと意味がかなり薄れる制度です。

 

 米国株、あるいは全世界株の低信託報酬の投資信託があれば検討に値します。投資する金額はあくまで自分の給与ですから、企業型ほどのお得感は薄いです。iDeCo、つみたてNISAを活用して枠が余るならばという形ですね。

 

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  iDeCoのメリットデメリットです。多くの人にとってはメリットのほうが大きいですね。

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  退職金が多く、老後の収入も恵まれている人はiDeCoに関しては対策を練らないと損をします。知っていると知っていないで大きな差が出る制度です。

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  iDeCoのデメリット面に焦点をあてて書きました。

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