マコーミック【MKC】は欧米で圧倒的なシェアを持つ調味料メーカー
マコーミック(MKC)の創業は古く、1889年にさかのぼります。ウィロビー・M・マコーミック氏によって、ボルチモアで始められました。
創業の7年後、1896年から今の主力商品であるスパイスを扱い始めます。意外な印象かもしれませんが、このころからM&Aに積極的で、数々の同業他社を買収してきた歴史を持ちます。
※マコーミックの本社ページから
近年2010年代に入っても、ポーランド企業や中国企業を買収したり、インドの会社と合弁会社を設立したり、活発に事業展開を行っています。中でも中国の武漢亜太調味食品の買収は150億円規模の大きな買収でした。
買収だけでなく、既存のMcCormick、Lawry's、Old Bayといったブランド力も健在です。マコーミックの株式上場は社歴のわりに1972年と比較的新しく、非上場企業として実績を積み上げてきました。
現在はスパイス、ハーブ、ソース、お菓子に使うエッセンスなどを製造しており、その事業展開は北米はもちろんヨーロッパ、アフリカ、中東、インド、中国、東南アジアなどの新興国など世界中に及んでいます。
いわば、料理やお菓子の縁の下の力持ち役を務める企業です。
日本だとエスビー食品が強いですが、世界規模で見ると マコーミックが圧倒的です。スーパーの調味料コーナーにはたいていマコーミックコーナーがあり、あらゆる種類のスパイスを手軽に購入することができます。
特に北米とヨーロッパで強く、そのシェアは国にもよりますが3割~5割を占めています。世界シェアは約2割です。世界1位のスパイスメーカーですが、2位以下に4倍以上の差を付けており、非常な強みを持っています。
マコーミック【MKC】の基礎データ
それでは、マコーミック【MKC】の基礎データを見てみましょう。
マコーミック【MKC】の株価チャートと配当推移
2006年 10月 株価36ドル 配当0.18ドル
2016年 10月 株価93ドル 配当0.43ドル
2017年 10月 株価101ドル 配当0.47ドル
2019年 4月 株価157ドル 配当0.57ドル
株価はリーマンショック後に40ドルから28ドルへ落ち込んでいますが、食品を扱うという一般消費財セクターの強みで下げ幅は小さめです。その後順調に回復し、150ドル越えが普通になってきましたね。
配当は10年で5倍ちょっとの成長です。地味な事業ですが、消費者は気に入ったメーカーの調味料を使い続ける傾向にあることから、安定的な業績を残しています。新興国などの新規の消費者数を伸ばしながら着実に成長してきています。
固定客からの安定した需要というのが生活必需品メーカーの安定的な強みです。 安定した業績拡大を続けており、連続増配も30年超えをしています。
マコーミック【MKC】の売り上げと利益
売り上げ・営業利益・純利益いずれもが順調です。年率およそ4%程度の売り上げ成長率が見込まれており、地味ながら成長の源泉はここにあります。
また、営業利益率はこの10年横ばいです。おおよそ15%~20%の営業利益率を保っています。粗利益率も含めて各種マージンの安定感は素晴らしいですね。会社の方針としては20%台の営業利益率定着が目標になっています。
これは他の食品メーカーであるNestleやペプシコといった有力企業と遜色ない数字です。平たく言うと、これら有力企業に劣らない独占的な強みがあり、利益を十分に取れる体質だということです。
マコーミック【MKC】の配当性向
配当性向がほとんど横ばいな割には配当は右肩上がりです。派手さはないですが、着実な業績が反映されており、好感が持てます。新興国においても一定のシェアを持っており、北米のみならず世界展開が成功していることの証左と言ってよいでしょう。
マコーミック【MKC】のBPSとEPS
この10年でEPS(一株利益)は3倍近くになっています。スパイスという扱う商品の地味さを思えば出色です。ただ、これは買収戦略が上手くいっている面もあります。世界各地で有力スパイスメーカーを買収しており、売り上げと利益拡大に大きく寄与しています。その分、借入も増加傾向にありますから、そこはやや注意が必要です。
マコーミック【MKC】のキャッシュフロー
2013年以降、急激な営業CFとフリーCFの伸び率を示しています。同時に投資CFも増大していますが、許容できる範囲です。前回記事を書いた時には停滞気味の株価だったので推奨しましたが、そのころに比べると1.5倍になりましたね。
割安感は薄れていますが、分散投資を考えた場合、生活必需品あるいは食品銘柄として視野に入る銘柄の1つです。
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ペプシコも地味ですが、堅実ですね。ここもリライトをそろそろしなくてはいけません。
バフェット銘柄のコカ・コーラは営業利益率が30%を超えており、高収益体質です。ただし、配当性向が上昇を続けており、やや懸念されるところです。
世界の食品・飲料ランキングです。マコーミックは上位ランクインの企業群に比べると、ニッチですね。