たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

【IBM】は安定配当と固い事業内容が魅力

IBMはバフェット氏鉄板銘柄だったが・・・

 IBM(インターナショナルビジネスマシーンズ)は「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏が2011年から投資の柱に据えていた銘柄です。ただし、2017年に入り段階的に売り払い、2018年にはほぼ撤退したことが分かっています。

 

 その歴史は古く、1911年です。三つの会社が合併し、C-T-R社になりました。IBMの前の社名です。コンピューティング、タビュレーティング(作表)、レコーディング(記録)、の頭文字です。

 

 タイムカード、パンチカードが事業対象として含まれていました。

 

 パンチカードはその名のとおり紙をパンチして開けたものですが、磁気が使われるまではパンチカードがデジタル信号を表す出入力メディアとして使われました。湿気でシナシナになると使えなくなるという恐ろしいメディアです。

 

 その後、第二次世界大戦中から、軍や政府関係の仕事を受注します。そこで、コンピュータ関連の仕事を増大させます。いわゆるメインフレームと呼ばれる大型コンピュータの設計や運用です。

 

 個人を対象としたコンピュータが登場するのは1970年代からです。今のアップル社が1975年から「apple」シリーズを販売し、個人でコンピュータを扱う時代がやってきます。

 

 対するIBMは1981年にIBMパソコンを発売します。これはインテルのCPUにマイクロソフトのMS/DOSを搭載した、いわば組立てコンピュータです。

 

 後発でしたが、仕様を公開したために他企業だけではなく個人でもパーツを組み合わせてコンピュータが作れる汎用性がありました。その後、ビジネスとの親和性からIBMパソコンはアップルを凌駕することになります。

 

 現在は選択と集中のさなかにあり、遺産ともいえる知的財産権での収入を得つつも、部門の買収と売却を繰り返しています。今後、事業の柱をどのように育てていくのか注目されます。

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※画像は米国IBMから

IBMのチャートと配当

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2006年8月 株価77ドル  配当0.3ドル

2016年5月 株価153ドル 配当1.4ドル

2018年2月 株価158ドル 配当1.5ドル

 

 株価も配当もかなり伸びていますが、これは活発な自社株買いも影響しています。ただ、近年の業績はやや不安を感じさせるもので、特に売り上げは芳しくありません。それでもIBMが米国株投資家に人気あるのは以下の3点に集約されます。

  1. バフェット氏の主力銘柄だったから
  2. PERなどの諸数値が割安だから
  3. 選択と集中が上手くいく、かもしれないから

 ということです。3の選択と集中が上手くいかなければ、それこそ厳しい結果が待ち受けることになるでしょう。逆に上手くいけば、上昇が見込めます。業態の転換、戦略部門の売り上げ増が期待されるところです。

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 この積極的な自社株買いはIBMの魅力の1つです。

IBMの基礎データ

IBMの配当と配当性向

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 かつては配当性向は20%台で大変落ち着いていました。しかし、連続増配とともに、急角度で上昇し始めているのは少々気になるところです。しかし、それでも40%台ですから、他の連続増配銘柄に比べると非常に低い水準です。

IBMのBPSとEPS

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 株式が減っている割には右肩上がりとはなりません。それでも、バフェット氏が買い付けた2011年から2014年ごろにかけてはEPSは伸びており、期待をさせるものでした。その後、横ばいとなっています。

IBMの売り上げと利益

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 一番目を引くのは売り上げの減少です。ピーク時から8割前後にまで落ちています。これは選択と集中を行っているから、とも言えます。しかし、選択と集中の結果増えて欲しい営業利益率、営業利益も芳しくありません。ここが投資家に不安を抱かせる第一の要因です。

 

 これはAIやクラウドといった将来性ある分野の収益が思うように伸びないことが原因ん1つです。この分野はAmazon、Google、appleといった米国を代表するIT企業が注力しており、技術的にも資金的にも高度なレベルが要求されます。

 

 また、無類の強さを誇ったメインフレーム業務も直近の決算では持ち直したものの、好調とは言い難いです。

 

 とはいえ、こういったネガティブな要素は株価に織り込まれており、やや割安な水準に置かれ続けているのが近年のIBMです。

IBMのキャッシュフロー

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 フリーCFは安定的で、無理のない投資CFに好感が持てます。右肩上がりではありませんが、決して悪くはないですね。

 

 見てきたように、IBMの諸数字はまずまずで、配当も4%近くあります。IT業界の巨人でありながら、すっかり成熟株扱いになっています。バフェット氏が手放した今、改めて動向が注目される株です。

 

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ハイテクと言えばナスダックですが、IBMの場合は会社の歴史が長いのでNYSE上場です。ライバルのGoogleやAmazonは押しなべてナスダックです。そのナスダックを代表するETFがQQQです。近年のパフォーマンスは注目されてよいでしょう。

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