カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】の銘柄分析
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】のシンプル銘柄分析です。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】はその名の通りカナダの鉄道会社です。モントリオールに本社があります。取り扱うのは貨物で、鉄道だけではなくトラック事業もあります。
日本でいうなら、線路を持っているJR貨物(株式非公開、線路はJR各社から借りている)だと理解すればよいでしょう。
大西洋から太平洋までの大陸横断鉄道として、さらにアメリカを南北にメキシコ湾まで接続する約2万マイルにもわたる長い鉄道網を持っています。
歴史は19世紀にさかのぼります。
19世紀以降にカナダ国内で誕生したカナディアン・ノーザン鉄道、カナダ政府鉄道、カナダ・インターコロニアル鉄道、ナショナル・トランスコンチネンタル鉄道、プリンス・エドワード・アイランド鉄道が統合されてカナダ・ガバメント・レイルウェイという国営の前身会社ができます。
1919年6月、議会の承認によってカナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】が設立され前身会社を引き継ぎました。翌年、グランド・トランク・パシフィックという鉄道会社が傘下となり、大陸横断ルートが加わりました。
1995年6月に民営化が決まり、同年11月に株式を公開しました。
その後の10年間で、アメリカのイリノイ・セントラル鉄道やウイスコンシン・セントラル鉄道等を買収し、アメリカ国内へ路線を延長しました。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】のアドバンテージは、貨物専用の定期鉄道です。石油、化学薬品、金属、鉱物、木材、石炭、農産物、肥料、完成車、自動車部品などの鉄道輸送を営んでおり、事業ポートフォリオが分散されています。
取り扱うものから伺えますが北米の製造業のサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしている企業であり、顧客は容易にスイッチングできない領域と評価されてよいでしょう。
事業領域や業績には直接関係ありませんが特筆しておきたいのは、マイクロソフト【MSFT】の創業者であるビル・ゲイツ氏が所有する投資会社「カスケードインベストメントLLC」がカナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】株の約14.3%を保有していることです。
ゲイツ氏が設立した財団のThe Bill & Melinda Gates財団が約2.1%を保有しており、「カスケードインベストメントLLC」の所有分と併せると16%以上の大株主となります。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】の株価チャートと配当
上昇と調整を繰り返しながら、株価は5年で約2倍になりました。
直近の配当利回りは約0.8%です。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】の基礎データ
- 本社: カナダ ケヴェック州モントリオール
- ティッカー: CNI
- NYSE上場
- 決算期:12月31日
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】の売上高と利益
FY2020はやや苦戦しましたが、営業利益率は45%前後と高水準です。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】のBPSとEPS
BPSの成長が著しいです。EPSは安定的も、右肩上がりというわけではないですね。
カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】のキャッシュフロー
鉄道という設備を維持する都合上、設備投資は高額になります。それでも安定的に営業CFを得ています。
「脱炭素社会」銘柄として
2021年1月にアメリカの大統領に就任したバイデン氏が謳う政策の特徴の一つが「環境・インフラ政策」です。クリーンエネルギー推進などの環境・インフラ投資に重点を置いており、大統領就任当日には、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」に復帰するための大統領令に署名しています。
2050年までに、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」とすることをめざすパリ協定には、すでに多くの国が参加しています。世界のリーダーともいえるアメリカが復帰したことで、脱炭素社会の実現へ向けた取り組みが加速することが予想されます。
この「脱炭素社会」はカナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】に追い風となる可能性があります。サステナブルな輸送手段といわれる鉄道は、モノを運ぶことに関して、最も環境に優しい方法の1つです。実際、鉄道はトラックの4〜5倍の燃料効率が高いという裏付けがあります。
FY2020のCommunity Reportでは
- カナディアン・ナショナル・レイルウェイ【CNI】の顧客はトラックではなく鉄道で輸送することにより、毎年800万トンのCO2排出を削減している。
- 現時点で総トンマイルあたりの燃料消費量は業界平均よりも約15%少なくなっている。
- 過去25年間で燃費を39%向上させ、2030年までに温室効果ガス排出量を2015年比でさらに29%削減することをもくろむ
としています。
COVID-19で輸送実績が大きく低下した旅客輸送と比較すると、貨物輸送は大きな業績のブレが少ないことも特徴です。環境に配慮した定期鉄道貨物輸送を強みにした事業構造は他社が模倣するのが難しいです。
ディフェンシブに保有することができる銘柄の1つと言ってよいでしょう。
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