たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

リート【REIT】選びのマクロ的視点

リート【REIT】とは

 リートとは、商業施設やオフィスビル、マンションなど様々な建造物に対しての出資を証券化したものです。資金の乏しい個人投資家にとって不動産は概して集中投資になりがちです。しかし、証券化という手法により分散投資を可能にしています。

 

 リターンは比較的高めです。キャピタルゲインもインカムゲインも高位にあります。ただ、こういった性格の商品につきもののボラティリティの高さはあります。代表的な米国リートETFであるIYRのチャートを見てみましょう。IYRはブラックロックの商品です

 

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※ブラックロックIYRのページより

 

 リーマンショックの時に1/4になっていますが、そこから伸びてこのおよそ20年で5倍弱に伸長しています。株式の成長、人口の増加が見込まれる国のリートはこのように右肩上がりになります。なお、これは分配金込のチャートです

 

 次に日本で最も大きな規模のリートETFの1つである1343のチャートです。

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 リーマン直後からのパフォーマンスでは3倍程度と悪くはありません。しかし、2015年以来の停滞が気になるところです。リートは不動産需要に連動します。大きな意味では日本の非生産性、人口減少というのを反映していると言えるでしょう。

 

 今後はもっとその影響が出てきてもおかしくありません。東京でさえ人口減少は今後加速するからです。逆に言うと、同じリートでも米国やシンガポール・香港・オーストラリアといった経済成長と人口増加が著しい地域に関しては魅力です。

 

 代表的とは言え特定のリートETFの比較で断言するのは少々乱暴なのですが、分かりやすいので引用しました。こうした基本を踏まえてご質問を紹介します。

リート投資を頑張りすぎて困っています。

 いつも楽しく拝見させていただきます。昨年度よりたぱぞう様に習ってアメリカ株投資を始めたものです。たぱぞう様にご相談があります。

 

 父親が数年前から投資信託をしております。それはいいのですが、不動産の大家をしていた経歴からリートに信頼を置いているようで、投資額の全額、金額にして3000万円程の投資をしているのです。


 また、そのリートはインデックスファンドではなく、アクティブファンドであり、信託報酬1%のJリートと、1.6%の先進国リートです。リートは株や債券に比べハイリスクハイリターンと聞きますし、私としては株と債券のバランスで安定運用してほしいのですが、聞き入れてもらえません。

 

 父の感覚では、不動産は株と違って0にはならないから安心感がある。また毎月分配は給料をもらってるようで基準価格を気にしなくてすむ。の2点が重要なようです。もちろんいずれの理由も間違っていることはわかってもらえません。感覚的なもののようです。

 

 現在の損益は−10%ほどです。好景気の現在でこれですから、今後不況が訪れたときにはどうなるか、身内はみなハラハラしております。そこで、たぱぞう様に質問なのですが、


①リートに全額は危険だと思われますか。投信が全財産ではありませんが、残りの財産も不動産です(大家のため家賃収入で、数千万の不動産を所有)。


②インデックスファンドの長期保有前提ならばリートでもいいと思いますか。


③やめさせた方がいいなら、上手く考えを改めさせる手はないでしょうか。

リート全力は危険であることは間違いないが

 不動産投資をしたり、リート投資をしたりという時点で平均以上の資産をお持ちのお父様と思われます。正直、私たち子ども世代としてはもうちょっと底堅く運用してほしいと思いますが、基本は自分のお金なのでなかなか翻意は難しいでしょう。

 

 不動産に精通している、つまり腕に自信がある、というのがさらに事態を難しくします。

 

①リート全力は危険なのか

 あきらかにリート全力は危険です。ボラが高すぎます。これはさまざまなチャートを紹介したり、米国株のリターンを検討すれば分散は自明という結論に至ると思います。利回りが高いので魅力に映るでしょうが、リーマンショック時の落ち込みは株式以上です。

 

 商品の性格上、今後の暴落でもそれは変わらないでしょう。つまり、株式ETFよりも高リスクだということです。ただ、前述のように成長国のリートは魅力ではあります。

 

②インデックスファンドの長期保有

 資産にもよりますが、リート単独よりは株式を組み入れたほうが良いと思います。リートはあくまでサテライトだと私は考えています。資産額が大きくなればあるいは債券も組み入れてよいでしょう。

 

 理由は前述の通り、値動きが激しいのがリートだからです。逆に、暴落時から回復期にかけてのパフォーマンスは株式を上回ることもあります。

 

③やめさせる

 やめさせるというのは困難が伴います。腕に自信があり、なにより自分のお金だからです。逆にトラブルの元になる可能性もあります。ただ、チャートや利回りなどの資料を示して伝えていくというのはありかもしれません。

 

 そうした時には毎月分配型投信の弊害を説いた資料や金融庁の昨今のスタンスを客観的に伝えていきたいですね。ただ、不動産を始め、家族に残していけるだけの資産があるぶん、投資において立派なお父様であることは間違いありません。

 

 今までのやり方、経験を尊重して対話を重ねたいところですね。

 ご質問ありがとうございました。

 

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