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インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】の銘柄分析

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】の銘柄分析

 インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】のシンプル銘柄分析です


 ジョージア州アトランタに本部を置く、エネルギー関連や農産物、貴金属、排出権、株価指数、外国為替、金利、CDSなど、多様なデリバティブ取引を主力とする電子取引所、および取引所の運営会社です。S&P500に採用されています。

 

【ICE】は、2000年にエネルギー関連デリバティブの店頭取引市場として米国で設立され、最新鋭の高速売買システム(電子取引プラットフォーム)の提供と顧客需要に適した先物・オプション等の派生商品開発を強みに発展していきました。

 

 2001年にロンドン国際石油取引所(IPE)、2005年にニューヨーク商品取引所(NYBOT)、2007年にウィニペグ商品取引所(WCE)、2010年にシカゴ気候取引所(CCX)とヨーロッパ気候取引所(ECX)などを次々に買収していき、短期間で世界有数の取引所グループとなりました。

 

 そして、2013年に取引所運営会社のNYSEユーロネクストを買収し、世界最大の株式市場であるニューヨーク証券取引所(NYSE)を傘下に収めました。

 

 2014年2月からは、LIBOR(ライボー)の算出・運営を請け負っています。また、2013年に買収したユーロネクストは、2014年にIPOでスピンオフし、収益性の高い派生商品取引のウェイトを高めています。

 

 現在ICEは、アトランタ、ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン、ロンドン、アムステルダム、カルガリー、ウィニペグ、シンガポールなどに拠点を置き、デリバティブと現物の多様な取引所を運営する他に、クリアリングハウス(決済機関)も運営しています。

 

 また、取引所(マーケット)については、デリバティブと「ICE」と「NYSE」の二つに分けられています。

 

主な収益源は

  • 取引所と決済機関運営
  • データサービス
  • 上場企業の取り扱い(Listing)

ICEの売り上げ割合

ICEの売り上げ割合

です。


 収益に占めるエネルギー取引の割合が高いです。また、取り扱う商品が豊富なことのアドバンテージを活用して、指数データ等をETF運用会社等に販売するビジネスを拡大させています。

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】の株価チャートと配当

 足元はやや軟調ですが、株価は5年で約2倍になりました。直近の配当利回りは約1.2%です。

ICEの株価チャートと配当

ICEの株価チャートと配当

 直近の配当利回りは約1.2%です。

ICEの配当推移

ICEの配当推移

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】の基礎データ

  • 本社: アメリカ ジョージア州アトランタ
  • ティッカー: ICE
  • NYSE上場
  • 決算期:12月31日

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】の売上高と利益

ICEの売り上げと利益

ICEの売り上げと利益

 売上高は順調に成長しています。営業利益率は60%以上でしたが、NYSE買収にともない現在は40%前後で落ち着いています。

 

 2014年に大きく売上高が伸びているのもNYSEの影響です。NYSEのような現物市場は派生商品市場より利益の面では劣りますので、この年から営業利益率は落ち着いた形になっています。

ICEの近年の買収

ICEの近年の買収

 近年の売上高の成長は、積極的なM&Aの結果でもあります。Annual Reportによれば、そのM&Aの歴史がわかりますし、近年だけでも2018年に4社、2019年に1社、2020年に2社をM&Aしています。

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】のBPSとEPS

 BPSの成長が著しいです。これは前述したM&Aの結果です。事業領域と規模の拡大でEPSも少しずつ成長しています。

インターコンチネンタル・エクスチェンジのBPSとEPS

インターコンチネンタル・エクスチェンジのBPSとEPS

インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】のキャッシュフロー

インターコンチネンタル・エクスチェンジのキャッシュフロー

インターコンチネンタル・エクスチェンジのキャッシュフロー

 取引所ビジネスですので、設備投資が非常に少なく、結果としてフリーCFが潤沢な企業です。設備投資が不要な代わりにフリーCFをM&Aに使うことで経営資源を拡大しています。

 インターコンチネンタル・エクスチェンジ【ICE】のトピック

 ICEが出資しているBakkt(バックト)は2018年にICEによって設立された、ビットコイン等の暗号通貨の派生商品取引サービスを営んでいます。2021年、ICEからスピンオフしてSPACであるVIHと合併し、NYSEに上場することになりました。合併は今年の6月までに完了する予定です。

 

 今は仮想通貨中心ですが、Bakktが目指しているのは各社のポイントを広くお金や商品に交換できる「ポイント換金プラットフォーム」です。Bakktは換金する際に徴収する手数料が収益源となります。

 

 Bakktが対象としている分野は「ギフトカード」、「暗号通貨」、「ポイント&マイル」、「ゲーム内資産」で、その市場規模は今後大きく拡大すると想定しています。

Bakkt IR資料より

Bakkt IR資料より

 また、スターバックス【SBUX】等で試験的に導入されていた決済機能アプリは本格運用が始まり、ビットコインで決済が可能になりました。

 

 ICEは現時点でもBakktの大株主ですが、そのICEのAnnual Reportには次のような記述があります。

 

We may not realize the expected benefits of our majority investment in Bakkt and the investment may introduce additional risks to our business due to its evolving business model.
(バックトへの過半数の投資は、期待利益を実現できない可能性があり、進化するビジネスモデルによる当社の事業への追加リスクも想定される)

 

 Annual Reportで“Bakkt”を検索すると約200回使われていました。BakktはICEにとってチャレンジングな領域でありながらも、投資家に対して強調したいビジネスとなっています。


 リスクを認識しつつも、新たな収益分野を作っていこうという米国企業らしい精神を感じますね。

 

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