BHPビリトン【BHP】は世界最大の鉱業会社
BHPビリトンはADRでニューヨーク市場に上場している、オーストラリアの会社です。世界最大の鉱業会社として有名です。オーストラリア・メルボルンに本社があり、イギリス・ロンドンには副本社があります。
これは、2001年にオーストラリアのBroken Hill Proprietary Company【BHP】とイギリスのビリトンが合併してできたことに由来します。
鉄、ダイヤモンド、ボーキサイト、石油、石炭、銀といった多くの鉱業を事業対象にしており、文字通り総合鉱業会社ということになります。
この中でも鉄鉱石はブラジル・ヴァーレ、英豪・リオティント、豪英・BHPビリトンの3社でシェア80%の寡占状態です。この3つを指して、世界三大資源メジャーと言います。
鉄鉱石の産出量に関してはBHPビリトンは3位です。そのほか、銀は世界トップ、銅は世界3位です。オールラウンドに鉱業を扱っており、時価総額で世界一の鉱業会社です。
※画像はBHPビリトンのホームページから
多くの鉱業分野に関わるだけでなく、そのことごとくで大きなシェアを持ちます。価格決定力も強いです。しかし、中国減速による鉄鉱石需要の低下、原油安をはじめとする第一次産品価格の世界的下落が業績を直撃し、近年の業績はそれを反映したものでした。
チャイナショックのあった2016年には27年ぶりとなる減配をし、同時に赤字転落もしています。
同業他社も赤字の時期でしたね。このように、商品市場は波があります。しかし、比較的安定的な地位を占め続ける、寡占的業界の多国籍企業であることは変わりないところです。
2017年以後は、業績は回復途上にあります。BHPビリトンの最大の輸出相手国は中国です。旺盛な鉄鉱石消費を始めとする資源の輸入があるからです。
ただ、今後中国も高齢化社会を迎え、成長国から成熟国へ転換します。その時にBHPビリトンはどのような立ち位置にあるのか、注目されてよいでしょう。
BHPビリトン【BHP】の配当とチャート
2006年 9月 株価42ドル 配当0.37ドル
2016年 5月 株価26ドル 配当0.32ドル
2017年 9月 株価41ドル 配当0.86ドル
2019年 9月 株価49ドル 配当1.56ドル
2015年9月までは1.24ドルの配当を出していたので、2016年に1/4近くに減配したことになります。ライバルのリオティントも減配しています。2017年に入り0.86ドル、2019年には減配前の水準まで復配しました。
リーマンショックの時でさえ35ドルを割ることはありませんでしたが、チャイナショック時にはリーマンショック以上に値下がりました。業績も含めて中国との関係性を裏付ける結果と言ってよいでしょう。
BHPビリトン【BHP】の基礎データ
ティッカー:BHP
本社:オーストラリア。副本社イギリス。
上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE)
ADRとしてNYSEに上場しています。
BHPビリトン【BHP】の売り上げと利益
もともとは営業利益率が20%を下回ることのない競争力ある企業です。2015年は赤字であり、営業利益率も急激に落ち込みました。ただ、翌年からのV字回復は注目されていいでしょう。
売り上げはまだ回復途上ですが、資産の精選・圧縮を進めた結果、内容的には評価されてよい決算となっています。
しかし、2010年代初頭のような中国を理由とする鉄鉱石需要は今後考えにくいです。世界経済の成長にともなう堅実な需要はあるでしょうが、それは以前と比べると落ち着いたものと考えたほうがよさそうです。
BHPビリトン【BHP】の配当と配当性向
BHPビリトンの配当と配当性向です。利回りでは5.5%前後です。
チャイナショックがささやかれた2015年に業績が急減速しています。
2014年までは配当性向も高配当でありながら落ち着いており、大変な優良株でした。そういう意味では原油株と全く同じ軌跡を描いています。ただ、原油株に比べて競合他社は限られます。リオティントとヴァーレですね。リオティントも高配当株として知られます。
BHPビリトン【BHP】のBPSとEPS
一株資本と一株利益です。
2015年の不況をきっかけに、BPSは1/3規模まで圧縮されています。また、EPSはすでに2014年から相当落ち込みを見せていました。株価もこのころから急減速しています。
2016年は赤字を免れ、2017年に入ってからは増配を果たしています。現在の水準は持続可能な水準と言えそうです。
BHPビリトン【BHP】のキャッシュフロー
このキャッシュフローの形に似ているのは、エクソンなどの原油株、それから景気敏感株であるボーイング、キャタピラーです。2012年に投資CFがピークを迎え、2016年まで急速に投資CFを絞っています。
米国株投資も2014年、2015年あたりはそこまで順風満帆ではなく、半信半疑で横ばいでした。それの「タガ」のようなものが一気に外れたのがトランプ大統領就任後でした。
業績を見ると、2016年後半から確かに向上しており、それなりのエビデンスもあった米国株式市場の上昇ということが分かります。2017年に入り、BHPビリトンもそれなりの業績回復、株価回復を果たしています。
ただし、世界経済の先行きがやや不透明なのは事実で、景気に非常に敏感なBHPビリトンは警戒が必要です。株価はやや高値、30ドル台後半程度に妥当性を感じます。2016年の底値から見ると、戻りいっぱいとみますがどうでしょうか。
個人的なことですが、赤字の時に一般NISAでこの株を私は買っています。つみたてNISAが始まる前ですね。同じように景気敏感株として仕込んだ人は戻り十分ですね。
関連記事です。
ややマニアックな信用リスク評価の企業です。
指数算出と格付けにおいて存在感を示す、旧マグロウヒルです。
言わずと知れた、パッシブ運用全盛の中心にある企業です。