たぱぞうの米国株投資

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コカ・コーラ【KO】の銘柄分析。世界最大の清涼飲料水メーカー。

コカ・コーラ【KO】その躍進と栄光の歴史

 ジョン・ペンバートン氏がコカ・コーラを開発したことから全ては始まりました。ジョン・ペンバートン氏は薬学が専門でしたが、1861年からのアメリカ南北戦争に従軍しています。そ

 

 ジョン・ペンバートン氏は従軍後「フレンチ・ワイン・コカ」というワインとコラの実とコカの葉を調合した飲み物を開発します。

 

 しかし、住んでいた都市アトランタで禁酒運動が起こり、成分からワインを抜きます。それがコカ・コーラの始まりです。そのため、ジョン・ペンバートン氏存命中は薬用ドリンクとして売られていました。しかし、ジョン・ペンバートンはその後短命でこの世を去っています。

 

 その後、1919年にアーネスト・ウッドラフ氏を中心とするグループに企業買収されます。その後、息子のロバート・ウッドラフ氏が入社し、実に40年もの間経営に関わります。当然ですがこのころにはコカは入っていません。

 

 ちなみにロバート・ウッドラフ氏は1985年に95歳で亡くなります。コーラを飲んでいたから長寿だったのでしょうか。ロバート・ウッドラフ氏は入社前にスタンダードオイル、今のエクソン、シェブロンからも誘いがあったといいますから、相当なやり手だったのでしょう。

 

 ロバート・ウッドラフ氏が社長になってからは、今の明るいコカ・コーラ社のイメージが出来上がります。イメージ戦略に長けており、元が薬用だったことは全くと言っていいほど忘れられることになりました。

 

 1925年の全米での禁酒法はソフトドリンクになっていたコカ・コーラが大躍進するきっかけになりました。

 

 1926年には海外部門を立ち上げ、海外でも売れるきっかけを作っています。1930年にはコカ・コーラ・エクスポート社という海外専用子会社として自立させます。日本コカ・コーラはエクスポート社の子会社です。コカ・コーラ社から見れば孫会社ということになります。

 

 このころに、本社が原液販売とマーケティングを担当し、各地域のボトラーが清涼飲料水であるコーラを販売するビジネスモデルが出来上がりました。

 

 現在日本コカ・コーラ社の清涼飲料水の販売は2位のサントリーの2倍、日本でも圧倒的なシェアを持っています。

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 ブランドは主力製品のコーラが圧倒的に強いです。

コカ・コーラ【KO】の配当とチャート

コカ・コーラ【KO】の配当と株価チャート

コカ・コーラ【KO】の配当と株価チャート

2006年9月 株価22ドル 配当0.155ドル

2016年3月 株価46ドル 配当0.35ドル

2017年12月株価45ドル 配当0.37ドル

2019年6月 株価53ドル 配当0.4ドル

 

 株価も配当も10年で2倍以上に成長しています。

 

 ただ、コカ・コーラ社の場合は売上がこのごろ伸びていませんでした。また、営業CFも殆ど横ばいです。そのため、株価は緩やかな上昇を描きつつも、市場平均の伸びからすると少々物足りない結果になっています。

 

 ちなみに日本コカ・コーラ社は炭酸飲料への依存が比較的少ない売上構成です。これは米国本社にとっても参考になると言われています。加糖の炭酸飲料が主に先進国において伸び悩んでいるからです。

 

 健康志向、ダイエット志向が世界的広がりを見せる中、清涼飲料メーカーの雄としてどのような戦略をとるのか引き続き注目されます。

コカ・コーラ【KO】の基礎データ

ティッカー:KO

本社:アメリカ、ジョージア州アトランタ

上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場

 コカ・コーラ【KO】の配当と配当性向

コカ・コーラ【KO】の配当と配当性向

コカ・コーラ【KO】の配当と配当性向

 配当は見事な右肩上がりなのですが、配当性向もジリジリあがってきました。状態として理想的だったのは2011年、2012年あたりでしょうか。ちょっと苦しくなってきていましたが、直近の2019年には持ち直しています。

 

 事業再編の光明が見えつつあり、今後は配当性向も落ち着きを見せるでしょう。

コカ・コーラ【KO】のBPSとEPS

コカ・コーラ【KO】のBPSとEPS

コカ・コーラ【KO】のBPSとEPS

 大規模なボトラーの再編、資産売却がBPSの減少につながっています。また、EPSは2011年をピークにして横ばい傾向です。以前ほど自社株買いは行っておらず、この10年での自社株買いは1割に満たない数字でした。事業再編のほうに注力している印象ですね。 

 

 ちなみに、2019年7月決算ではEPSは前年同期比13%増と大健闘でした。10年以上横ばいでしたから、良い傾向です。

コカ・コーラ【KO】の売り上げと利益

コカ・コーラ【KO】の売り上げと利益

コカ・コーラ【KO】の売り上げと利益

 売り上げは2013年をピークとして漸減傾向です。営業利益は安定的、経営改革によって売り上げの質を高めたことが分かります。粗利益率と営業利益率の安定は強みの1つです。特に営業利益率の改善が目につきます。

 

 飲料メーカーとしては営業利益率は非常に高く、圧倒的なブランド力を裏付ける形になっています。

 

 しかし、近年は健康志向に伴う加糖清涼飲料水への逆風があり、業績はパッとしませんでした。実際、コカ・コーラの中でも良く伸びている商品が「コーラ・ゼロシュガー」で、売り上げの2桁成長を続けています。

 

 実は今回コカ・コーラの記事は2年ぶりにリライトするのですが、2019年7月発表の決算が良かったからです。

  • 売上高 99億9700万ドル(6.1%増)
  • 営業利益 29億8800万ドル(8.0%増)
  • 当期純利益 26億0700万ドル(12.6%増)

 EPSも含めて、近年では出色の決算と言って良いでしょう。

 

 業績の底打ち傾向が確認できたことが投資家心理としても大きいように思います。また、英国コーヒーチェーンのコスタ、同じく英国のスムージーブランド「innocent」が売り上げに寄与しています。これらは今後の世界展開も期待されます。

 

 また、飽和状態の北米に比べ、新興国特にラテンアメリカやアジアにおいて売り上げが拡大しています。中国は米中貿易摩擦にも関わらず、順調な伸びを示しました。

コカ・コーラ【KO】のキャッシュフロー

コカ・コーラ【KO】のキャッシュフロー

コカ・コーラ【KO】のキャッシュフロー

 営業CFは売り上げの減少から考えるとよく踏ん張っており、事業再編が効率的であることを窺わせるものでした。投資CFはだいたい営業CFの5分の1から4分の1で推移しています。

 

 連続増配歴も株価も大変安定的で、債券的な運用のできる株式の1つと言えそうです。業績が横ばい、安定的なために、トランプ政権下での株価上昇の恩恵にはあまり浴していません。

 

 現在の50ドル近辺の株価は無理のない水準です。もし40ドルを切るような場面があれば間違いなく魅力増でしたが、好決算を受けて大きくレジスタンスを突破してきました。チャート上は、うわ抜けとなっています。

 

 業績が急拡大するような業種でもないので、引き続き底打ち反転傾向が持続するのかというところです。

 

 P&Gも営業利益率の改善、事業再編の2010年代でしたが、コカ・コーラも似た傾向にありますね。ブランドの入れ替えも含めて、この人気銘柄2社の危機感、スピード感は引き続き注目です。

 

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