たぱぞうの米国株投資

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米国増配株式ETF【VIG】は増配株を集めた米国株ETF

米国増配株式ETF【VIG】とは

 VIGはバンガード社のETFです。その中でも、連続増配銘柄で構成しています。信託報酬は0.06%です。4年の間で0.02%下がりました。

 

 米国株主体のETFの中ではほんの少し高めになりますが、気にならないレベルと言って良いでしょう。米国株ETFの信託報酬は全体的に低いのです。

 

 ちなみに信託報酬を同じバンガード社で比べると、S&P500連動のVOOは0.03%、米国上場ほぼすべての株式を扱う米国トータルマーケットのVTIも0.03%、高配当株式ETFのVYMは0.06%です。その運用の効率の良さには驚かされますね。

 

 ちなみにこのVIGは現時点では高配当ではありません。おおよそ2%ちょっとの配当です。今後持ち続けて高配当化してくる、そういう性格のETFです。

米国増配株式ETF【VIG】のチャートと分配金

米国増配株式ETF【VIG】のチャートと分配金

米国増配株式ETF【VIG】のチャートと分配金

※Yahoo! financeから

  • 2006年5月 取引値50ドル 分配金0.2ドル
  • 2016年5月 取引値80ドル 分配金0.45ドル
  • 2017年5月 取引値95ドル 分配金0.42ドル
  • 2018年12月取引値103ドル分配金0.498ドル
  • 2020年4月 取引値107ドル分配金0.474ドル

 

 見ての通り、取引値も配当も素晴らしい伸びを示しています。取引値の伸びが高配当系のVYMより大きいのが目につきます。比較的、成熟企業を対象としたETFでありながら、取引値成長もしています。

 

 唯一気になるのがやや低めの配当利回りの低さです。2%前後で常に推移しています。今すでに高配当なETFあるいは個別株を狙うのか、それとも今後を意識してVIG、つまり米国増配株式ETFを狙うのか、です。

 

 ただ、それでも10年で倍以上の分配金成長をしていますから、長期で持ち続ければ高分配金ETF化してくる可能性が高いです。そういう成長期待を感じさせてくれるETFと言えます。

 

 下記で取り上げる構成銘柄含めて、現在高利回りか、将来高利回りか、ということですね。

 

 ちなみに、2015年から2020年のトータルリターンではS&P500にわずかに勝っています。10年リターンもほとんど同じです。配当にフォーカスしたETFとしては、S&P500に伍していける数少ないETFのうちの1つといってよいでしょう。

米国増配株式ETF【VIG】の構成銘柄

続いて、VIGの構成銘柄の変遷を見てみましょう。

2016年のVIGの構成銘柄

2016年のVIG構成銘柄

2016年のVIG構成銘柄

※以後、画像はバンガード社から

 2016年時点で、マイクロソフトが1位です。マイクロソフトは長らく成長株として無配、事業への再投資をし続けていました。配当歴は短いですが、増配率が高く、数年前までは利回りも悪くありません。

 

 しかし、株価が非常によく伸び、結果として配当重視のETFからは外れることが多くなりましたね。代表的なところではVYMがありますね。VIGでは長らくランクインしています。このあたりの設計思想の違いは面白いですね。

2017年のVIGの構成銘柄

2017年VIGの構成銘柄

2017年VIGの構成銘柄

 2017年はIBM・ウォルマートがランク外、ウォルグリーンとアボットがランクインしているのが目立ちます。ウォルグリーンはCVSなどと同じくドラッグストア系、ダウ平均にも採用されています。

  

 J&Jが1位になっています。代表的な連続増配銘柄、60年以上の連続増配銘柄として有名です。

2018年のVIG構成銘柄

2018年のVIG構成銘柄

2018年のVIG構成銘柄

 この年からMicrosoftが1位に返り咲きましたね。2位のJ&Jも2018年は堅調な値動きで、ディフェンシブ銘柄としての面目躍如といったところでしょうか。レイセオンと合併したユナイテッドテクノロジーズ、ここも増配率の高い銘柄です。10位に入っています。

2020年のVIG構成銘柄

  2020年、最新のデータになります。

保有銘柄 ティッカー
Microsoft MSFT 5.42%
Visa V 4.50%
P&G PG 4.31%
Walmart WMT 4.08%
J & J JNJ 3.69%
Comcast CMCSA 3.40%
McDonald's MCD 2.76%
Abbott Labo ABT 2.52%
Medtronic MDT 2.52%
Costco COST 2.30%

 VISAが2位になっているのが目を引きますね。配当銘柄というイメージは全くありません。しかし、確かに増配中ですのでランクインしたというところです。それから、コムキャスト、こちらもイメージとは異なりますが増配率に優れます。

 

 そのほかも、プロクター&ギャンブル、ウォルマート、マクドナルド、医療機器メーカー世界一のメドトロニックなど、個人投資家に人気の銘柄が並びます。いずれも連続増配で有名な企業です。

米国増配株式ETF【VIG】セクター別構成比率

 続いてセクター別の構成比率を見てみましょう。

2016年の【VIG】セクター別構成比率

2016年VIGのセクター別構成比率

2016年VIGのセクター別構成比率

 4年前は消費財が圧倒的な1位になっていますね。その後、2017年からは資本財が多くなっています。

 2020年の【VIG】セクター別構成比率

セクター
資本財 26.20%
消費サービス 20.00%
ヘルスケア 11.90%
金融 11.50%
消費財 10.60%
テクノロジー 9.90%
公益 6.30%
素材 3.60%

  資本財が良く伸び、3割を占めています。原油安の石油ガスセクターは0%になっています。 

 

 意外に大きな銘柄の入れ替えがあることが確認できます。資本財、消費者サービス、消費財、ヘルスケア、金融が上位です。米国の競争力を象徴するセクターと言ってよいでしょう。

 

 増配できるということは業績が向上しているということですから、消費財、資本財などの成長分野に傾斜投資されるのは当然と言えば当然ですね。特に消費財は生活必需品を扱うことから景気に左右されず安定した利益を上げる企業が多く、好感が持てます。

 

 近年パッとしない素材、石油・ガスが下位に位置します。これらの業界は増配できなかったり、無配転落していたり、業績が悪化しているケースがほとんどでしたから、納得の構成ということになります。

 

 少なくともVIGの組み入れ上位に入る企業群は比較的ディフェンシブな銘柄が多いですね。そのため、調整局面でも取引値の変動が小さいことが多いです。

 

 さて、ここでご質問を紹介したいと思います。

 VIGは長期保有に適したETFなのかどうか

 はじめまして、たぱぞうさん。いつもブログ読ませて頂いています。

 

 現在、夫婦でそれぞれ積立NISAを楽天VTI、slim米国株式に投資しています。それに加え余剰資金で、VIGへの投資を検討しております。両学長の動画を拝見して、10年以上連続増配企業への投資をするVIGは魅力的な投資先に思えました。

 

 そこで質問なのですが、10年以上連続増配企業への投資をするVIGが今回のコロナショックで多くの米国企業が減配した場合、このファンドはどうなるのでしょうか?

 

 現在182社ある投資先の多くが減配し、投資先が大幅に少なくなってしまう。もしくは、罠銘柄(S&P500は優良企業だとは思いますが)が多いファンドになってしまうのか。

 

 ただこのコロナショックでも増配する企業は長期に渡って持ちたい投資先になりうると思っています。たぱぞうさんの考えが聞けたら嬉しいです。


 よろしくお願いします。

VIGは分散性はS&P500やVTIほどではないが、トータルリターンに優れる

 リーマン時でも連続増配銘柄は減配せずに続けていることが多かったですね。それを考えると、不況が4,5年、あるいはそれ以上にならない限り、ご懸念には及ばないと思います。


 ただ、おっしゃる通り分散性がS&P500などに比べると薄いです。そこがどう反映されるかは興味深いところですね。

 

 改めて構成銘柄を見てみると、MSFT、VISAなどのトレンドからセクターの雄であるWMT、J&Jなど強い銘柄から構成されているところに好感が持てますね。

 

 S&P500よりも恣意性の高いETFになりますが、今のところ銘柄選定は非常に適切で、投資家好みの銘柄が多いのではないでしょうか。

 

 S&P500やVTIより優れると断言はできないものの、良い成果を残してきていることは注目されてよいですね。ただし、増配率はさほど高くないため、そこも知っておきたいですね。ご質問ありがとうございました。

 

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