8000万円の住宅ローンを繰り上げ返済するかどうか
昨今の住宅価格はよく上昇しており、それは日本だけでなくアメリカも同様ですね。
日本の場合は国土交通省がまとめている不動産に関わる指数として、「不動産価格指数」というものがあります。住宅用と商業用で分かれています。米国のものもありますが、それはまたの機会ということですね。
今日は不動産価格指数をご紹介しつつ、ご質問に移りたいと思います。
不動産価格指数(住宅)
上にあげたのは住宅用の指数です。戸建て住宅などが殆ど横ばいなのに対して、マンションが非常に上昇していることが確認できます。リーマンショック時は新築でさえもほとんど投げ売りに近かったですね。
この10年でよく住宅市況も回復してきました。マンションは都内を始めとして、人口稠密地であることが前提になってきます。比較的若い層の都心回帰の流れもあり、特によく上昇しました。
逆に戸建て住宅はさえませんが、これも場所によりけりです。マンションほどではないですが、都内などはそれなりの上昇を示しています。しかし、地方都市は厳しく、良くても横ばいか下落という流れなので指数も冴えません。
しかし、これらを合算した住宅総合指数は51か月連続上昇ということです。今の住宅価格が株式などと同じくどのような位置にあるのかを知っておいたほうがいいですね。すなわち、決して安くはない水準だということです。
不動産価格指数(商業用不動産)
特に投資家に関係するのが、みどりの折れ線、マンション・アパートの一棟の線ですね。2018年に入って金融庁の指導が入り、融資条件が厳しくなりました。そのため、ピークから顕著に下落していますね。
土地から新築を手掛ける友人が、「10年前に1億だった物件が、建築コストなどが上がって1.3億かかるようになった」と言っていました。不動産価格指数をみる限り、非常に的を射た感覚、話だと思います。
下手を踏まないような物件を買う必要があるのは、ある意味では投資用不動産は住宅以上です。特に一棟物になると金額も大きいですからね。
自宅にしても収益物件にしても、今後はより二極化が進むのでしょう。社会的なインフラを集中させるコンパクトシティ構想などがよく議論になります。そのコンパクトシティの構想外の地域は厳しい値動きになるでしょう。
資産価値の高い場所に資産としてマンションを持つという発想は、こうした背景があるからですね。しかし、売り込みに来る投資用の新築マンションなどは殆ど利が乗りませんから、注意が必要です。
さて、いささか話が飛躍しました。今回はレジデンスとしてのマンション、その住宅ローン戦術ということでご質問を頂いていますね。ご紹介したいと思います。
8000万円の住宅ローンをあえて返済せずに運用したくなっています。
たぱぞうさん、いつも勉強させてもらっています。住宅ローンの繰上げ返済について教えて下さい。
今、8000万ほどのローンを35年で組んでいますが、初めの10年の間に4000万を残す程度まで繰上げ返済して、20年ぐらいで完済しようと思っていました。
ただ日頃からVTを中心にETFに投資しており同規模の資産があり、さらに低金利で借りられていることもあり、繰上げ返済せずに投資をするのも一つの選択肢だと考えています。確かに為替リスクはありますが、1000万円をVTIで20年投資や、少しリスクを落としてBNDで長期運用というのも選択肢かと思うのでがいかがでしょうか?
8000万円という住宅ローン金額と不動産住宅指数
さて、8000万円の住宅ローン、そのうち4000万円の繰り上げ返済を考えているということですね。もし買った時期が底値ならば、売却も含めて視野に入ってくる時期ではありますね。
さて。ひとまず、住宅ローン減税期間は減税効果を最大限取り切るというのが大事です。ですから、ご自分の年収や所得税からはじき出される減税効果をまず見極めることが大事ですね。繰り上げ返済をして、住宅ローン減税のメリットを削いでしまわないようにする必要があります。
その次に、繰り上げ返済をするかどうかということを考えるわけですね。
これは、投資慣れしているかどうかが大きいです。投資慣れしている人は、住宅ローン金利と自分の運用の金利の差分で資産運用することができるでしょう。私も、以前相場が良かった時には運用をおススメしていました。
しかし、若干気になるのは相場の値動きが2018年頭以後、やや激しくなってきていますね。ちなみにTwitterやブログをしている人たちは、そのうねりを明らかに楽しんでいます。そういう人たちは運用をしたほうが良いでしょう。長期目線での資産運用が身に付いているからです。
しかし、相場慣れしていないと、今のような相場は気が気でしょうがないという人もいるでしょう。
私は基本的には運用をお勧めします。しかし、何千万という単位が日々動くことにストレスを感じるならば、繰り上げ返済というのも視野に入れてよいと思いますよ。これだけ低金利での借入を返済してしまうのはもったいない気もしますけどね。
ご質問ありがとうございました。
関連記事です。
以前と比べると断然