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アストラゼネカ【AZN】はイギリスの高配当製薬会社

アストラゼネカ(AZN)はグラクソスミスクライン(GSK)と人気を二分するイギリスの高配当製薬会社

 アストラゼネカはスウェーデンのアストラ社とイギリスの化学会社の製薬部門から独立したゼネカ社が1999年に合併してできました。

 

 スウェーデンのアストラ社は1913年創業で、消化器、循環器、呼吸器領域に強みを持つ国際的製薬会社でした。

 

 イギリスのゼネカ社は1926年創業のインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(ICI)の製薬部門が1993年に分社化してできた会社です。ICIは世界的な化学会社で石油関連で有名な多国籍企業であるハリバートン(HAL)も関連会社です。ICIは2008年にオランダの化学会社であるアクゾノーベル社に買収されています。

アストラゼネカ【AZN】はランキングを落とし11位に

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Pharm Exec's Top 50 Companies 2017 | Pharmaceutical Executive

 アストラゼネカは2014年時点では8位につけていましたが、バイオ系企業の躍進などで11位まで順位を下げています。。世界で見れば大手ですが、同業他社と同じく新薬開発と自社製品の特許切れの問題がついてまわります。

 

 武田の呼吸器関連事業を700億円で買収したり、40億ドルでバイオ医薬のアセルタファーマを買収したり、27億ドルでZSファーマを買収しています。新薬開発の可能性が出てくれば、その会社ごと買収し、利益を確保するのが製薬業界の常識になりつつあります。かつてはファイザーモデルといわれた手法です。

 

 アストラゼネカのCEOであるパスカル・ソリオ氏は元はスイスのロシュにいました。ロシュ時代にパスカル・ソリオ氏が中心になりジェネンテックというアムジェン(AMGN)に次ぐ大手のバイオベンチャーを470億ドルで傘下に収めています。バイオベンチャーといっても、武田薬品よりも売り上げが大きい大企業です。

 

 ちなみにロシュは日本の中外製薬も傘下にしています。

 

 このように生き残りをかけた新薬の開発競争と新薬を持つ有望な会社の奪い合いが続いているのが製薬業界です。アストラゼネカの今後の買収、あるいは被買収も含めた次の一手が注目されます。 

アストラゼネカ【AZN】の配当とチャート

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※画像はグーグルファイナンスから。

 

2007年2月 株価29ドル 配当0.615ドル

2016年2月 株価30ドル 配当0.95ドル

2018年2月 株価33ドル 配当0.95ドル

 

 アストラゼネカは二期配当です。2月の配当のほうが手厚いです。2013年から0.95ドル配当を続けています。業績は微妙なのですが、株価はほとんど変わりません。高配当が株価を支えています。

 

 リーマンショックでも20ドルを割らなかったのは底堅いと評価されてよいのではないでしょうか。継続的に高配当なので10年間の配当再投資ならば1.5~1.6倍ぐらいの資産になった計算です。配当は4.5%です。

アストラゼネカ【AZN】の基礎データ

 アストラゼネカ【AZN】の基礎データを見てみます。全体的に業績は厳しめで、買収の話もチラホラと出ています。単なる高配当としては買いにくいところですが、その分それを妙味と捉えるむきもあります。

 

 肺がん治療薬として発売されたTagrissoや心臓血管の治療薬であるBrilintaは有力です。特にTagrissoは大きな売り上げを期待されており、今後の同社の業績に影響を及ぼしそうです。

アストラゼネカ【AZN】の配当と配当性向

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 配当は年間1.4ドルで殆ど横ばいです。2013年が1.43ドルでした。ペイアウトレシオは2015年に跳ね上がっており、それから100%を切ることはありません。当然ながら持続可能な配当ではなく、業績の回復が無い限りは減配リスクがあります。

アストラゼネカ【AZN】の売り上げと利益

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BPS=1株資本

EPS=1株利益

 2013年をピークにBPSは下がり続けています。また、EPSも2015年には激減しました。底打ち傾向にはありますが、最近やや安定を欠いている業績には注意が必要です。

アストラゼネカ【AZN】の売り上げと利益

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 この表を見ても分かるように売上は伸びていません。塩野義製薬が開発した高コレステロール血症であるクレストールは日本以外ではアストラゼネカ名義で販売され、良く売れました。しかし、これも今はジェネリックに侵食されています。

 

 有力な胃薬であったプロトンポンプ阻害剤のネキシウムも一時期の勢いはありません。これらの有力な薬が売上に貢献していた2011年から売上は68%まで落ち込んでいます。これは金額にすると100億ドルを超えます。

 

 ただ、プラスの材料としては2015年を底にしてある程度の選択と集中の進展が認められます。営業利益の反転はその証左であり、20%を超える水準まで回復しています。

 

 この数字は同業他社と比べても悪くなく、米系大手のメルク【MRK】や同じイギリスのグラクソスミスクライン【GSK】を上回ります。

アストラゼネカ【AZN】のキャッシュフロー

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  キャッシュフローは安定しません。良くも悪くも新薬次第なのがこの業界で、ブロックバスターと呼ばれる年商10億ドルを超える商品が出れば業績がガラッとかわります。肺がん治療薬として発売されたTagrissoは40億ドルの可能性があるとも言われており、今後の売れ行きは注目されてよいでしょう。

 

 今の水準は配当が支えている分、やや割高に見えます。しかし、世界的な株高であることを考えると相対的には妥当と言えそうです。

 

関連記事です。

 グラクソスミスクライン【GSK】もイギリス系の名門です。こちらもジリジリランキングが下がっており、8位になっています。2014年時点では6位でした。高配当ですが、売り上げが停滞しています。

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  ノバルティスやロシュといったスイス系の後塵を拝することもありましたが、再び1位に返り咲いています。ただ、自社開発の大きな売り上げを誇る商品は出せておらず、課題になっています。

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  メルクです。一時期決算が悪く株価が乱高下しましたが、最近は落ち着いています。

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