たぱぞうの米国株投資

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海外債券投資のメリット

海外債券投資という投資手法

 低金利な日本だと債券の魅力というのは低いのですが、海外ではわりと好まれる投資先です。ペーパーアセットである株と同じく管理の手間があまりかからないことと、発行体の信用が保たれれば元本が大きく毀損することが少ないことが理由です。

 

 今回は海外債券投資をされている方からのご質問を頂いています。

海外債券投資を投資のメインに据えてやってきました。

たぱぞう様

いつも興味深い記事を有難うございます。
米国株投資のブログには的外れな質問かもしれませんが、外国債券(特に長期債・米国社債・優先株)についてご意見を伺えれば幸いです。

 

 2年前に定年退職する前まで、外国債券(リーマン以前は米・欧ゼロクーポン債や豪ドル債が中心)をメインで運用し、国内大手証券の口座の現在のポートフォリオも、国内債券11%、国内株5%、外国債券74%(豪ドル、米ドル、NZドルの3通貨)、外国株4%、外貨MMF/円MRF6%と外債メインです。

 

 この2年ほどは、米国株や米国ETFをネット証券の口座で買っています。


外債投資には

  1. 長期的には、高金利通貨は、金利差の分、為替レートが下落する(円高・高金利通貨安)
  2. インフレ率勘案後の実質金利は、先進国間の実質金利は長期的には同じ水準となる傾向がある、

 という批判があることは数年前に知りました。

 

 ただ、自分としては、当面円転を考えている訳でもないので円ベースの為替損は気にならず、実質金利は同じでも(ハイパーインフレが想定しにくい)先進国外債投資で名目資産額を増やす点にメリットを感じ、新たに円から外債を買うことは7-8年前に止めたものの、外貨の利息と償還を迎えた元本を既発・新規債券に乗り換えてきました。

 

 ただ、豪ドル、NZドルは発行体に米国企業が少ないため、今後は金利・為替動向を見ながら減らしたいと考えています。


 定年を迎え、自分の口座の特定口座損益想定を初めて見て(お粗末ですね)あることに気がつきました。債券の償還や債券価格の変動で満期前に別の外債に乗り換える時に、債券購入時より円高となり、円転していないのに特定口座上で譲渡損失に計上されていたのです。

 

 円安のピーク時に比べ円高であったので、年間の利息・配当収入(450万程度)を念頭に損出しに励み、源泉徴収税を昨年は全額還付、今年も9割以上の還付を受けました。

 

 米国株の配当に比べ、現地の源泉税がない外債の利配収入のほうが同じ利回り・配当利回りなら、税引き後で外債が有利かな、と思っていましたが、それに加えて、残存期間10年以上の中長期の外債を為替の変動を見ながら分散売買すれば、5年に1度くらい実効税率を2割よりかなり低く抑えた運用できる可能性があると考えるのは楽観的でしょうか。


 外債を考えるもう一つの理由は、これから広げていきたいと考えていた米国株・ETFの急騰です。保有している円債(リターン、リスクから持ち続ける意味が分かりません)を今すべて米国株・ETFに振り向けるより、当面3~4割くらいをNYSEに上場している利率5%台の超長期社債(発行体T、VZで満期は2066/2054)や保険会社の劣後債・優先株(利回り6%台)の購入に充てたいと考えています。

 

 S&Pの長期的なリターンは6.5%位と聞いた覚えがありますが、将来のリターンはそこまで高くないかもしれないことや米国株の下落リスクを考えると、配当貴族銘柄・保険会社・銀行が発行体の長期社債・劣後債・優先株に妙味を覚え、昨年末からの米国金利上昇で債券価格が額面近くまで下がってきたところを狙い、米国のネット証券で指し値買いを始めています。


 私の投資のスタンスは、

  1. 米国の配当貴族銘柄・保険会社・銀行の倒産確率は他に比べ格段に低い、
  2. 人口減少と労働・サービス・製品を安売りする国の通貨は長期的に下落する, を前提にしています。

 定年を迎えたら、徐々に資産を取り崩していく、のが投資の指南書に書かれています。ただ、Life shift等の本で人生100年とか言われると、あと40年近く運用期間があることになり、安全第一、守り一辺倒の運用でいいのか疑問です。

 

 元本はできるだけ円転せず、利配収入を必要に応じて円転すれば為替リスクも長期的に平準化されるのでは考えながら、BND/AGGのようなETFでなく個別の長期社債・劣後債・優先株や米国株・ETFに投資しようと考えるのはアグレッシブ過ぎるでしょうか。

海外債券投資はうまく乗れれば妙味があります。

先進国債券投資は手堅い

 手堅い投資をされていますね。先進国同士の為替相場は安定しており、レンジから大きく外れてもいずれは収れんされてきます。これに対し、開発途上国の通貨は基本が強いインフレで、持っていると価値が下がってきます。そのための金利差ということですね。

 

 そういう意味では先進国債券を先進国通貨で持つというのは悪くありません。では、なぜ弊ブログで生債券、生社債をおすすめしないのかというと、これは集合体であるETFのほうがリスクを分散しているからです。

 

 これは株式ETFと個別株の関係に似ています。しかし、個別株よりは固い生債券のほうがリスクは少ないです。ただ、先進国は発行体として信頼が厚いので、比較的安全な投資と言ってよいでしょう。

為替相場に応じて損だしを活用する

 償還時に円高だと、現地通貨建てでは損が出ていないのに、円建てで損が出るというのはありえます。これは仰るように、うまく損だしをすべきですね。そのことによって、現地通貨建ての残高はキープしつつ、損益通算をして日本円で税金を取り戻すことができます。

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 海外株、海外債券の取引の「旨味」だと思います。私もPFFを円安時に買い、円高時に売りました。当然PFFは殆ど値動きが無く、分配金も年率5~6%出しているのでドル建てではマイナスにはなりません。

 

 しかし、為替を加味するとマイナス、損になります。そうやって損だしをして、確定申告を行うと、ドル建てでは減らず、日本円で還付を受けることができます。

主戦場を持っておくと強い

 もう定年を迎えられたということですが、今までの債券取引がプラスで推移しているならば、それは続けたほうがよいですね。海外債券取引の「コツ」が分かっているわけで、それは自分の投資生活における「主戦場」となります。

 

 大きく10%、20%を狙うような投資ではないですが、元本がそこそこ大きければそれを毀損させない投資術も大事になります。そういう意味では悪くありません。

 

 金利高局面だと債券は値下がりしますが、それも踏まえて指値して少し買い付け始めているということですね。キャッシュポジションを取りつつ、金利高に合わせてちょこちょこ控えめに買っていくというのはアリだと思います。

 

 残り40年、定年により収入が限られるならば、攻めよりも守りの投資、減らさない投資が大事になってきます。株式投資は外せないところですが、今まで通り得意の債券投資が主戦場で良いですね。

 

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