高配当株投資と成長株投資はどちらが良いのか
日米問わず、高配当投資が注目されています。理由は、成長株に比べての割安感です。シンプルにPERで見ると、高配当ETFによっては10台前半にまで落ちているものもあります。ハイテクの期待値が入った諸数字に比べると割安感を感じるということでしょう。
トレンドを追った投資をするのか。高配当で枯れた銘柄に投資をするのか。
時々、どちらが得か、損か、という議論になります。その議論は興味深く、投資の幅を広げてくれるものです。様々な立場から、百家争鳴、そして自分のスタンスに合った投資をすればよいと思います。
ただ、せっかくのお題ですので、考えることをまとめておきたいと思います。
米国高配当投資のメリット
まず、高配当投資のメリットです。
- 値動きの乏しいベータ値の低い株式が多い
- 配当という形で利益確定される
- 月々のキャッシュフローが読みやすい
- 下落相場で比較的強い
こういった特徴があります。以下、追って触れてみます。
値動きの乏しいベータ値の低い株式が多い
代表的なのが公益株でしょう。電気やガス、水道といった社会インフラに関わる株式群です。これらは安定配当ですが、値上がり益があまり見込めないことが多いです。劇的な業績の伸長というのが無いからです。そのため、株価の上下動が小さくなる傾向にあります。
株価だけでなく、配当も安定的な銘柄が多いです。そういう意味では古い例になりますが、東京電力の原発事故、その後の無配転落は多くの配当生活者にインパクトを与えたことでしょう。安定とは真逆の値動きをしたからです。
公益株は比較的値動きに乏しい、つまり下落に強いということですが、東電の例は分散投資の大切さを教えてくれたように思います。
配当という形で利益確定される
配当はある種の利益確定になります。その都度、現金化されるからです。買った株式をほとんど売らない長期投資家の場合だと、利益確定の場面があまりありません。それが配当が出ていれば強制的にある程度の利益確定をされることになります。
例えばIBM株があります。IBMは値上がりはほとんどしていません。しかし、買う時期さえ極端にミスしなければ、常時3%~5%の配当がありますから、そこそこの利益を手にしていることになります。銘柄選択の担保のような役割が高配当だと考えることもできます。
半面、クラフトハインツのような半値以下の暴落例もありますから、集中投資を避けるのがセオリーです。個別株であることには変わりないからです。
月々のキャッシュフローが比較的読みやすい
よく、株式投資では1億円が目標になります。人によってはリタイヤを視野に入れて1億5千万円、あるいは2億円という方がいます。同時にリタイア時に経済的なより所になるのが、キャッシュフローです。
例えば、現在の月々の給与が40万だとするならば、その生活は十分なのか、それとも苦しいのか。50万ならばどうなのか。こういう実際の生活に合わせて、月々のキャッシュフローを考えています。
すると、配当でいくら、不動産でいくら、副業でいくら、という形で積み上げていくと、だいたいの生活予想図をつくることが可能です。米国株の場合はリーマンショックやコロナショック時でも減配しなかった連続増配銘柄がゴロゴロあります。
そのため、将来の生活設計がしやすいというメリットがあります。そのため高配当株投資を選択する、という判断もできるでしょう。
下落相場で比較的強い
特に連続増配銘柄に言えることですが、下落相場での安定配当は心理的な下値水準を形成するのに役立ちます。たとえば、高配当株と言っても、下落時に10%や15%もの利回りをするような増配銘柄はなかなか出てきません。
利回り5%を超えたあたりから配当狙いの打診買いが発生してきますから、これに従って下値を形成してくるということです。これが成長株、あるいは実績のない新興株だとそうはいきません。下落相場ではとことん落ちます。期待値が剥落するからです。
高配当株投資のデメリット
高配当株投資のデメリットです。
- キャピタルゲインがあまり見込めないことが多い
- 配当課税がかかる
- 結果的にリターンが成長株に劣後することがある
こういった特徴があります。これも触れてみましょう。
キャピタルゲインがあまり見込めないことが多い
これも公益株を見ると明らかですが、実に眠たい値動きをします。上昇も下落もあまりない、そういう値動きです。そのため、値上がり益はあまり見込めません。ただ、これも見込みが難しいところで、結果として値上がり益も得られるケースも散見されます。コロナショック時などはそうでしたね。
たとえば意外かもしれませんが、Microsoft【MSFT】もそうです。かつては高い増配率と3%近辺の利回り、1株40ドルに満たない株価が魅力でした。今では300ドル近くの株価になり、利回りも下がっています。VYMの組み入れ1位の比率でしたが、利回りが下がり、構成銘柄から外れています。
ただし、やはり特殊です。それは高配当系のETFをみてもそうですね。
配当課税がかかる
配当には課税されます。そのため、配当として利益が出されるたびに課税されることになります。これが無配で、事業へ再投資をしてくれるような形だと課税がされません。効率的に資本を巨大化させることができます。
Amazon【AMZN】やバークシャーハサウェイ【BRK】、Adobe【ADBE】はこのメリットを生かした、事業再投資をしている代表的な企業だと言えるでしょう。
結果的にリターンが成長株に劣後することがある
成長株投資は当たれば何倍もの利益を手にすることがあります。そういう銘柄を手にすることができるならば、高配当株投資の利回りよりもはるかに効率よく資産を増やせるということになります。
ただ、その銘柄が何なのか、ずばりそれを見抜く力はやはりセンスと何より努力が必要になります。
高配当株は比較的シンプルです。連続増配や利回りは目に見える過去実績として示されているからです。
ハイブリッドに、キャッシュは高配当銘柄の配当で稼ぎ、値上がり期待はVTIやIVVといったETFでカバーするという方針の投資家さんもいますね。
いずれにしても、自分のお金ですから、自分の投資戦略に従いコツコツ続けていくということには変わりありませんね。
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お金をどのように増やしていくのか。自分なりの戦略を確立させることが、ぶれない投資方針ということになります。
急騰急落銘柄に比べると高配当株は安定的と言ってよいでしょう。
高配当投資も低リスクというわけではなく、減配による株価下落の可能性はありますね。