【DGRW】は毎月分配が魅力、異色の米国大型株ETF
ETFや投資信託は、分配金などのインカムを追求すると値上がり益、キャピタルゲインが弱くなる傾向にあります。利益を分配金で出してしまうからですね。
分配金再投資をしない、そういった場合はインカムを求めます。課税機会を繰り延べる、インカムが不要、そういった場合はキャピタルを求めます。
一方でインカムもキャピタルゲインも両方取れる、そのようなETFもあります。今日はそのような、資産のマイルドな成長とそこそこの分配金を得られる米国株ETFをご紹介します。
【DGRW】ウィズダムツリー・米国株クオリティ配当成長ファンドとは
ウィズダムツリー・米国株クオリティ配当成長ファンドというETFがそれです。英語名はWisdomTree U.S. Quality Dividend Growth Fund、ティッカー【DGRW】です。
ベースとなるインデックスはWisdomTree U.S. Quality Dividend Growth Indexです。
時価総額20億ドル以上の米国株を構成銘柄としています。成長性と質の面で精査、300銘柄を採用しています。
成長性の指標は長期にわたる利益の成長見込みがあるかどうかです。質の指標はヒストリカルな定量データ、ROEとROAを用いています。
ウエイトは直近に発表された 1 株あたりの配当に基づいた配当加重です。時価総額加重平均ではありません。このインデックスの運用はなかなか手間がかかりそうですね。非常に個性的なインデックスになっています。
株式投資においてのキャピタル、インカムの「いいとこをちょこちょこどり」を求めたETFと評価してもよいかもしれません。
銘柄の入れ替えは年に1度です。
【DGRW】の分配金利回りと経費率
【DGRW】はその額こそ毎月違えど、毎月分配を実施しています。直近の年分配利回りは2.4%です。
年間で均した分配利回りが際立って高いわけではありません。しかし、債券ETFのような毎月分配はありがたく感じる人もいそうです。
出典: WisdomTree website
経費率は0.28%です。例えば連続増配銘柄で構成される米国ETF、Vanguard Dividend Appreciation ETF、ティッカー【VIG】の経費率は0.06%です。VYMなどと比しても、【DGRW】の経費率はやや高く感じます。
前述した通り、ウエイトの管理を配当に依存しています。比較的単純な時価総額加重平均でない、やや特殊な運用をしなければいけない点が経費率に反映されているのでしょうか。
【DGRW】の構成銘柄トップ10
ウエイト上位10銘柄は以下の通りです。300銘柄で構成されるインデックスをベースにしている割には、マイクロソフト【MSFT】やアップル【AAPL】などのウエイトがかなり高いです。
また上位10銘柄で33%以上のウエイトを占めます。300銘柄で運用されていても、ウエイト上位の株価パフォーマンスの影響を受けやすい特徴があります。分散性はある程度担保されていますが、個別株の影響は小さくないですね。
ジョンソンエンドジョンソン【JNJ】やプロクター&ギャンブル【PG】、コカ・コーラ【KO】など、配当がしばしばフォーカスされることが多い銘柄のウエイトも高いです。
時価総額でふるいにかけ、利益の成長性とクオリティを追求する。そうすると必然的に歴史ある大型の企業がインデックスに採用されることになる、ということですね。
【DGRW】のパフォーマンスとチャート
【DGRW】のパフォーマンス、チャートを確認します。
水色が【DGRW】です。S&P500(赤)、配当成長を謳う【VIG】(緑)と比較してみました。
2022年以降は【DGRW】が相対的に強いです。バリューの巻き戻しの恩恵がやや確認できます。
【DGRW】においてウエイトが高いマイクロソフトもアップルも2022年の株価はさえない動きでした。しかし、300銘柄で構成されるETFではほかの銘柄がうまくカバーしてくれるといってよいでしょう。企業の利益のクオリティも追及して銘柄選定している結果ですね。
一方、2021年末まではS&P500のパフォーマンスが良かったわけですが、【DGRW】が極端に見劣りしているわけでもありません。
【DGRW】のプライスは1口65ドル程度ですので、【VIG】や【VOO】よりだいぶ低いです。買いやすさは評価されてよいでしょう。
経費率はやや高いが、毎月分配に魅力を覚えるならば選択肢に入る
【DGRW】は構成銘柄からすると、目立った特徴があるETFではありません。
良くも悪くも奇をてらっていない分、面白みはないかもしれません。しかし、インカムをそこそこ得ながら運用をし続けたいならば合っている、そのようなETFです。たとえば、比較的安定して毎月インカムが欲しい、かといってキャピタルも得たい。こういった要求に応えるETFですね。
それなりに分配を出しつつも、S&P500に見劣りしないパフォーマンスはそれなりに魅力を感じさせます。経費率がやや高いので、コアの運用には躊躇しますが、資金に余裕があるならばというところでしょうか。サテライト、脇役的にコツコツ買う商品としては向いていると言えるでしょう。
SBI証券、 松井証券、 楽天証券、 マネックス証券等が取り扱っています。
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