ユニリーバ(UL)、世界3位の消費財メーカー
ユニリーバ(UL)はイギリスのウィリアム・ヘスケス・リーバ卿の起こしたリーバ・ブラザーズという石けん会社と、オランダのマーガリン・ユニというマーガリンの会社が1930年に合併してできた会社です。
そのため、現在もイギリスとオランダに本社を置いています。米国市場ではADRという形で購入できます。英国株扱いですので、外国源泉徴収課税の10%がかかりません。
ちなみに、ロイヤルダッチシェルのように、国をまたいで合併するということがヨーロッパでは古くから行われていました。そしてユニリーバは今もイギリス、オランダのみならずヨーロッパを代表する生活必需品企業としてトップレベルのブランドイメージを保持しています。
世界的にはP&G,ネスレに次ぐ世界3位の一般消費財メーカーです。ブランドは食品が紅茶の「リプトン」と「ブルックボンド」、スープの「クノール」、ケア用品が「ラックス」「ダヴ」「モッズヘア」、家庭洗剤では「ジフ」「ドメスト」などがあります。
下のブランド画像を見ると、日本でも見たことあるロゴやラベルが確認できるのではないでしょうか。全世界で展開されるブランドです。生活必需品は一度使われるとリピーターになることが多いので、販売する企業は継続的かつ安定的な利益を上げることができます。
※画像はユニリーバ本社ページから
実際にユニリーバの抱えるブランドのうち、12のブランドが10億ユーロ、1000億円を超える売り上げを誇ります。ブランド競争力はかなりのものです。
P&Gもそうですが、地場ブランドやプライベートブランドとの競争が激化する中、大いに検討していると言えそうです。
ちなみに日本ではあまり見ませんが「OMO」は東南アジアにおいてトップレベルのシェアを持つ有名な洗剤です。ちなみにベトナムではダントツのシェアトップです。
日本で強いのはシャンプーです。特にLUX(ラックス)やDove(ダヴ)、mod's hair(モッズ・ヘア)といったブランドはトップレベルのシェアを維持し続けています。
日本は生活必需品は花王、ライオン、資生堂といった地場企業が強いですが、外資であるP&Gと同じくユニリーバもかなりのシェアを握っています。1964年に進出以来着実に成長してきています。
また、インドネシアにおいては子会社インドネシアユニリーバが株式公開しており、インドネシアでも有数の規模の時価総額を持つ会社に成長しています。トップテンに入るランキングに位置しています。人口二億を超える成長国であるインドネシアです。その同国経済界で重要な位置を占めることが、ユニリーバの強みの一端を表しています。
これらの国のみならず、多くの国でトップシェアを獲得しています。長い歴史で培われたマーケティング戦略の積み重ねは、さすが事業展開180か国を超える多国籍企業ならではと言えそうです。
ユニリーバ(UL)のチャートと配当
2006年 株価27ドル 配当0.315ドル(半期配当を1/2した数字)
2016年 株価46ドル 配当0.36ドル
2017年 株価58ドル 配当0.414ドル
近年はあまり配当が伸びていなかったのですが、2016年後半から増配ペースをあげてきました。また、この10年で半期配当から四半期配当に変更しています。英国株では比較的珍しいですね。
ADRにありがちですが、為替の影響もあるため表面上減配になっている年もありますが、基本的には増配傾向にあります。生活必需品メーカーらしく、リーマンショック時でも配当は死守しています。
2016年後半に入りトランプ大統領の当選と歩調を合わせるようにして株価は下がっていました。40ドルを切る場面もありましたが、相場の落ち着きとともに反発しました。トランプ氏の排外的な演説に過剰反応したというところでしょう。
ユニリーバ(UL)の基本データ
ティッカー:UL
本社:イギリス、オランダ
予想PER:22.7
PBR:7.6
ROE:33.7
ROA:10.5
EPS:1.87ドル
配当:1.36ドル
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場※ADRとして
2013年ごろから株価は停滞していました。しかし、この1年でおよそ20%の値上がりをしています。指標的にはあまり目立つものは無いのですが、ブランド競争力は確かに魅力あるように映ります。
2000年と比べると株価は3倍になっています。長期チャートで見ると絵にかいたような右肩上がりです。こういう安定株は下がったときに買わないといつまでたっても買えない、ということになります。
60ドル近い今はやや割高感が出てきています。しかし、業態から考えても50ドル割れ水準ならば買いを検討しても良いでしょう。
ユニリーバ(UL)の配当と配当性向
ユーロ建てでの配当です。
基本的に右肩上がりであることが確認できます。同時にじりじりと配当性向も上昇しており、やや気になる水準である70%まで2016年は上昇してきました。これが80%、90%となるようだと注意が必要になりますが、業績は悪くありません。
ユニリーバ(UL)のBPSとEPS
ユニリーバの一株あたりの資産と利益です。
株価との連動性の高い数値であるEPSですが、企業の規模に比べて好調と言えます。生活必需品業界は比較的成熟しており、地場ブランドとの競合も激しいことから急激な成長というのはさほど見られないことが多いです。
しかし、ユニリーバの場合はリーマンショック後だけみると1.5倍のEPSになっています。そして、2016年にはリーマンショック直前の数字を超えてきています。株数にはほとんど変動がありませんので、業績回復による数字の伸長ということになります。
ユニリーバ(UL)の売り上げと利益
ユニリーバは上場子会社を持つインドネシアなどのアジア地域に比較的強い販売網を持ちます。オランダ東インド会社以来のパイプも無視できません。そのアジア地域での売り上げは5%増加しており、地場ブランドとの競争激化を加味しても順調と言えます。
人口増加地域でのブランド力はユニリーバの魅力の1つになっています。
この10年でおよそ20%の売り上げ増です。営業利益率は12%から18%でおちついています。なお、営業利益率は2020年までに20%達成、というのが当面の経営目標です。
ユニリーバ(UL)のBPSとEPS
キャッシュフローはこの10年で水準を切り上げてきています。潤沢と言ってよいでしょう。投資CFが安定的で、比較的先読みをしやすい数字に落ち着いています。このフリーキャッシュフローの増加は株価の上昇の裏付けになっています。
EUの生活必需品企業としては、ネスレと並んで強力なブランド力を持ち、堅実な経営で知られます。
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