たぱぞうの米国株投資

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Vanguard Value ETF【VTV】は米国株大型バリュー株をカバーするETF

Vanguard Value ETF【VTV】とは?

 米国株式市場の大型バリュー株セグメントの85%をカバーする米国ETFです。2004年1月に設定され、NYSEに上場しています。ベースはCRSP USラージキャップ・バリュー・インデックスです。

 

【VTV】は”Vanguard“の”Total- Value”と覚えればいいでしょう。


 “Value”株は、一般的には利益や資産から導かれる「企業価値」と比較して株価が割安な銘柄を指します。対義語は“Growth”で、一般的には売上や利益の成長率が高く、将来にわたり大きな株価上昇が期待できる銘柄のことです。


 CRSPは聞きなれない名前かもしれません。The Center for Research in Security Pricesの略で、シカゴのFinancial Districtにあるシカゴ大学のブースビジネススクールの関連会社です。19世紀終わりに、研究機関として設立され、株式データベースを構築する目的で1960年にメリルリンチから30万ドルの助成金を受けて設立されました。


構築した株式データベースを用いてCRSPはインデックスプロバイダーにもなり、そのインデックスシリーズの連動資産は2017年時点で1兆ドル以上にもなります。


 CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックスに採用される銘柄が選ばれる手順は以下の通りです。

  1. 時価総額でLarge, Mid, Small に分類
  2. Largeに分類された銘柄をGrowthとValueのそれぞれの側面からランキングする。Valueでランキングする要素は、BPS,予想EPS,実績EPS・DPS・PSRの5つ。


 CRSPのインデックスは四半期ごとに見直されています。CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックスは2021年6月末時点で345銘柄から構成されています。一方【VTV】は2021年6月末時点で350銘柄を保有しています。

【VTV】のチャートと分配金

【VTV】のチャートと分配金

【VTV】のチャートと分配金

 コロナショック時にはあおりを受けて大きく下落しましたが、それ以降は値を回復し、現在は過去5年で最も高い水準になりました。

 

VTVの分配金推移

VTVの分配金推移


 現在の分配は四半期に1度です。毎年少しずつ増加していますが、基準価額が上昇しているため、足元の分配利回りは約2.2%とそれほど高いわけではありません。

【VTV】のパフォーマンス

【VTV】のパフォーマンス

【VTV】のパフォーマンス

 S&P500などと比べるとややおとなしい印象のリターンですね。ベンチマークとの連動制には問題ありません。

【VTV】のセクター構成

 金融、ヘルスケア、資本財(Industrials)で全体の半分以上を占めます。

【VTV】のセクター構成

【VTV】のセクター構成

 バリュー=割安と解釈するのであれば、この3セクターは足元で割安と判断されていることになります。一方、GAFAMと呼ばれる銘柄群が存在しないためテクノロジーのウェイトが小さいです。これがリターンに影響しています。

【VTV】の構成銘柄

 セクター構成比で金融が高いことを前述しました。実際に個別銘柄で見ても、上位10位までに金融セクターが3銘柄入っています。

【VTV】の構成銘柄

【VTV】の構成銘柄

 上位10銘柄で全体の約20%のウェイトを占めます。いわば、米国株式の大型バリュー株の代表選手です。

【VTV】の経費率

 0.04%と非常に低い水準です。Vanguard社によれば、類似ファンドの平均は0.94%とのことですので、【VTV】のコスト優位性が明らかです。

【VTV】と【SPYV】の比較

 Value株を対象とするETFとして、【VTV】とState Street Global Advisorsが運用しているSPDR Portfolio S&P 500 Value ETF【SPYV】があります。

 

 【SPYV】は【VTV】より先、2000年9月から運用が始まっており、ベースとなるインデックスはS&P500 Value Indexです。経費率が0.04%で【VTV】と全く同じですので、先に運用されていた【SPYV】は【VTV】の設定時に参考にしたことでしょう。

 

 現在のAUM(= Asset Under Management)は【VTV】の方がはるかに大きいです。

【VTV】と【SPYV】の比較

【VTV】と【SPYV】の比較

 基準価額の推移は【SPYV】がやや劣って推移しています。これは、【SPYV】が434銘柄で運用されているため、【VTV】より構成銘柄数が多い分、運用効率がややマイルドになっているのでしょう。

SPYVとVTVの基準価額推移

SPYVとVTVの基準価額推移

 AUMの状況も含めて、現時点では【VTV】の方がやや優位と考えます。

【VTV】の使い方、考え方

 ポートフォリオに占めるグロース株の割合が増え、ディフェンシブに割安に放置されているバリュー株をトッピングする、というようなニーズに応える商品です。


 バリューとグロースは常に比較されるが故、どちらかが優位にたち、どちらかが劣位になることが多いので、バランスを取りたい時にこのようなスタイルインデックスETFは有効でしょう。

 

 サテライトとして米国でも人気のあるETFの1つです。

 

<【VTV】を取り扱う証券会社>
SBI証券楽天証券マネックス証券等で取り扱われています。

 

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