ファスナル【FAST】の銘柄分析。資材の小売・卸売を手掛ける企業
ファスナル【FAST】のシンプル銘柄分析です。
建設用ファスナー(ボルト、ナット、ビスなど)をはじめとする様々な建設用資材の小売・卸売を手掛ける会社で、S&P500、NASDAQ100に採用されています。
建設用ファスナーとは、接合部に用いる金具で、fasten(=締める)が社名の語源になっています。ファスナーの種類として、ボルトやアンカーボルトがあります。
ミネソタ州のウィノナという現在の人口が27,000人の小さな町に本社を置くファスナル【FAST】は、ボブ・キーアリン氏によって1967年に設立されました。当時は小さな企業でしたが、1990年代半ばには同業で全米最大の企業となりました。1987年にNASDAQに上場しています。
主な製品はボルト、ナット、ビス、座金類などのねじ部品、塗料、ピンボルト、六角レンチ、コンクリートアンカー、業務用電池、シーリング材、ワイヤーロープなどです。また、自社ブランドのアンカーボルトやリベットなどの雑資材も販売しています。
今日では、専門コンサルタント、ロジスティクス会社、テクノロジープロバイダー、そしてより一般的には、幅広い産業および建設製品の販売業者など、さまざまな顧客に対して多くのサービスを提供しています。
北米、中南米、アジア、東南アジア、欧州の25か国で店舗を運営し、3,200以上の拠点でサービスを提供しています。さらに建設現場や顧客の所在地には、各顧客用にカスタマイズされたファスナル【FAST】の自動販売機が設置され、その数はリース物件も含めると11万台以上です。
ファスナー供給事業は他のビジネスより複雑な点があります。製品、建設プロジェクト、および保守と修理の用途に需要が依存することと、用途と用途に基づいて大きな需要の変動があることです。
また重い割には単価が安いという特徴もあります。このようなビジネスの特徴に対応するため、ファスナル【FAST】は顧客にオンサイトで店舗を置くなど、得てきた経験を糧にソリューションも提供することで競合他社が真似をすることが難しいビジネスモデルを構築しています。
1993年からは積極的に「非ファスナーライン」と呼ばれる製品ラインを追加し始めました。現在、非ファスナー製品の最も重要なカテゴリーは、AEDなどの安全用品製品ラインです。
この製品ラインは、自動販売機チャネルが貢献して過去10年間で大きく成長したセグメントです。
ファスナル【FAST】の株価チャートと配当
株価は上昇と調整を繰り返しながら5年で2倍強になりました。
Annual Reportからの引用ですが、FY2015~FY2020はS&P500を大きくアウトパフォームしていることが確認できます。
1991年から毎年配当を出しており、直近の配当利回りは約2.2%です。FY2020には160万株の自社株買いも実施しており、株主還元に積極的です。
FY2015~FY2020は好調でした。ただ持っていれば、株価も上がり、配当もそれなりに得られた銘柄ということになります。
ファスナル【FAST】の基礎データ
- 本社:アメリカ ミネソタ州ウィノア
- ティッカー:FAST
- NASDAQ上場
- 決算期:12月31日
ファスナル【FAST】の売上高と利益
売上高は右肩上がりです。2017年ぐらいから売上高の伸びがやや急になったのは、2016年の大統領選でトランプ氏が当選し、公共投資などによる建設需要が増えた影響もありそうです。
営業利益率は概ね20%程度で推移しています。
ファスナル【FAST】のBPSとEPS
EPS、BPSともに概ね右肩上がりで推移しています。
ファスナル【FAST】のキャッシュフロー
メーカーではないので、設備投資はそれほど大きな金額ではありません。そのため、結果としてフリーCFが多い構造になっています。
ファスナル【FAST】と新型コロナウィルス
ファスナル【FAST】の株価はコロナショック時には大きく下げましたが、業績も少なからず影響を受けました。また、Annual Reportからはファスナー関連事業が20年ぐらい減少し続けていることが見て取れます。
FY2020はCOVID-19によるロックダウンなどでファスナー関連事業がさらにダメージを受けました。安全製品はヘルスケア業界等への売り上げが好調でしたが、粗利益率はファスナー関連事業の方が高いため、業績の構造が変化しています。
また、COVID-19はサプライチェーンにも影響を及ぼし、商品の調達にも苦心しました。FY2020の2Qには顧客の要求に対応するために、ファスナル【FAST】にとって最適化されていないサプライチェーンからパンデミック関連製品を調達し、粗利益に悪影響を及ぼしたとの記述があります。
ファスナル【FAST】のような業態であれば、少量多品種の在庫が必要となる一方、その供給元に何らかのトラブルがあると、欠品を起こしやすいのはビジネスリスクとなりえます。
新たなリスクが表面化したら、どのように対処するかソリューションを出せる企業がエクセレントカンパニーということでしょう。ファスナル【FAST】の真価が問われたとも言えます。
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